054.4〜6月の設備投資 7.7%増加  2012.09.04


 9月3日、財務省から発表された2012年4〜6月期の設備投資(金融機関を除く全産業)は、前年比7.7%増。3四半期(9ヶ月)連続で増加しているそうです。当事務所でも、製造業、建設業のお客様の業績が急速に回復しています。

 

 特に設備関係のお客様は超多忙。仕事を断っている会社や、人手が足りず困っている会社もあります。中には休みが取れない会社もあれば、被災地まで出張されている会社もあります。何れにしても活気があるのはよいことです。

 

  製造業や建設業は、新入社員が一人前になるまで時間を要します。不況だからと言って従業員を解雇すると、景気回復後の人材確保に苦労します。だから多少苦しくても、多くの企業ががまんを重ねて、従業員を抱え続けているのです。

 

 だからこそ好況が続いて欲しいのですが、先行きに不安がない訳ではありません。米国では減税が終わり、1月から債務削減が始まります。また中国では製造業不振により、大手銀行が不良債権に悩まされています。

 

 インドも4〜6月期の内需成長率が2.0%と、15年ぶりに日本の3.3%を下回りました。海外事情を懸念し、日本でも設備投資計画の先送りが始まったそうです。政府もうまく内需を引き出し、製造業と建設業を支えて欲しいものです。

 

 ※参考文献・データの出所等  日本経済新聞  

 

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053.人生の春夏秋冬  2012.08.31


 人生は農業に似ていると感じることがあります。「春」は種をまく時期。苦労ばかりで収穫もありません。「夏」は暑いのでさらに農作業も辛く、蓄えたお金も底を尽きてきます。ここが一番の踏ん張りどころ、最高に辛い時期と言えるでしょう。

 

 「秋」は待望の収穫の時期。やっとお金が入り、表情にも余裕が戻ってきます。次の「冬」は農作業がありませんので、稼いだお金で余裕をもって過ごせます。ただし「冬」を意味なく過ごすと、また来る「夏」が乗り越えられなくなります。

 

 「冬」は農器具の手入れをしたり、春に種をまく準備をしたり。また贅沢をしないように注意しなければいけません。最後の「冬」を有意義に過ごすと、人生は次のサイクルへと進みます。順調な人生を送っていると、「夏」が一番辛く感じられます。

 

 反対に「夏」を乗り越えられず、「秋」に収穫できないときは、もっと辛い「冬」が待っています。「夏」を乗り越えた人が一服している時期に、もっと辛い目に遭ってしまいます。このような人生を送っていると、「冬」が一番辛く感じられます。

 

 「夏が一番辛い」と感じられる時は、人生が順調に進んでいる証拠。幸運に感謝したいものです。「冬が一番辛い」と感じられる時は、不運な人生を歩んでいる証拠。流れを変えるために、生まれ変わったつもりで、頑張らなければいけません。

 

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052.領収書とレシート どっちがいいの?  2012.08.30


 領収書とレシート。どちらをもらえばいいのでしょうか。一般的には店側が発行するものであれば間違いありません。あまり神経質になる必要はないと思います。まずい例としては、レシートが必要なのに、わざわざ領収書を発行してもらうケース。

 

 たとえばパソコンと消耗品を同時に購入する場合、領収書では明細がわからないため、全額、資産計上になる恐れもあります。一方、レシートなら内容がわかりますので、パソコン本体のみ資産、消耗品を経費計上できるため、税負担が軽くなります。

 

 またドラッグストアで買い物をする場合、レシートなら薬であることがわかりますが、領収書では薬なのか雑貨なのかわからないため、医療費控除が受けられなくなります。税法上は「支払内容」が重要視されるケースが多いためレシートの方が有利です。

 

  一方、困ったレシートもあります。店名が印刷されていない、印刷が薄くて読めないなど。このような場合はあえて領収書を発行してもらいましょう。もちろん但し書きに「飲食代」など、内容がきちんと記載されているかどうかも確認してください。

 

  また収入印紙が貼られていない領収書、ペナルティーを受けるのは発行側です。ただし高額な場合は、領収書自体の信憑性が疑われるケースもあります。さらに支払先が悪質な業者の場合、経費そのものの否認を受けるケースもあります。

 

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051.信長 武将らしい最期を遂げる  2012.08.25


  ご存じのように、織田信長は本能寺の変で明智光秀に襲われ、49年の人生に幕を下ろします。本能寺を囲んだ明智軍とは、実は光秀に配属された織田軍。このような状況においても信長は動揺しません。「是非に及ばす」と言い放ちました。

 

 自ら応戦するも最期は自害。遺体を隠すよう側近に指示したため、光秀は「信長の死」を確信することができません。信長の恐ろしさを知る光秀は、「もし生きていたら」という恐怖感から、その後の判断力を鈍らせてしまいます。

 

 信長は武士として見事な最期を遂げました。それは常に「死」を意識して生きていた。つまり「死生観」を確立させていたからこそ、できたことではないでしょうか。裏を返せば、死生観の確立によって、人生観を充実させたとも言えます。

 

 人間は病気や事故などで、一度「死」を意識すると、その後の人生を精一杯生きようと目覚めるものです。それまで当たり前だったことが、有り難く感じられるようになり、「生きている」から「生きさせてもらっている」に意識が変化するようです。

 

 反対に恵まれた環境にいると、それを当然と考え、不満ばかり募らせます。人生に充実感が見い出せないため、生きる気力、生命力さえも衰えていきます。信長の一生に触れ、私は現代人が失いかけている何かに気づくことができました。

 

 ※参考文献等  小室直樹著「信長 近代日本の曙と資本主義の精神」  

 

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050.信長 人材抜擢にも見られる天才性  2012.08.24


  戦国時代末期までは、豪族に支配される農民たちが兵士として戦に出ました。彼らを農民兵と言います。おかげで農業が多忙な時期は戦を行わず、長期戦も避けられていました。ところが信長が登場し、この常識を打ち破ります。

 

 農民兵から専業兵へ転換を図った結果、1年中、戦ができるようになりました。兵糧攻めや水攻めなどの長期戦も可能になり、兵士を傷つけることなく勝利を手にできるようになったのです。信長はそれまでの戦の方法を一変させました。

 

 それでは専業兵をどのようにリクルートしたのでしょうか。実はここに大きなポイントがあります。世の中を2つの価値観に分けると、既存の価値観を持つ伝統主義と、古い価値観に固執せず、新しい価値観を求める合理主義があります。

 

 信長は専業兵を、こじき、あぶれ者、放浪者など、伝統主義社会からはじき出された者の中から、積極的に雇い入れました。彼らは合理主義者の信長と価値観が一致します。しかも戦でいくら兵士を失っても、次から次へと応募してきます。

 

 信長以外の武将は、北条早雲や斎藤道三などの成り上がり者でさえ、トップに立つと伝統主義に傾き、思い切った人材抜擢ができませんでした。信長がなぜ並外れた創造性に恵まれたのか、それは志の大きさと真摯な生き方にあったと私は思います。

 

 ※参考文献等  小室直樹著「信長 近代日本の曙と資本主義の精神」  

 

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049.信長 イノベーションで日本を近代へ導く  2012.08.23


  日本の明治維新は世界的に驚異的な出来事だったようです。東洋の小さな途上国が、短期間に欧米の列強に肩を並べるとは予想できませんでした。一方、これは江戸末期の日本人がいかに優れていたかを意味するのではないでしょうか。

 

 日本史上、最も長く平和が続いたのは江戸時代。この間に人口が増え様々な文化が育ちます。価値観の統一は社会を硬直化させますが、江戸時代は多様な価値観が共存し、ここに明治維新という激変をも乗り越えるパワーが育まれました。

 

 この300年近く続いた太平の世を築き上げたのが、信長、秀吉、家康の3者です。混沌とした旧秩序を破壊し、新たなレールを敷いたのが信長、この事業を引き継いだのが秀吉、さらに永続的なものにしたのが家康と言えそうです。

 

 信長の「楽市楽座」は、自由競争市場を生み出し、流通システムを発達させました。また農民兵から専業兵への転換をはかった「兵農分離」は戦のあり方を変え、社会の大変動も収束に向かわせたと、小室直樹さんは述べられています。

 

  400年以上前に生きた信長が、このような斬新な発想を持っていたこと自体、驚異に値します。行き詰まった社会をよみがえらせるためにはイノベーションが必要。過去のシステムに固執することなく、柔軟な発想を備えたいものです。

 

 ※参考文献等  小室直樹著「信長 近代日本の曙と資本主義の精神」  

             福田和也著「魂の昭和史」

 

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048.ブレない経営を実現させるために  2012.08.22


  私たちはビジネスにおいて、毎日、何らかの意思決定を行っています。店舗拡大、人員補強、新規参入など・・・ところで何の目的でこれらを行っているのでしょうか。さほどの根拠もなく、漠然と進めているケースもあるのではないでしょうか。

 

  私は「ブレない経営」を実現させるために、次の2つの確認を怠らないようにしています。
  @ 「それぞれの活動の目的はどこにあるのか」について、定期的に確認する
  A 「この意思決定はその目的に対して合理性を持つのかどうか」について、その都度確認する

 

 「公職・名誉職は現役を退いてから」。これは稲盛和夫さんの言葉です。名誉欲や権力欲がいかに人間の判断力を鈍らせるか。これによって組織がいかに迷惑をこうむるのか。30代のころ、私はこの言葉を胸に刻んで仕事に専念しました。

 

 好かれたい(嫌われたくない)、尊敬されたい(軽蔑されたくない)、ちやほやされたい(無視されたくない)などの思いに囚われると、「見栄のための店舗拡大」「計画性のない人員補強」「収益性を無視した新規参入」などの行為に走りがちです。

