20代から始める自分のマネジメント  2019.03.30

 

 

1.「転職」 を前提に生きる時代

 

 かつて、古い社会では ・・・
 企業は人間よりも長生きで、労働者は 1 つの企業に固定されていた。
 しかし、新しい社会では ・・・
 人間は企業よりも長生きになり、労働者は自由に転職できるようになった。

 

 P.F.ドラッカー著 明日を支配するもの には、このようなことが書かれています。
 これは、1999 年当時の米国社会について、語られたもの。
 それから 20 年が経ちました。
 2019 年の日本社会も、新しい時代へ突入 しつつあるのかもしれません。

 

 このような社会においては ・・・
 多くの人が、一生の間に、最低一度は 「転職」 を、経験することになりそうです。
 そこで求められるのが、「自分のマネジメント」。
 今回のテーマは 「20代から始める自分のマネジメント」 です。

 

 

2.「真面目」 だけでは、通用しない

 

 私は 1960 年生まれ。
 途中までは、典型的な旧社会。
 右肩上がりの経済、横並び主義、年功序列、終身雇用、既得権の保護など ・・・
 おかげで、楽なこともありました。

 

 普通に働いていれば ・・・
 多くの人は結婚し、子供を育て、マイホームを手に入れることができました。
 極端な言い方をすれば ・・・
 進路の選択は周囲に任せ後は真面目に続けていれば、一生、何とかなる 時代でした。

 

 しかし、今後はそうはいかないでしょう。
 若い世代ほど、厳しい現実 が待ち受けています。
 だから 50 代以上の人は、自分たちの時代とは違うことを、認識すべきでしょう。
 特に子供の就職に関して、「昔の常識」 を、押しつけないことです。

 

 

3.「自分のマネジメント」 が、求められる社会 

 

 「自分をマネジメントする」 とは ・・・
 自分で、自分の人生を、設計すること。
 自分で、自分を管理したり、育てること。
 自分で、自分の目標を設定し、結果を求め、成長を促すこと。

 

 このような意味でしょうか。
 今回は、ダイヤモンド社、ハーバード・ビジネス・レビュー ベスト 10 選 自分を成長させる極意 のうち ・・・
 Chapter 2、ドラッカーの 「自分をマネジメントする」 を、参考にします。

 ドラッカーの言う 「自分のマネジメントの目標」 とは ・・・

 

 @ 自己の 「能力」 を発揮しなければならない
 A 長い職業生活を、「生き生き」 と、働かなければならない
 B 大きな 「貢献」 が可能な適所に、自己を置かなければならない
 C 自分の仕事をいつ、いかに 「変える」 かさえ、知らなければならない

 

 

4.自分の強みを知るのは、大変なこと

 

 旧社会とは異なり、現代は 「職業選択の自由」 があります。
 自分に合った職場を選択するために ・・・
 ドラッカーは、自分の 「強み」 を知ることが重要 と、述べています。
 しかし、よほど個性の強い人でなければ、自分の強みなど解らないものです。

 

 そこで陥る罠が、「自分探しの旅」 ではないでしょうか。
 若い頃は、自分のことなど、ほとんど解らない ものです。
 やがて迷路から抜け出せなくなり、貴重な時間をロスしてしまいます。
 精神医学の本にも、「自分のことを考えすぎるのは危険」 と書かれていました。

 

 私自身は、自分の外の世界に関心が向くタイプ。
 さらに、実際に経験しなければ、理解できないタイプでもあります。
 だから、常に何らかの活動をしています。
 その 結果から、「強み」 と 「弱み」 を、知りました。

 

 

5.自分の強みを知る方法

 

 自分の強みを知る方法として ・・・
 ドラッカーは、「フィードバック方式」 しかない。
 利用すれば、2 〜 3 年という短期間に、自己の強みが何であるかが解る と、述べています。

 

 手順は、以下のとおり。
 @ やるべきことを決めて、具体的に書き留めておく
 A 9 〜 12 ヵ月後に、当初の期待と結果を、照らし合わせる

 

 フィードバック方式による効果は ・・・
 @ 「強み」 と 「弱み」 が解る
 A 「強み」 を発揮する上で、邪魔になっているものが解る
 B 「強み」 が発揮できない仕事や分野、方法や環境などが解る

 

 

6.強みを生かすために、行うべきこと

 

 自分の強みが解ったら ・・・
 次は、いかに強みを成果に結びつけるか。

 

 ドラッカーが述べる方法は、大きく分けて次の 3 つ。
 @ 「強み」 に集中し、さらに 「強み」 を伸ばすために、新たな知識やスキルを習得する
 A 成果の妨げになる、自己の習慣 (行動・発言・対人関係) を改める
 B 「弱み」 に囚われない

 

 この中で、多くの人にとって、最大の壁は ・・・
 B の 「弱み」 ではないでしょうか。
 自信のない人ほど、周囲の影響を受けやすいものです。
 その結果、他人と比較して、不足している点を、自分の弱みとして認識 します。

 

 自分の弱みを、いかに放置できるか。
 そこに 必要なものは、学力などの優位性ではなく、勇気 かもしれません。

 

 

.自分に合う 「仕事の方法」 や 「学習の方法」 を、確立する

 

 人は得意な方法で成果をあげる。
 知識労働者 (知識を使って成果をあげる人) にとっては ・・・
 強みよりも、むしろ得意とする仕事の仕方の方が重要である。
 ドラッカーはこのように述べています。

 