 

 これらは経営の目的に反し、さらに多額の出費を伴うため、経営危機をまねきかねません。結果的に従業員や取引先に迷惑をかけます。経営者は常に自社の目的を確認し、その目的に対して合理的な意思決定を心掛けるべきでしょう。

 

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047.信長 無駄な戦争は避ける  2012.08.21


  織田信長が日本人に稀な資質の持ち主であったことは、疑う余地がありません。その1つに小室直樹さんの言われる「目的合理性」があります。つまり目的に対して合理的な態度を貫きます。明確な目的を持ち、実現に向けて一路邁進します。

 

 目的は「天下布武(てんかふぶ)」。武力をもって天下を統一するという意味です。旧態然とした抵抗勢力をすべて武力で制圧しました。相手が僧であっても焼き討ちに遭わせました。ここで注目すべきは、目的に合わない戦は避けたことです。

 

 同時代に生きた武田信玄と上杉謙信は、信長よりも戦上手。しかし川中島の合戦という上洛とは無関係の戦に時間と労力を注ぎ、けっきょく目的を果たせませんでした。反対に信長は信玄や謙信との対立を避けるように策を弄しています。

 

  信長の最終目的が「世界制覇」なら、秀吉の目的は「豊臣家の繁栄」でしょうか。しかし信長の後継者として朝鮮出兵を強行します。おかげで大切な重臣を失うばかりか、この時の処遇が原因で、家臣団の中に対立の芽を作ってしまいます。

 

 家康はここにつけ入り、秀吉の元家臣と共に、関ヶ原の戦いを制しました。もし秀吉が朝鮮出兵さえしなければ、豊臣家はもう少し継続できたかもしれません。目的外の行動は無駄なばかりか、自らに災いを呼び込む恐れさえあるようです。

 

 ※参考文献等  小室直樹著「信長 近代日本の曙と資本主義の精神」  

 

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046.ビジネスでは世間の常識を過信しないこと  2012.08.20


 2008年9月に起きたリーマンショックの後、不動産や金融商品の価格が暴落しました。あくまで机上の空論ですが、このようなケースで大きく損をする人と、大きく儲ける人の行動パターンを比較してみたいと思います。

 

 ◎話を進めるために、ビジネスの循環サイクルを、下記@〜Cと仮定します。

 
  @初期  一部のマニアしか気づいておらず、市場は小さいが少数で利益を独占している
 A中期   参加者が増え始め、市場がどんどん成長する。先行している者がここで荒稼ぎする
 B末期   一般人が参加し始め、書店はノウハウ本であふれる。次第に価格の上げ止まりが始まる
 C終了   ある日、突然、バブルが崩壊。投げ売り状態が続き、市場価格の暴落に歯止めが効かない

 

  常識に従う人はBの時点から参加します。過去に儲けた前例も多数あり、「このビジネスは儲かる」が常識になっているからです。進んで手数料を支払い大金を注ぎ込みますが、数年後にCに突入。最終的に大きな損失を被ってしまいます。

 

  次に常に儲ける人の行動パターンを推測しましょう。まずはCの末期に暴落した物件を底値で買取り、@Aの時期に大儲けして撤退。さらにBの時点で成功例をネタに本を書いたり、他人に勧めて手数料を稼ぐのではないでしょうか。

 

  桶狭間の戦いには織田家の存続が懸かっていました。上記Bで手数料を稼ぐ人たちはどうなのでしょうか。何れにしても両者共に世間の常識に精通し、それを逆手に成功しています。ビジネスにおいて常識の過信には注意したいものです。

 

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045.信長 世間の盲点をつく  2012.08.19


 織田信長に関する記述で、最も信憑性が高いのは「信長公記(信長に仕えた太田牛一の著書)」と言われています。しかし桶狭間の戦い(多数の今川軍を織田軍が破る)については、「信長公記」の内容が通説として扱われてきませんでした。

 

 過去の通説では、信長は善照寺砦(現名古屋市緑区鳴海町砦公園)から南東へ時計回りに迂回し、田楽狭間(現中京競馬場前駅付近)のくぼ地で奇襲した。つまり気づかれにくいコースをたどり、低い場所へ下ったことになっています。

 

 しかし信長公記では、善照寺砦から中島砦(現鳴海町下中)へ移動し、そこから桶狭間(現名古屋市緑区有松町大字桶狭間付近)の山頂にいる今川義元を目指して進んだ。つまり相手から丸見えの道をまっすぐに登ったことになっています。

 

 小室直樹さんは信長公記を支持し、ここに信長の天才性を指摘しています。つまり幸い豪雨が降ったにせよ、少数が多数に向かって真昼に正面から襲うなど、当時の常識でも考えられません。この意外性も今川軍の敗因の1つになったようです。

 

 信長の不可解な行動は常人に理解できず、400年以上経った現代まで通説を曲げていました。「世の中の盲点をつく」。私たちもビジネスにおいて、まず世の中の常識を疑ってみる。ここにチャンスが隠されているのかもしれません。

 

 ※参考文献等  小室直樹著「信長 近代日本の曙と資本主義の精神」  

 

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044.信長・秀吉・家康  2012.08.18


 お盆休み(8月11〜15日)は、たくさん本を読もうと、経済本や経営本などを買い込みました。ところが前日から疲れが出始め、前半はまったくのダメ状態。中日にやっと回復しましたが、けっきょく後半は急ぎの仕事に目を通していました。

 

 このような訳で、読み切ったのはたった1冊。小室直樹さんの著書「信長 近代日本の曙と資本主義の精神」です。私は歴史に詳しくありません。ただし愛知県に生まれ育ったせいか、3英傑(信長・秀吉・家康)には親しみを感じています。

 

 母校、守山中学校の北側には織田信光(信長の叔父)の居城、小幡城の跡がありました。1584年の小牧長久手の合戦では家康も入城しています。秀吉は約2q離れた竜泉寺城にいましたが、あっけなく家康に逃げられたそうです。
 

 また愛知県民だけかもしれませんが、子供のころから「3英傑の誰に似ているのか」などと言った話題の中で育つのです。残念ながら、私は信長のような天才でもなく、秀吉のような処世術も備えず、家康のような忍耐力も持ち合わせていません。

 

 しかしビジネスにおいては、400年以上前とは言え、自分たちよりはるかに優れた戦国武将に学ぶべきではないかと思われます。今しばらくは、高校時代、日本史の試験すべてが赤点だった私の話に、おつき合いいただければ幸いです。

 

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043.新ビジネス → 失敗を財産にする方法  2012.08.17


  新たなビジネス経験を増やす場合、失敗は避けられません。なぜなら新しい経験ほど失敗の確率が高いからです。だからと言って失敗を恐れていると前進できません。また安易に挑戦して、致命傷になるような失敗も避けなければいけません。

 

 たとえば新しい店舗を出す場合、立地条件、商品のラインナップ、価格帯、営業時間、店舗内装などが、ターゲット層と一致しなければいけません。これはベテラン経営者でさえ判断が難しいものです。まして初心者がうまくいくとは思えません。

 

 この見極めが不十分なまま、大きな借金をして店舗に投資してしまうと、以下のような流れになるのではないでしょうか。
 @借入金返済のために資金繰り悪化 → A利益を出すために価格を高く設定 → Bますます客足が遠のきやがて閉店

 

 逆に最初の店舗への投資を抑え、運用資金として残した場合は、以下のように敗者復活することもできます。
 @3ヶ月で立地の失敗に気づく → A立地について研究する → B旧店舗から撤退し、新店舗に投資する

 

 失敗を財産にするためには、最初の第1歩を小さく踏み出す。そして小さな失敗をたくさん経験する。失敗の中から学習する。学習内容を活かし再挑戦を繰り返すことです。これがリスクを抑えながら、新たにチャレンジし続ける手順だと考えられます。

 

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042.「ルート営業」と「飛び込み営業」の違い  2012.08.16


  「@スピード」と「A安定した成果」と「Bイレギュラーへの対応力」の3つの点で、プロはアマと比較して圧倒的に優れていなければいけません。この3つのうち、最も難易度の高いのが、「Bイレギュラーへの対応力」ではないでしょうか。

 

 「@スピード」と「A安定した成果」は、通常のケースでもよいから、とにかく仕事さえ数多くこなせば身に付くものです。ところが「Bイレギュラーへの対応力」は、例外的なケースをたくさん経験しなければ身に付きません。

 

 たとえば営業の仕事には「ルート営業」と「飛び込み営業」があります。ルート営業は、既存の顧客を回って注文を取ります。相手の求める商品、取引数、訪問頻度、人間関係などのデータが揃っていますから、イレギュラーは滅多に発生しません。

 

 ところが飛び込み営業は新規の顧客を訪問します。相手に関するデータがないので、イレギュラーが頻繁に発生します。成果を出すためには「Bイレギュラーへの対応力」が求められるため、経験を経るにつれその能力が高まっていきます。

 

 ルート営業よりも飛び込み営業の方が、「Bイレギュラーへの対応力」が備わり、結果的に「@スピード」と「A安定した成果」でも成長します。もし営業マンとして「プロ中のプロ」を目指すのであれば、若いうちから飛び込み営業を経験すべきでしょう。

 

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041.プロとアマの差は経験数から生まれる  2012.08.10


  プロとアマの差はどこにあるのでしょうか。私は「@スピード」と「A安定した成果」と「Bイレギュラーへの対応力」ではないかと考えています。たとえば料理の場合、アマの中にもレシピさえあれば、プロ並みの料理を作る人もいます。

 

 しかしアマのスピードでは商売になりません。またコンスタントに同じ味を出すこともできません。さらにレシピに指定された材料がそろわなかった場合、プロは適当にアレンジできますが、アマはうまく対応することもできません。

 

 「スピード」「安定した成果」「イレギュラーへの対応力」、これらは知識に経験が加わって、初めて発揮されます。つまりプロとアマの差は「経験数」。プロの強みとは、その圧倒的な経験数によって、つちかわれたものではないでしょうか。

 

  昨年、ロースクールを出て司法試験に合格したばかりの人たちに、税金や経営の話をしました。弁護士の数が増え過ぎて、法律事務所に就職できない人もいるそうです。このままでは知識だけのアマ弁護士で終わってしまいます。

 

 20代のころ、私は残業手当ゼロ円の職場で、1ヶ月100時間以上のサービス残業を買って出ました。経験を積んでプロになりたかったからです。最低賃金でもよいから仕事をたくさん経験しましょう。数年後には必ず成果として表れるはずです。

 

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040.仕事はまず「速い」を目指す  2012.08.09


 前回は吉野家の「早い!安い!うまい!」のお話をしました。これら3つのうち、私が最も重視するのは、「早い(以下「速い」)」です。それは「速い」さえ実現させれば、残り2つの「安い」と「うまい」も同時に実現させやすいからです。

 

  まずは「速い」と「安い」の関係。人件費は「時間給×労働時間」の算式で求められます。だから作業時間を縮めれば人件費コストが下がります。つまり「速い」仕事を実現させれば、当然「安い」販売価格も実現させることができるのです。

 

 少量の仕事をだらだらとこなして、残業手当を稼ぐクセがしみついた人たちがいます。このような者を雇うと、生産性低下とコストアップを招き、価格を引き上げなければ利益が出なくなります。最終的にはお客様にも迷惑を掛けてしまうものです。

 

 次に「速い」と「うまい」の関係。ゆっくり進めて期限ぎりぎりに完成させる場合と、早めに完成させた後、再度、見直す場合、何れがよい結果をまねくのかと言えば、明らかに後者です。結果を出すにも、「速い」は必ず「遅い」に勝るものなのです。

 

  多くの仕事は「能力差」ではなく「経験差」で決まります。同じ経験年数でも「だらだらの人」と「きびきびの人」では、こなす経験数に大きな差が出ます。仕事よりお金に関心の高い人たちが、30代で失速する理由もこのあたりにありそうです。

 

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039.吉野家の、早い!安い!うまい!  2012.08.08


  吉野家のコンセプトは時代と共に変わっています。1970年代は早い、うまい、安い」。ごはんの上には玉ねぎの具もなく、ボロ雑巾のような肉(赤身の少ない脂身)の破片が乗っかっていました。そこに粉末を湯で溶かしたタレがかけてあったのです。

 

 さすがに「うまい」を一番に持ってくるのは気が引けたようです。また価格も安くありませんでした。本当は「早いだけ」。百歩譲っても「早い、安い、うまい」。私たちが深夜に吉野家を利用したのは、他に24時間営業の店がなかったからです。

 

 1980〜1990年代になると「うまい、早い、安い」。私の20〜30代とオーバーラップします。社会人になっても食欲が衰えず、朝から吉野家で牛丼を食べていました。味の方は改善され、毎日、食べてもよいレベルに達しました。

 

 そして2000年代からは「うまい、安い、早い」。「安い」が繰り上がったのは、円高で輸入牛肉の仕入価格が下がったということでしょうか。この後、「すき家」「松屋」といった強力なライバルが現れ、吉野家も苦戦しているようです。

 

 順番はさておき、この「うまい、安い、早い」を目指すのは、経営の王道と言えます。よい製品やサービス、低価格、スピード感、何れも反対であれば、顧客から安定した支持は得られません。単純ですがこれは優れたコンセプトだと思います。

 

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038.コンピューターが人間から仕事を奪う時代  2012.08.07


  今、世界中で中間層(裕福でも貧困でもない人たち)の減少が問題になっています。一部の富裕層はより裕福になり、貧困層が増加するなど、二極化が進んでいます。なぜこれが問題なのかと言うと、中間層が消費の中心を担っているからです。

 

  原因の1つに挙げられるのが、コンピューター化による人員削減。コンピューターが人間から仕事を奪う時代に入ったと言えます。工場も作業をすべてロボット化すれば、経営者は人材育成や労働訴訟などのわずらわしい問題から解放されます。

 

 税理士事務所の仕事も同じ。主な仕事は「税務」と「会計」の2つに分かれます。税務は複雑なので今後も専門職として生き残ることでしょう。しかし会計は単純ですから、コンピューター化によって、既に相当な人員削減が進んでいます。

 

 私の父が税理士事務所を開設した1970年頃は、手書きで帳簿を作らなければいけませんでした。それが今はコンピューター化によって、時間は数分の1まで短縮されています。つまり従業員数も数分の1で済むようになったのです。

 

 今後は「コンピューターにはできない仕事」、これが職業選択のキーワードになるかもしれません。また企業として生き残る場合も、「顧客から見て人間らしさに魅力を感じられる仕事のやり方」に注目すべきなのかもしれません。

 

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037.斎藤一人さんの「仕事が好きな人」と「仕事が嫌いな人」  2012.08.06


 経営の問題を考え始めると、必ず人間の本質に突き当たります。しかしあまり真剣に考えるとドロドロしてきますので、私は斎藤一人さん(漢方薬販売 銀座まるかんの創設者 所得税納税額歴代1位?)のご意見を参考にさせていただいています。

 

 一人さんは複雑な問題をシンプルにとらえます。私も同じタイプの人間ですが、その道の天才によれば、世の中には「仕事が好きな人」と「仕事が嫌いな人」の2種類がいる。ただそれだけのことと割り切ればよいのだそうです。

 

  「仕事が好きな人」は、仕事を通じて人と出会ったり、自分が成長したり、誰かの役に立つことに喜びを感じられる人です。反対に「仕事が嫌いな人」は、働くことに喜びを感じられません。しかし中にお金だけはたくさん欲しいと考える人もいます

 

 これも人格の良し悪しではなく、身長の高い低いと同じように個性の1つ。その人がどう生きるのかはその人の自由と考えましょう。ただし経営者は生産性を向上させなければいけません。だから「仕事が嫌いな人」を雇うことはできないのです。

 

 「仕事が好きな人」だけになると、従業員が自主的に改善を進めてくれます。「仕事が嫌いな人」によって引き起こされる組織内の問題から、経営者は解放されます。本来の仕事つまり組織外にある顧客や社会の問題に取り組めるようになるのです。

 

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036.経営とは個人の弱みをなくすこと?  2012.08.05


 私は専門職に就いているせいか、自分の強みと弱みを明確に区分しています。本業以外はすべて弱みと言っても過言ではありません。たとえば機械の修理。自分で直そうと分解したところ、元の姿に戻ったことは一度もありません。

 

 料理についても同じ。味覚より食欲で食べるタイプなので、何を食べても適度に美味く、味の微妙な違いなどわかりません。だから本業以外のことはすべて専門家の意見を尊重します・・・と言うよりも、自分の意見など何もないのです。

 

 一方の強みについて私見があるのかと言えば、自分が述べていることは、大半が自分よりも優れた人が本などで述べたことです。数ある意見の中から何かを選択したという点では、そこに自分の個性があるのかもしれませんが。

 

 私の事務所は、私の弱みをカバーできるメンバーで固められています。掃除や整理整頓、パソコンのトラブル解消、データ入力(若いころは得意でしたが)、礼状の発送など、私が得意とは言えない分野は、すべて従業員がカバーしています。

 

 経営とは個人的な弱みを、他のメンバーの強みによってカバーする。つまり組織全体としてないものにしてしまうことです。そのためには1人1人が自分の強みと弱みを謙虚に把握し、弱みについては私見に囚われないことではないでしょうか。

 

 ※参考文献  P.F.ドラッカー著「マネジメント エッセンシャル版」  

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035.経営とは人間の強みを活かすこと?  2012.08.04


  「1+1」 算数であれば答は「2」になります。しかし組織の場合、経営の仕方によって、答がマイナスにもなれば、10になることさえあります。この面白さに気づいたのは、高校時代、部活のキャプテンを務めていたときのことです。

 

 メンバーは個性豊かで自己主張が強く、一筋縄ではいきません。しかし一度まとまると、素晴らしい成果を上げます。この経験を通じて、人の組み合わせやルールによって、得られる成果がずいぶん違うことを知りました。

 

 「1+1」の答が、なぜ「2」にならないのか。それは数字ではなく人間だからでしょう。つまり経営とは人間を活かすことに尽きるのではないでしょうか。各人の持つ潜在能力を顕在化させ、成果を上げられるようにするのが経営者の仕事でしょう。

 

  従業員1人1人が自分の強みに気づき、それを発揮して成果を上げられる仕組みを作れば、経営者が日夜、神経をすり減らさなくても、組織は順調に成長します。コストダウンも生産性向上も従業員が自主的に進めてくれるからです。

 

  逆に自分のコピーのような従業員を好む経営者は、毎年、数百万円の給料を払い続けるより、1000万円のロボットを買って、毎月、1万円の電気料を支払った方が安くつきます。ただし「1+1=2」を超えることはできませんが。

 

 ※参考文献  P.F.ドラッカー著「マネジメント エッセンシャル版」  

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034.倒産する前に読んでおきたいドラッカー  2012.08.03


  今から30年以上前のこと、私はアルバイト先の先輩から、大変、重要な話を聞きました。それは「サラリーマンは何か1つに秀でるべきだが、経営者は少しずつでもよいから、幅広く知ること」です。当時はそんなものかと軽く受け止めていました。