 仕事であれば ・・・
 1 人の方がよいか、人と組んだ方がよいか、どんな組み方がよいか。
 緊張感や不安があった方がよいか、安心できる環境の方がよいか。
 トップがよいか、ナンバー 2 がよいか、現場で指示される立場がよいかなど。

 

 学習であれば ・・・
 読んで理解するか、聞いて理解するか、書いて理解するかなど。
 私自身は読んだ言葉を、自分の言葉に直して、さらに書いて、まとめて、やっと理解するタイプのため ・・・
 授業やセミナー、講演は、熟睡タイムにしています。

 

 

8.転職のポイントは、「組織の価値観との共存」

 

 かなり特別な能力を持っている者でさえ ・・・
 自己の適所を知るのは、20 代半ばをかなり過ぎてからである。
 ドラッカーの言葉どおり、私が一生の職業を決めたのも、28 歳 の時でした。
 最も大きな理由は、それまで続けていた仕事に、ようやく 「やり甲斐」 を発見したから。

 

 しかし多くの人は、自営業ではなく、サラリーマンを選択します。
 つまり自分の意思で、「やり甲斐」 のある環境を、設定することができません。
 そこで、就職または転職のポイントとして、ドラッカーは 「組織の価値観との共存」 を、挙げています。
 価値観とは 「優先すべきもの」。

 

 最高のキャリアは ・・・
 チャンスをつかむ用意のある者だけが、手にできる。
 その用意とは、自己の強み、仕事の仕方、価値観を知ること。
 ドラッカーの言葉どおりでしょう。

 

 

9.他人を育てる方法を、自分に応用する

 

 自分を育てる場合 ・・・
 他人を育てる方法を、応用 することができます。
 親が子を育てる方法や、先生が生徒や学生を教える方法など。
 何れにしても、自分自身を客観視できなければいけません。

 

 経営学の分野で、私が支持するのは ・・・
 ドラッカーとクリステンセンの、お 2 人。
 イノベーション肯定派と、いうこともありますが ・・・
 経営とは人間が行うものであり、両者は、その人間の本質に、注目 しているからです。

 

 クレイトン・M・クリステンセン共著 イノベーション・オブ・ライフにおいても ・・・
 重要なヒントが、記されています。
 クリステンセンは、ハーバード・ビジネス・スクールの看板教授。
 多くの卒業生や同窓生について、分析を試みています。

 

 

10.「能力」 を伸ばす方法

 

 人生を切り開くのに、重要な役割を果たすのが 「能力」 です。
 極端な例ですが ・・・
 100m を 15 秒でしか走れなかった人が ・・・
 100m を 10 秒で走れるようになると、人生は激変します。

 

 クリステンセンは、能力について、3 つの要素を挙げています。
 @ 資源  A プロセス  B 優先事項
 これら 3 つの要素を総合的に伸ばすと、能力を高められる ようです。
 @ の資源だけよくても、他の要素が今ひとつでは、成果に結びつきません。

 

 簡単に言うと ・・・
 @ 資源とは、知識・学歴・性格・健康・体力・精神力など、自分が備えているもの
 A プロセスとは、働き方・学び方・人付き合いの方法など、資源を生かして成果に結びつける方法
 B 優先事項とは、あらゆることのうち、優先すべきものを、判断すること

 

 

11.自力で挑戦して、失敗から何かを学ぶ

 

 たとえば、手取り足取り教えてしまうと ・・・
 その場は短時間でやり遂げますが、本人の頭には、ほとんど何も残っていない ものです。
 つまり 「Aプロセス」 を、経験させないことにより ・・・
 自分で考える習慣が身に付かないため、その後の成長が限定されます。

 

 クリステンセンが勧める方法は ・・・
 やり方を簡単に教えたら、後は自力で行わせる。
 成功しても、失敗しても、その結果を、本人に引き受けさせる。
 私自身も、この方法を採用しています。

 

 さらに、クリステンセンは述べています。
 失敗すれば、「困難から立ち直る力」 という、生涯に渡って役立つ能力を、身につけることができます。
 他人に親切過ぎる人は、それは自己満足であり、逆に、他人の成長の妨げになっている。
 このような自覚を持つべきではないでしょうか。

 

 

12.すでに存在している 「自分をマネジメントする 20 代」

 

 税理士という職業柄 ・・・
 「 20 代から始める自分のマネジメント」 を実践する人に、出会う ことがあります。
 旧社会には、滅多にいませんでしたが・・・
 既に、一般の人にまで、浸透しつつあるようです。

 

 もちろん、最初に描いた設計図どおりに、進むことはありません。
 多くの人が、「描いては修正」 を、繰り返す ものです。
 そのために、まずは始めてみる。
 おおまかな設計図を描き始めるのに、20 代は最高のスタート地点です。

 

 目指すべきは成功ですが ・・・
 そのプロセスにある、星の数ほどの失敗から立ち直ることによって、強靱さを身につけることができます。
 多くの若い人たちに ・・・
 「 20 代から始める自分のマネジメント」 を、お勧め します。

 

 

 ※参考文献

   ダイヤモンド社 ハーバード・ビジネス・レビュー ベスト 10 選 自分を成長させる極意   

      クレイトン・・クリステンセン著 イノベーション・オブ・ライフ

   P.F.ドラッカー著 明日を支配するもの」  「仕事の哲学

 

※ 関連記事 

   「30 歳から始める社会人のための勉強」 → こちら 

   「人生は 35 歳で決まるのか ?」 → こちら 

   「50 歳までに準備しておくこと」 → こちら

     「50 歳  第2の人生を考えるとき」 → こちら