 

 しかし経営者として経験を積んだ今、この言葉が正しかったことを痛感しています。例えば営業出身の方、サラリーマン時代は営業のみに力を入れればよかったのですが、経営者になった後も営業ひと筋では、他の部分から経営がほころんできます。

 

 経営者に限らず、社会人であれば「やりたいこと」と「やるべきこと」の区別が必要です。たまにこの区別がつかない従業員が入ってくると、「やりたいことをするなら、逆に私にお金を払いなさい」と注意しますが、なかなか直らないものです。

 

  サラリーマンとして勤務した後も、「やりたいこと」と「やるべきこと」の区別が付かない人が、独立して経営者になると、会社を倒産させる確率が高まります。「やりたいこと」に目を奪われ、他の経営要素が疎かになってしまうからです。

 

 逆に「やりたいこと」よりも、「やるべきこと」を優先させるようにすると、効率よく成果が上がります。P.F.ドラッカー著「マネジメント エッセンシャル版」で、経営の全体像を把握しておけば、多くの倒産は避けられたのではないでしょうか。

 

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033.ドラッカーのマネジメントで経営の全体像をつかむ  2012.08.02


  経営本も経済本と同じように、最初は具体的な内容のものから入った方が、興味が持続すると思われます。しかし、ある程度、慣れてきたら、経営の全体像を把握できるような本を何度も読んで、しっかり自分のものにすべきです。

 

 わかりやすいからと言って、具体性の高い各論ばかり勉強していると、その各論が経営全体の中でどんな役割を果たすべきなのかが解りません。また経営の全体像が見えないと、他の部分からほころびが生じ、けっきょく経営がうまくいかなくなるからです。

 

 経営の全体像を知るためにお勧めなのが、P.F.ドラッカー著「マネジメント エッセンシャル版」。多くの著名な経営者が愛読され、絶賛されている名著です。経営の全体像が網羅されており、1回読めば「経営とは何か」がぼんやりと見えてきます。

 

 私は5回読みました。気になる言葉を抜粋し、ワープロにまとめたところ60ページほどになりました。定期的に読み返して、仕事ぶりのチェックに利用しています。本書はとても1週間で読める代物ではありませんが、挑戦しがいがあります。

 

  ユニクロの柳井正さんがおっしゃる通り、ドラッカーの著書は、自分自身がドラッカーを必要とする時期にならなければ、読んでもピンと来ないものです。私も過去に何度か挫折し、2009年にやっとその世界に入ることができました。

 

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032.初心者におすすめはご近所の書店  2012.08.01


  経営本は経済予測本と違って、最新のものにこだわる必要はありません。10年以上経っても評価が下がらない「本物」もあります。これらは名著として語り継がれていますので、見つけるのは簡単です。しかし初心者には読みづらいものです。

 

 どんなに評判がよくても、自分自身が読み切れないような本を買っても意味がありません。Amazonのレビューだけでは判断できませんので、最初の頃は書店へ足を運びましょう。実際に手に取り、最初の部分を立ち読みしてチェックすべきです。

 

 今の自分には難しすぎると感じたら、将来の候補として棚に戻しましょう。文章、ページ数、活字の大きさ、印刷の濃さなど、内容とは関係ない部分も、重要なポイントになります。最近は年齢のせいか、印刷の薄い本はパスしています。

 

  私がよく利用するのは近所の書店です。家族と買い物に出かけたついでに立ち寄ります。また2〜3ヶ月に一度は、都心の大型店で20冊程度、買い込みます。最近はジュンク堂ロフト名古屋店がお気に入り。2時間ほど長居してチョイスします。

 

 このような大型店は書籍数が多すぎるため、初心者にはお勧めできません。けっきょく何を買ってよいのか決められないからです。ただし世の中には様々な本があることを知るには、よい場所です。一度、出かけられてみてはいかがでしょうか。

 

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031.月1冊のペースから始めたい「経営本」  2012.07.31


  経営本は経済本より多く出回っています。しかも間違ったことが書かれていても、経済予測本のように結果と比較することができません。また他人のおすすめが自分に合うとも限りません。だからこそ良書に出会うまでの道のりは長いのです。

 

 私は2006年6月からビジネス本を多読し始め、2007年、2008年は、約300冊ずつ購入しました。その大半が経営本です。最初に手にしたのが、W・チャン・キム共著「ブルー・オーシャン戦略」。なかなかの選択だったと言えます。

 

 しかしその後はつまらない本もたくさん読み、膨大な時間を浪費しました。実はこの間に良書を見つける目を養ったようです。ビジネス本の初心者は、最初の数十万円を投資と割り切り、たくさん買って、たくさん読むことではないでしょうか。

 

 実は本を読み始めると、お金が貯まります。本を読んでいる限り、他のことでお金を使う暇がなくなるからです。1冊あたり1週間かかる人は、たったの1,500円で1週間を過ごすことができます。難しい本なら1ヶ月、1,500円で済みます。

 

 「多読」の目的は、良書に出会うため、選択眼を養うため、考え方が偏らないため。また良書に出会ったら何度も繰り返し読むのが「精読」。この2つの読書法を使い分けましょう。まずは書店で1冊目を探されることをお勧めします。

 

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030.業績を安定させるために読む「経営本」  2012.07.30


  ベテラン経営者は長年の勘と経験に頼ります。しかし過去に囚われると、変動期には思わぬ判断ミスにつながります。一方、若い経営者は「何かをしたい」という願望と、「わからない」ために起きる不安の狭間で揺れ動いています。

  

 「勘と経験による経営」「願望と不安による経営」、この2つに共通するのは、「自分の思い」からスタートしている点。事業のあり方を決めるのは、顧客つまり社会ですから、一度、自分から離れない限り、「経営とは何か」は見えてこないものです。

  

  30代までの私は「経営とは何か」が見えないため、仕事を増やすことしか、業績を安定させる方法はないと考えていました。しかし一方では、そのような方法がいつまでも続く訳がないと、一抹の疑問を抱いていたことも確かです。

  

 このような状況から脱却したいと動き始めたのが2006年。45歳のときのことです。経営本を読んで「経営とは何か」を明確にし、これに基づいて経営を進めること。確信の持てる経営によって業績を安定させること。これらを目標にしました。

  

 その後は毎年100冊以上の経営本に目を通しました。次第に「経営とは何か」が見えてきたおかげで、業績をコントロールできるようになりました。その結果、精神的な疲労感が減少し、仕事に対して前向きな姿勢を取り戻すことができたのです。

 

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029.米国経済は浮上も破綻もなし?  2012.07.28


  米国経済は低迷したままではないでしょうか。リーマン・ショックまで続いた無秩序なマネーゲームのおかげで、相当、深い傷を負っているはずです。しかし欧州の方がより悲惨な状態にあるため、米国にとってはそれが幸いしているようです。

 

 ゲームマネーは「危険な地域から、少しでもマシな地域へ」。欧州から引き上げられたお金が米国にも流入しています。最も安全なのは日本ですが、低金利のため投資先として魅力に欠けます。米国債が買われる理由はこのあたりにありそうです。

 

 三橋貴明著「ユーロ崩壊」によれば、米国債も日本国債もデフォルトしません。なぜなら自国で自由に紙幣を刷ることができるから。ユーロ圏が危ないのは、各国で自由にユーロ紙幣を刷ることができないから。言われてみればその通りです。

 

 米国は11月に大統領選を控えています。この選挙を有利に戦うために、オバマ大統領がタイミングを見計らって、QE3(量的金融緩和策第3弾)の実施を発表すると、もっぱらの噂です。ここで量的金融緩和策について、ご説明しましょう。

 

 量的金融緩和策とは、FRBが米国債などを買い取ることによって、市場に出回る資金量を増やし、企業倒産などを防止する対策のことです。これによって今回も問題が先送りされますが、同時に大きな混乱も避けられると考えられます。

 

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028.2013年は中国経済に注意  2012.07.27


  経済本を読んでいると、リーマン・ショック並みの大激震が、いつ訪れても不思議ではなさそうです。震源地として1番目の候補に挙がるのはユーロ圏でしょう。2番目はどこか。それは中国ではないでしょうか。こちらはバブル崩壊が懸念されています。

 

  中国は輸出依存度の高い国ですが、欧州向け輸出高が減少し、成長率にブレーキがかかっています。また人件費も高騰し、「世界の工場」としての役割が、東南アジアへ移りつつあります。さらにバブル崩壊の指標となる不動産価格も下落し始めています。

 

 中国やインドは、長期的には経済成長が見込まれるそうですが、短期的にはバブル崩壊の可能性もあるようです。昨年、中国江蘇省生まれ、多摩大学大学院客員教授の沈才淋(しんさいひん)さんの講演をお聴きしました。

 

  沈さんによれば、中国は民主主義でないことが幸いし、対応策をスピーディーに実施できるため、リーマン・ショックなどの外変には強いそうです。ところが自国の政変には弱く、過去4回のうち、3回も不況を経験しています。

 

 今年はその政変の年です。中国トップが、胡錦濤(こきんとう)氏から周近平(しゅうきんぺい)氏に交代します。就任前から様々な問題を抱える中、中国の新しいトップがどのように乗りきっていくのか、世界中から注目を集めています。

 

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027.8月は円高と日経平均株価下落に注意  2012.07.26


 8月は円高が予測されています。米国債の償還額が多いため、米国債を多く保有する日本人が、手にした米ドルを円に換金する(米ドルを売って円を買う)ため、起きるようです。さらに日経平均株価も下落する可能性があります。

 

 対米ドルの為替相場と、日経平均株価はきれいな相関関係を維持しています。つまり日経平均株価が下がると円高になります。なぜでしょうか。この関係をわかりやすく示すと以下のようになります。根拠部分は榊原英資さんの著書より。

 

 不況になる(日経平均株価が下がる) → 日本企業が保有する米ドル建て株式や債券を売る → 日本企業は米ドルを手にする → 米ドルを売って円を買う(この時点で円高ドル安が進む) → その円を借金返済に充てる → 円高が進みさらに不況になる

 

 トヨタは生産拠点をフランスやカナダへ、ホンダは米国へ移しつつあります。この動きから推測すると、それぞれの国の通貨、ユーロ、カナダドル、米ドルが安くなる。つまり、トヨタもホンダも「円高」が進むと予測しているのかもしれません。

 

 反対に「日本は多額の債務を抱えているから財政破綻する」と主張する人たちもいます。これが本当なら長期金利が上がり、「円安」に進むはずです。しかし現実は反対。理由はよくわかりません。何れにしても8月の円高と株価下落にはご注意ください。

 

 ※参考文献等  日本経済新聞  榊原英資著「通貨で読み解く世界同時恐慌」  

 

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026.なぜ「経済予測本」を先に読むのか  2012.07.25


  なぜ「予測本」を先に読んだ方がよいのでしょうか。頭で考えるのが得意な人は、最初から「解説本」で基本から学ぶべきです。しかし一般的な人は、難しい理屈から始めると、そぐに挫折します。だからこそ具体的な話から進めるべきでしょう。

 

 「為替の仕組み」の話よりも、「来年は1ドル60円台」の話の方が、取っつきやすいのではないでしょうか。「解説本」より先に「予測本」を読む理由はここにあります。しかし「予測本」を読み進めると、やがて意味がわからなくなります。

 

 必要性を感じた時点で「解説本」の登場です。たとえば為替を知りたいなら、角川総一著「為替が動くとどうなるのか」がお勧めです。為替相場、金利(短期と長期)、株式相場、通貨の供給量、ソブリン債(国債)などは、すべてリンクしています。

 

 これらが頭の中で1本の線でつながるとしめたものです。たとえば円の供給量を増やすと、円安が進みデフレを脱却できます。しかし日銀が第一歩を踏み出せないのは、長期金利が上がり、日本国債の暴落が予想されるからかもしれません。

 

  市場を流通する円の量を増やす → 多くあるものは価値を下げる → 円の価値が下がる → インフレ(物価・株価が上がる) → 長期金利が上がる → 日本国債が償還できなくなる → 日本が財政破綻する・・・このような流れでしょうか。

 

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025.経済本の読み方  2012.07.24


 いざ経済本を読もうとしても、何から読み始めてよいのか、最初はわからないものです。私は経済本を「予測本」と「解説本」に分けて考えます。まずは半年以内に発行された「予測本」を、Amazonのレビューなどで下調べしましょう。

 

 そして評判のよさそうなものを数冊ピックアップしたら、ネットではなく実際に書店で現物を確認し1、2冊、購入しましょう。ページ数や、長さ、文体、活字の大きさなどの点で、自分で読みにくいものを買っても、途中で投げ出してしまうからです。

 

 初めての方にはやや難しいのですが、内容に偏りが少なく、経済の基本知識も得られる点でお勧めなのが、ミスター円こと榊原英資さんの著書「通貨で読み解く世界同時恐慌」です。この本を読んだら、必ず反対意見の人の本も読んでおきましょう。

 

 たとえば為替の問題。「円高」と予測する著者が多い一方、中には「円安」を主張し続ける藤巻健史さんのような方もみえます。新聞広告を見ると著書「なぜ日本は破綻寸前なのに円高なのか」は大好評のようですが、Amazonのレビューはいかに?

 

 結論は円高か円安の何れかしかありません。だからポイントは根拠にあります。何を根拠に結論を出しているのか。その部分を理解しておけば、今後、根拠部分に動きがあった時点で、為替相場が反対に動く可能性に気づくことができるからです。

 

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024.大きなミスを避けるために読む「経済本」  2012.07.23


 経済の仕組みが大まかにわかると、大きなミスを避けられるようになります。たとえば見通しが不透明だとわかれば、設備投資や人員補強を見送ることができます。円高が進むとわかれば、銀行の勧めるがままに外貨に手を出さなくなります。

 

  これらで判断ミスを犯すと、日常的なミスよりも、はるかに大きな損失を被ります。おかげで経営危機を迎える会社さえあります。しかし多くの人が経済を理解しようとしません。なぜなら経済を難しいものと考えているからではないでしょうか。

 

  確かに学者レベルを目指すのは困難と言えます。しかし目的は「自社の経営に役立てるため」。このレベルなら、数ヶ月の勉強で、効果が出始めるものです。実はこの私も2008年7月まで、経済予測本をまともに読んだことが、一度もありませんでした。

 

 最初に手にしたのが副島隆彦著「連鎖する大暴落」。そこには2ヶ月後に起きる米国発金融危機のことが書かれていました。その予測どおりリーマン・ショックが起きたのです。最初の1冊目からいきなり当たったおかげで、俄然とやる気が出ました。

 

 その後は経済に関する予測本と解説本を片っ端から読んで、実際の記事やニュースと比較しました。中小企業は経済の基本さえ押さえれば、大きな判断ミスを避けられます。お金はやはり大切なものなので、ぜひチャレンジしていただきたいものです。

 

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023.ビジネス本を読む目的  2012.07.21


  2008年7月、私は偶然手にした副島隆彦著「連鎖する大暴落」のおかげで、リーマンショックの一ヶ月前に米ドル建て生命保険を解約しました。たった1,575円の本のおかげで、数十万円のドル暴落による損失を回避できたのです。

 

 さらに実行していれば、大儲けできたであろう残念な話もあります。たとえば金の価格。当時は1gあたり2,400円台でしたが、現在は4200円台。また飛島建設の株価は当時1株12円でしたが、その後210円台まで上がりました。

 

 「1,500円の本が1,500万円の利益に化ける」ことも十分あり得るのです。だから本ほど安いものはないと考えています。しかし私が本当に求めているのは、このような結果ではなく、何がどうなると結果がどうなるのかという部分です。

 

 たとえばいくら財産があっても、稼ぎ方を知らなければ不安でたまりません。逆に稼ぐ方法と破綻の原因を知っていれば、財産はなくても、心に余裕を持って生きられます。「不安は無知から生ずる」とは、偉大な哲学者カントの言葉です。

 

  私が本を読む目的はここにあるのかもしれません。自分がどうあるべきかを決めるために、経済の仕組み、経営の方法、人間の本質、過去の歴史、科学技術の未来など、今、生きている世界に対する理解を深めようとしているのでしょう。

 

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022.ビジネス本の魅力  2012.07.20


  自分の思考を飛躍させるためには、非日常に触れるのが一番です。講演の他にはセミナーや異業種交流会もあります。しかし何れもお金と時間がかかる割に成果が得られません。セミナーの中には高額な教材を買わせることが目的のものもあります。

 

 異業種交流会は勉強ではなく人づきあいを学ぶ場です。目的は「よい出会い」。中には遊び中心の交流会もあれば、あまりに負担が重く本業が疎かになる交流会もあります。求める目的に合わなければ、さっさと辞めてしまうことです。

 

 私は主にビジネス本を読みます。年間150〜300冊購入します。最後まで読むのは約20%。なぜ多く本を買うのか。それは良書に出会うため。なぜ最後まで読まないのか。大半の本は最初の100ページに大切なことが書かれているからです。

 

 本の魅力は、日常では出会えない人たち(分野・レベル・場所)のエッセンスが、安く簡単に手に入ること。優れた先人の言葉にも出会えること。好きな時間に、好きなだけ、好きな場所で吸収できること。捨てても恨まれないこと。

 

 たくさん本を読んでいると、毎日のように新たな発見に出会います。そこで無知に気づかされます。価値観を微調整するために、自分と格闘しなければいけません。そうするうちに自分に固執する生き方の愚かさに気づくこともできます。

 

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021.野口健さんから学んだこと  2012.07.19


  20代最後の夏、私は山に登りました。場所は八ヶ岳と南アルプス。ところが何組かのおばさん登山隊に抜かれた末、やっとの思いで登頂しました。だからこそ野口さんが達成された「史上最年少 7大陸最高峰制覇」のすごさもよくわかります。

 

 しかしどんな分野にも、並み外れた運と才能を備えた人がいます。だから一般の私たちが、その驚異的な成果から学べることは、意外に少ないものです。野口さんから学ぶべきことは、その後のブレない生き方にあるのではないでしょうか。

 

 富士山やエベレストの清掃、フィリピンでの戦没者の遺骨収集、これらをボランティアで行っていられるそうです。その動機は「ロマン」だと答えられていました。この講演をお聴きし、私は「小さな思いで生きていてはいけない」ことを痛感しました。

 

 人間の能力差など大したものではありません。何が人生を決めるのかと言えば、それは各人の思い。小さな思いで生きていれば、小さな人生しか巡ってきません。自分の可能性を最も否定しているのは自分自身なんだと気づくべきでしょう

 

  野口さんの話に戻ると、富士山を世界遺産にしたいと叫んだところ、多くの抵抗にあわれたそうです。私も経理の合理化を提案したところ、抵抗にあったことがあります。世の中には環境や会社がよくなると、都合が悪くなる人もいるようです。

 

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020.努力の時期と飛躍の時期  2012.07.18


 経済が成長している時期、安定している時期は、日常的な努力さえ怠らなければ、何とかやっていけるものです。周囲に歩調をあわせるだけで、それなりの生活を送ることもできます。1945年の終戦以来、日本はこのような道を歩んできました。

 

 しかし2008年のリーマン・ショック以降、世界経済は急変しました。大きな要因は「欧米諸国の衰退」と「新興国の台頭」でしょう。このような大きな変動期に入ると、日常的な努力だけでは生き残れないと、私は考えています。

 

 鉄道に例えると、日常的な努力とはレールの上を走ることです。しかし変動期には、そのレールの行き先が間違っている可能性があります。真面目に努力するほど、貧困になる恐れもあります。だからレールを敷き直さなければいけません。

 

 そのためには、日常的に使い慣れた思考から「飛躍」する必要があります。「異なる物の見方」「新たな知識」「未知なる世界」に触れ、自分の価値観の一部をぶち壊し、そこに新たなものを採り入れて、再構築しなければいけません。

 

  そこに求められるのは、日常ではなく、非日常です。先週、アルピニストの野口健さんの講演をお聴きしました。成果は「今の自分ではいけない」ことに気づかされたこと。今後も意識的にこのような機会を増やしたいものです。

 

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019.火事場の馬鹿力をコンスタントに発揮する  2012.07.17


  人間は非常時になると大きな力を発揮することができます。これは「火事場の馬鹿力」と呼ばれ、自分で驚くことさえあります。しかし喜んでばかりはいられません。裏を返せば、平常時は持っている力のほとんどを発揮していないのですから。

 

 人生は非常時よりも平常時の方がはるかに長いものです。火事場にしか本来の力を発揮できないような生き方は、もったいないと言えます。そこで平常時でも火事場の馬鹿力が出せるように訓練すると、見違えるほど成果が上がります。

 

 どうすればよいのでしょうか。それは自分の環境を自ら「火事場」にすることです。何も危機的状況を作れという訳ではありません。今の自分よりも高い目標を持つこと。つまり自分の限界に挑戦し続けるようにするのです。

 

  自分の限界に挑戦し、それを超えた経験を持つ人だけが、自分の成長を実感し、そこに生き甲斐を感じることができます。比較すべきは昨日の自分。反対に身近な他人と比較すると、周囲のレベルが低ければそこに甘んじてしまいます。

 

 かつて私は「火事場だけ頑張る人間」でした。テストは一夜漬けの名人。前日になると集中力が増すことを知り、ぎりぎりまで努力しませんでした。ところが社会人になり、このままでは「要領のよい器の小さな人間」に終わることを知ったのです。

 

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018.もう1つの見えないコスト「時間」を縮める  2012.07.14

   
  人件費は「時間給×労働時間」の算式で求められます。月給制を採っていても、時間外労働はこの算式に割増率を乗じる訳ですから、基本はこの算式によるものと考えられます。もう1つの「見えないコスト」は、この算式の中の「時間」です。

 

  従業員1人1人の時間当たりの生産性を測定している企業はほとんどありません。誰が生産性が高く、誰が生産性が低いのかが曖昧なまま、給料や昇進が決まっています。おかげでコストが上がり、価格を引き上げ、企業経営を圧迫しているのです。

 

 会社が求めるコストダウンと生産性向上、従業員が求める雇用の安定は、以下のプロセスで両立が可能です。 @作業時間を縮める → A生産性を高める → Bコストが下がる → C価格が下がる → D仕事が増える → E雇用が安定する

 

 しかし世の中にはいろんな人がいます。プラス思考の人はたくさん仕事をすると、能力も身に付くし、これで社内の地位も安泰だと考えるでしょう。一方、マイナス思考の人は同じ給料でたくさん仕事をすると、損をしたと考えるようです。

 

 少子高齢化が進む日本社会では、雇用市場も縮小し、失業率も高まる恐れがあります。マイナス思考の人は成長が止まり、能力の低下が進みますから、やがて就職先もなくなるでしょう。またこのような人を雇用する企業もどこか覇気がないものです。

 

  従業員を生産性の高い人間に育てる。それによって会社も本人も繁栄することができます。万が一、自社が倒産しても、従業員が再就職に困ることはないでしょう。そのスタートは「作業時間をいかに縮めるか」にあるのではないでしょうか。

 

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017.人件費の見える化  2012.07.13

  
  会社にとって従業員は「収益源」であると同時に「コスト」でもあります。生産性の低い従業員は「コスト」の意味合いが強くなります。しかしなぜその事実に気づかないのでしょうか。それは「人件費が目に見えないコスト」だからです。

 

 自分の給与が何を根拠にいくら支払われているのかが明瞭になっていないからです。ある会社では「人件費の見える化」のために、各従業員ごとに「売上高と支払ったコスト、残る利益」を明らかにし、1人1人と面接 を行っています。

 

 このようなことをきちんと実施すれば、給料が低くても納得しやすく、本人が努力すべき方向性も見えてきます。労使が対立する時代は終わったと思います。トヨタのような優良企業ならいざ知らず、中小企業は存続さえ危ない状況です。

 

 労使が利益をめぐって対立している余裕などありません。業績を伸ばすために、全員が一丸となって、同じ方向を目指すべきなのです。そのためには労使間の理解が欠かせません。「人件費の見える化」は有効な方法の1つではないでしょうか。

 

 言葉は抽象的で具体性に欠けるため、食い違いが生じます。反対に数字には具体性があります。人件費の見える化によって、算定された数字を材料に、従業員の給料が増え、かつ会社も繁栄する方法を、両者で模索されてはいかがでしょうか。

 

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016.1 時間あたりの人件費の算定方法  2012.07.12

 
  コストダウンを進める場合は、「コストダウンのためにそれ以上の人件費をかけない」。一方、生産性向上を進める場合は、「かけた人件費に対して、より収益性を高めること」がポイントになります。その基準となる人件費の簡単な算定方法をご説明しましょう。

 

 (1)年間の人件費
  @給料の総支給額 + A社会保険料 + B通勤手当
  (注)@自社発行の源泉徴収票の「支払金額」欄より A源泉徴収票の「社会保険料等の金額」より B月額×12 
    社会保険料の会社負担額はAよりやや多い金額になりますが、計算の簡素化のため個人負担分で計算
                      
 (2)1時間あたりの人件費
  (1)で求めた年間人件費 ÷ C年間労働時間(残業時間を含む)
  (注)Cがわからない場合は、1800時間で計算してください。
 

  
 ● (例)年収500万円、通勤手当が月額1万円、社会保険料が年間で約70万円の従業員の場合。

 

 (1)年間の人件費
  @給料の総支給額 + A社会保険料 + B通勤手当 = 582万円
                      
 (2)1時間あたりの人件費
  (1)で求めた年間人件費 ÷ 1800時間 ≒ 3,233円/時間  →  1日8時間なら25,864円/日

 

  この方法により各従業員の1時間あたりの人件費コストが計算できれば、各従業員が「勤務時間内に自分は何をすべきか、何を切り捨てればよいのか」「1時間、1日、1ヶ月あたりの数値目標」を考えるきっかけになるのではないでしょうか。

 

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015.人件費は目に見えないコスト  2012.07.11

 
 「コストダウン」と「生産性向上」、実は人件費と密接な関係にあります。まずはコストダウン。コピーに裏紙を使用したり、エアコンの冷房温度を高く設定する企業があります。しかしかえって高い人件費がかかってしまうケースもあります。

 

 裏紙を使うと紙づまりが起きます。その度に1人の従業員が修理し、さらにその他の従業員の作業も中断します。またエアコンの設定温度を上げると作業効率が落ちます。2例とも環境的によくても、コスト面からは疑問が残ります。

 

 私たちは 目に見えるコストダウンに囚われがちです。するともう1つの目に見えないコスト、「人件費」がそれ以上にかかってしまう 恐れがあります。多くの企業でコストダウンがうまく進まない理由は、この点にあるのではないでしょうか。

 

 一方、生産性向上は、時間当たりの収益性を高めるためのものです。つまり、こちらも「人件費のコストダウン」と言えます。だから両者を成功させるためには、まず自社の人件費について、正しく理解する必要があると言えます。

 

 1990年代のバブル崩壊後、不動産や株式の時価が暴落したにもかかわらず、人件費だけが上昇しました。コスト削減を考える場合、まずは人件費に注目する。何を進めるにしても、人件費への影響を、必ず念頭に置かれるべき でしょう。

 

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014.コストダウンと生産性向上(後編)  2012.07.10

 

 ・・・前回のつづき 

 

 ある日のこと、近所に量販店ができました。そこでは同じパソコンが1台7万円で売られています。両社は対抗して7万円で販売しなければいけません。これまでどおり年間100台販売できたとすると、売上高は年間で700万円になります。

 

 (1)コストが800万円かかるA社の場合・・・ 
 利益は▲100万円(700万円−800万円)、利益率は▲10%(▲100万円÷1000万円)になります。

 

 (2)コストが600万円かかるB社の場合・・・
 利益は+100万円(700万円−600万円)、利益率は+10%(100万円÷1000万円)になります。

 

 B社は価格を下げても利益が確保できるため、今後も事業継続が可能です。さらに100万円ずつお金が貯まります。反対にA社は毎年100万円ずつ資金が減り、このまま続ければ過去の蓄えを吐き出し、借金を重ねたあげく倒産することでしょう。

 

 両社の運命を分けたのはコストの違いでした。コストを下げると企業として競争力が高まることがわかります。コストを下げるための方法は2つ。コストダウンと生産性向上です。今後はこのテーマに沿って、お話しを続けます。

 

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013.コストダウンと生産性向上(前編)  2012.07.09


  私は2006年からコストダウンと生産性向上に取り組んできました。成果が出始めたのは2009年。そこで改めてわかったのは、両者がうまくいくと、財政的にも精神的にも楽になるということです。今回以後はそのお話をしましょう。

 

 一般の皆様には具体的に数字を示してご説明した方が理解しやすいと思います。それでは例題。たとえばA社とB社は共に、1台10万円のパソコンを、年間100台販売していたとします。売上高は年間で1000万円になります。

 

 (1)コストが800万円かかるA社の場合・・・
 利益は+200万円(1000万円−800万円)、利益率は+20%(200万円÷1000万円)になります。

 

 (2)コストが600万円かかるB社の場合・・・
 利益は+400万円(1000万円−600万円)、利益率は+40%(400万円÷1000万円)になります。

 

 (1)のケースと(2)のケースを比較すると、B社の方が有利なことがわかります。B社はA社に対して、利益率が2倍のため利益も2倍得られます。これにより社内に留保される金額も、B社はA社より200万円多いことがわかります。

・・・つづく 

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012.イノベーションに挑戦しよう!  2012.07.07


  前回までにお話ししたことをまとめてみましょう。日本人は「改善」が得意です。しかし市場が成熟化すると、いくら改善を重ねても業績が上向くことなく、悪化するばかりです。改善すればするほど価格が下がるというジレンマに陥ります。

 

  改善はもともと同業他社と同じカテゴリーの中で競争に勝つためのものです。しかし市場が成熟化すると、改善の選択肢が狭まり、どの企業も似たり寄ったりの改善を繰り返すため、製品やサービスの差別化が難しくなります。

 

 顧客から見てわかりやすいのは価格の違いのみ。これが原因で価格競争が起こり、いくら改善を重ねても利益率が低下し、経営は苦しくなるばかりです。改善自体は素晴らしいものですが、改善だけでは必ず行き詰まるのではないでしょうか。

 

 イノベーション(革新)戦略は、他の業種、他の分野の異なる要素を結びつけることによって、新たな市場を生み出すための戦略です。また顧客から見て新たなカテゴリーへ移動することによって、価格競争を回避することもできます。

 

 自社の製品やサービスに異なる業界の要素を結びつけたら、一体どんな新しい価値が生まれるのか。イノベーションはこの問いかけからスタートします。日本経済復活のためにも、皆様のイノーべーションへの挑戦を大いに期待しております。

 

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011.新しい発想を生み出すためのトレーニング法  2012.07.06


  破壊的イノベーションにより、世界で最も影響力のあるマネジメントに選ばれた、クレイトン・M・クリステンセンは最新本の中で、「関連づける力を伸ばすヒント」を5つ提案していますので、一部を簡単にご紹介しましょう。

  

 @新しい関連づけを強制する
 自社の抱える問題や課題を思い浮かべる。次に適当なカタログを開き、最初に目についた製品と自社の問題や課題にどんな関係があるのかを考える。その製品が顧客へ提供している問題解決方法を、自社でも利用できないか想像してみる。

 

 A他社になりすます
 「破壊デー」なる催しを開く。アップルのような進んだ企業の服やグッズを身につけ、アップルの社員になりすまして自社の問題に取り組む。また適当に選んだ他社と、提携したり合併したら、どんな新しい価値を生み出せるか考える。

 

 Bたとえを考える
  自社の製品やサービスを何かにたとえてみる。雑誌を読むようにテレビ鑑賞できないか → テレビ番組の自動録画サービス「ディーポ」。また自社の製品やサービスがiPhonのようになったらどうなるだろうと考えてみる。

 

 Cおもしろ箱をつくる
 風変わりで珍しいものは、新しい関連づけを促しやすい。だから変わったものを箱に集めて眺める。

 

 Dスキャンパー
  (Substitute 代用)、(Combine 結合)、(Adapt 応用)、(Magnify 拡大 Minimize 縮小 Modify 変更)、(Put to other uses 転用)、(Eliminate 除去)、(Reverse 逆転 Rearrange 並べ替え)・・・洞察を生み出すための手法の頭文字。

  

 ※参考文献  クレイトン・M・クリステンセン他著「イノべーションのDNA」

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010.イノベーションとは新たな組み合わせ?  2012.07.05


 イノベーションの重要性を最初に説いたのは、1883年にオーストリア・ハンガリー王国で生まれた経済学者ヨーゼフ・A・シュンペーターでしょうか。ドラッカー一家とも親しく、ドラッカーの経営理論に影響を及ぼしたと言われています。

 

 シュンペーターは「イノベーションとは新結合(すでにあるもの同士を、これまでと違った方法で結びつけること)」だと述べています。現代に生きる、破壊的イノベーションの提唱者、クレイトン・M・クリステンセンも「関連づけ」と述べています。

 

 「天才の発明も既存のアイデアを組み合わせに過ぎない」と言われています。まったく新しいアイデアを生み出せと言われたら、諦めるしかありませんが、新しい組み合わせを考えるだけなら、自分でも何とかできそうな気がしませんか。

 

 パソコンと様々なものを結びつけて世界的ヒットを生み出したのがスティーブ・ジョブズ。トンカツとカレーライスを結びつけて、カツカレーを生み出したのが、プロ野球往年のスター千葉茂さん。いろいろやってみる価値がありそうです。

 

  斬新なアイデアを生むためには、既存の常識を捨てなければいけません。そのためには現状を疑うこと。現状とは何か。なぜそうなったのか。そして現状をいかに破壊して、新しいものを生み出すのか。ここからスタートするようです。

 

 ※参考文献  クレイトン・M・クリステンセン他著「イノべーションのDNA」
            中野明著「シュンペーターの経済学がよくわかる本」 

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009.「改善の努力」だけではピンチを招くケース  2012.07.04

 

 ここで「努力」について考えてみましょう。回転寿司店と比べて、従来店は努力が足りなかったのでしょうか。決してそうではありません。高品質化など改善のために賢明に努力されたと思います。どこに違いがあったのでしょうか。

 

 それは「努力の有無」ではなく、「努力の目標」ではないでしょうか。目標を最初から間違えると、努力はすべて仇になって戻ってきます。この「目標(指標)」に日本人は弱いと、鈴木博毅著「超入門 失敗の本質」の中でも指摘されています。

 

 従来店は商品のライフサイクルが最盛期を過ぎた後も、既存のカテゴリーの中で「改善」を進めました。より高価格層の顧客の獲得を目標にしました。しかし低価格層の顧客から目を背けたことが、回転寿司店をさらに勢いづけたのです。

 

 改善のために努力することは素晴らしいことです。しかし市場の成熟化が進むにつれ、「改善」から「革新」へと軸足を移すべきだったのではないでしょうか。この2つの使い分けができれば、鬼に金棒なのでしょうが、非常に難しいと言えます。

 

 日本人は努力を無条件によいものと考えがちです。しかし実は失敗を目指して、一所懸命に努力をしていることもあります。せっかくの努力を無にしないためにも、「目標が正しいのかどうか」について、定期的にチェックしたいものです。

 

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008.回転寿司店から学びたい破壊的イノベーション  2012.07.03


  前回お話しした回転寿司について、破壊的イノベーションの観点から、下記にポイントを挙げました「破壊的イノベーションを、自社で実現させたい」、「他社が実現させて廃業に追い込まれるかもしれない」。読後の感想はいかがでしょうか。

 

@従来最低価格のさらに下からスタート
 回転寿司店は従来の寿司店の顧客の最下層より、さらに下(ノン・カスタマー)からスタートした。従来店は既存の顧客層(カスタマー)しか見ていなかったため、回転寿司を別モノととらえ、ほとんど警戒していなかった。

 

A新たな価値を提供し、新たな市場(需要)を生み出す
 回転寿司店は従来店にはない「家族団らん」という新たな価値を備えていた。これが社会の方向性とマッチしたため、急激に支持層を拡げていった。これは他の外食産業の顧客を奪うまでの結果になった。

 

Bさらに大きな支持を狙う
 回転寿司店は品質と価格帯を上げ、顧客層をじわじわと上層へ拡大した。一方の従来店はマーケティング戦略の「差別化」を実践し、「専門店」「高級店」など高価格層を目指す店も少なくなかった。しかしそれはさらに下層の顧客を失わせた。

 

Cコストダウンのノウハウの有無
 回転寿司店と従来店の品質差が縮んだ今、従来店はコストダウンのノウハウを持たないため、コストパフォーマンスの点で太刀打ちできない。価格を下げても顧客数が増加しないため、価格を下げることもできない状況になった。

 

Dイノベーションにも賞味期限
 多くの従来店が閉店に追い込まれる一方、超高級店と回転寿司店の二極化が進む。超高級店はリーマン・ショック後、顧客数が激減。また回転寿司店の中でも熾烈な競争が繰り広げられる。回転寿司店にもさらなるイノベーションが望まれる。

 

 ※参考文献  中野明著「クレイトン・クリステンセンの破壊的イノベーションがよくわかる本」 

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007.世界で最も注目される破壊的イノベーション  2012.07.02


  中野明著「クレイトン・クリステンセンの破壊的イノベーションがよくわかる本」を読んだときの衝撃を未だに忘れられません。もし自分の業界で起きたら、相当な打撃を受けます。数年前から進めてきた低料金化をさらに進める決意をしました。

 

 簡単にご説明すると、価格も品質も低い商品が、従来の顧客層のさらに下層から支持を拡げ、やがて市場を支配するといった内容です。破壊的イノベーションは、どの業界でも起こる危険性がありますので、十分な注意を払う必要があります。

 

 例えば「回転寿司」。「あんなものは寿司じゃない」と、当初は多くの人が見下していました。ところが今や大盛況。従来型の寿司店が、どれだけ閉店に追い込まれたことでしょうか。このポイントについては、次回ご説明します。

 

 クリステンセン教授は、競争戦略の世界的権威マイケル・E・ポーターと、ハーバード大学ビジネススクールで、人気を分かち合う看板教授です。2001年に発行された著書「イノベーションのジレンマ」で一躍有名になりました。

 

  また世界で最も影響力のあるマネジメントの権威50人「Thinkers50」の中で、クリステンセン教授が2011年の第1位に選ばれました。破壊的イノベーションは、今世界で最も注目されている戦略の1つなのかもしれません。

 

 ※参考文献  中野明著「クレイトン・M・クリステンセンの破壊的イノベーションがよくわかる本」 

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006.業界の違いから見たイノベーション戦略の必要性  2012.06.30


 イノベーション戦略に取り組むべきかどうか。もし自社の属する業界が、今のままでも長期間、安定した収益を確保できるのであれば、マーケティング戦略のみでよいと思われます。あえて難しいイノベーション戦略に手を出す必要はないでしょう。

 

 しかし、そのような恵まれた業界など、今の日本に一体どれだけあるのでしょうか。大半の企業は利益が上がらず苦しんでいます。どこも似たような製品やサービスのため、競争に巻き込まれ、低価格化が進んでしまうからです。

 

 価格競争から抜け出すためには、顧客が単純に比較できない状況をつくり出すこと。つまり顧客から見て同業他社と異なるカテゴリーを作り、そこに移動することではないでしょうか。そこには新たな顧客の需要が見込まれなければいけません。

 

  「004.ランチェスター戦略とブルー・オーシャン戦略の違い 」でお話しした鮮魚店。「地域一番の本格まぐろ店」は他店のまぐろ価格と単純に比較が可能です。しかし「健康デパート」のサービス価格は単純に比較することができません。

 

 この方向性を説いているのがイノベーション戦略。具体的な戦略方法を提案しているのが、W・チャン・キムとR・モボルニュの「ブルー・オーシャン戦略」や、クレイトン・M・クリステンセンの「破壊的イノベーション」などです。

 

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005.困ったときこそドラッカー  2012.06.29


  ランチェスター戦略の勉強を始めると、「自社は何で1位を取るべきなのか」を決めなければいけません。しかし大半の企業は思い当たる材料もなく悩みます。毎日、熱病に冒されたかのごとく、昼夜を問わず自問自答に苦しむことになります。

 

 私は過去に勉強仲間と共にこの苦しみを味わいました。もともと順位にこだわらない性格なので不向きとも言えます。この呪縛から解放してくれたのがドラッカー。「つまらない1位より有益な100位に価値があること」を教えてくれました。

 

  ブルー・オーシャン戦略に出会ったのは、ランチェスター戦略に出会う1年前の2006年。こちらは理解そのものに苦しみました。挫折と再チャレンジを繰り返し、2009年にやっと理解に至ったのです。こちらもやはりドラッカーのおかげでした。

 

  「事業の目的は顧客の創造」「その方法はマーケティングとイノベーションの2つ」。ランチェスター戦略はマーケティング戦略の1つ。ブルー・オーシャン戦略はイノベーション戦略の1つ。これで位置づけが明確になり、すっきりしたのです。

 

  「ランチェスター戦略とブルー・オーシャン戦略の違い」。現在も当事務所のホームページに、この検索用語でアクセスがあります。このような方には、ドラッカー著「マネジメント エッセンシャル版」にて、経営の基礎を学ばれることをお勧めします。

 

 ※参考文献  P.F.ドラッカー著「経営の哲学」 

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004.ランチェスター戦略とブルー・オーシャン戦略の違い  2012.06.28

 

 ランチェスター戦略とブルー・オーシャン戦略の違いがわかると、マーケティング戦略とイノベーション戦略の違いも理解しやすくなります。両者を例にご説明しましょう。小売店の業績を決定する重要な要素が、たとえば下記の5つと仮定します。

 

@商品構成 A立地条件 B広告宣伝 C仕入価格 D顧客対応

 

  ランチェスター戦略(マーケティング戦略)は、この中の1つを選択し、さらに細分化し、その中で1位を目指します。鮮魚店の場合、「@商品構成」を選択したとすると、商品構成 → まぐろに特化 → 「地域一番の本格まぐろ店」と言った進め方。

 

 一方、ブルー・オーシャン戦略(イノベーション戦略)は、5つの要素を「増やすもの」「減らすもの」「捨てるもの」に分類し、さらに他の業界から「つけ加えるもの」を選択します。この作業のポイントは、顧客に何を提供できるかにあるようです。

 

 もし「健康」を提供するのであれば、魚の品数を絞る → 無農薬野菜や健康食品も加える → 栄養士の研修を開催 → スポーツクラブや総合病院と提携 → 「健康のデパート」と言った進め方。顧客には同業他社と異なるカテゴリーに見えます。


  ランチェスター戦略が競争を前提としているのに対し、ブルー・オーシャン戦略は競争を避け、高収益を目的としています。どちらが優れているのかではなく、両者の違いを理解した上で、目的に応じた使い分けが必要なのではないでしょうか。

 

 ※参考文献  竹田陽一著「プロ★社長」   W・チャン・キム、R・モボルニュ著「ブルー・オーシャン戦略」
                      安部義彦・池上重輔著「日本のブルー・オーシャン戦略」  長尾一洋著「戦略の見える化」

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003.マーケティングとイノベーションは企業の生命線  2012.06.27


  事業の目的とは何でしょうか。利益と答えられる方も少なくありません。しかし「マネジメントの父」と呼ばれたP.F.ドラッカーは、「利益は条件の1つ」と述べています。つまり利益の役割は「主に経営を続けていくための原資」という意味です。

 

 利益が大切だからと言って、事業の目的にしてしまうと、企業と従業員さらには顧客との間で利害関係が対立します。両者が利益を巡って争う企業から、よい製品やサービスは生まれないため、企業も従業員もやがて衰退します。

 

 ドラッカーは「事業の目的は顧客の創造」と述べています。企業の利益も成長も雇用も、すべて顧客が購入しないと始まらないからです。だから顧客を生み出す。つまり継続的に需要をつくり出す。これが事業の第一の目的と言えます。

 

 それでは顧客を創造するためにはどうすればよいのでしょうか。ドラッカーは「マーケティングとイノベーションの2つの方法しかない」と言い切っています。つまりマーケティングとイノベーションの2つの戦略が、企業の生命線なのです。

 

  マーケティングは今ある市場の中で、同業他社と競争する場合に有利な戦略と言えます。しかし現在のように市場が成熟すると、激しい競争の割に利益が得られません。そこで必要なのが新たな市場(顧客)を生み出すイノベーション戦略です

 

 ※参考文献  P.F.ドラッカー著「マネジメント エッセンシャル版」 

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002.ビジネス本の初心者におすすめのもう1冊  2012.06.26

 

  名著に挫折した人のために、やさしく解説された本のことを、私は「敗者復活本」と呼んでいます。最近はこの手の本が増え、とっつきにくかった名著も身近なものになりつつあります。実は今年になって、敗者復活本をもう1冊、読みました。

 

  もともとの名著は1980年発行の「競争の戦略」。著者はハーバード・ビジネススクールの看板教授、マイケル・E・ポーター。2001年発行の東洋経済新報社編「MBA100人が選んだベスト経営書」の中でも、見事1位に選ばれています。 

 

 しかし5,913円と高価、しかも分厚く内容も難しいため、なかなか読みこなせません。そこで今年5月に発行されたのが、牧田幸裕著「ポーターの競争戦略を使いこなすための23問」。これは非常にわかりやすく短時間で読み終わりました。

 

 ただしポーターの競争戦略とは内容がずれています。競争戦略はマーケティング戦略ですが、本書はイノベーション戦略の1つ、ブルー・オーシャン戦略にも触れられています。しかしそれが逆に本書のよさではないでしょうか。

 

 マーケティングとイノベーション、何れも経営にとっては最重要課題。しかし経営者の目的は実用化にあり、学者になる必要はありません。本書は2つの戦略の要素を、初〜中級者にわかりやすく解説した良書。特に初心者の方におすすめです。

 

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001.2012年上半期、「 イチ押し 」 のビジネス本  2012.06.25

 

 日本人は「改善」が得意です。既にあるものを「よりよく」することにかけては、世界トップかもしれません。ところが「革新」は苦手です。その結果、商品のライフサイクルが最盛期を過ぎても、あいかわらず従来のカテゴリーの中で改善を重ねます。

 

 たとえば液晶テレビ。高画質化、多機能化、軽量化を進めたにもかかわらず、2006年に40万円した37型の液晶テレビが、2012年には4万円台まで値下がりしています。これは「よりよく」だけでは行き詰まることを意味しています。

 

  日本人にはこのような性質があることを、第二次世界大戦から分析した本が、戸部良一さん他6名の著書「失敗の本質」です。名著の1つですが、内容が難しく、挫折した人も少なくありません。実は私自身もその一人、10年前に処分しました。

 

 私のような人のためにわかりやすく解説された本が、2012年4月発行の鈴木博毅著「超入門 失敗の本質」です。本書の中でも、日本人の性質はその後変わらず、現代ビジネスにおいて同じ失敗を繰り返していることが指摘されています。

 

 「改善」つまり「よりよく」の発想だけでは通用しないことを、私たち日本人は自覚すべきでしょう。この「超入門 失敗の本質」は、多くの書店でベストセラーになっています。今年の上半期において1番のビジネスおすすめ本ではないでしょうか。

 

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