人生100年時代は、40代までに起業する  2022.08.26

 

1.今の 60 代の姿は、未来の自分

 

 昨春、同級生が 60 歳で定年を迎えました。
 長年のサラリーマン生活から解放され、さぞかし気楽な日々を送っていると思いきや・・・
 再就職後の 「収入の減少」 と 「環境の変化」 に、悩まされている 人もいます。
 何が起きているのでしょうか。

 

 就職したのは、約 40 年前。
 当時はサラリーマン全盛時代で、「年功序列」 と 「終身雇用」 が当たり前。
 定年まで勤めれば、一生安泰のはず でした。
 まさか、このような時代が訪れるとは、一体、誰が想像できたでしょうか。 

 

 今回のテーマは 「人生 100 年時代の働き方」。
 その解決方法の1つと て「40 代までの起業」を提案します。
   読んでいただきたいのは、準備すれば間に合う 20 〜 40 代 の人たち。
 60 代の身に起きていることを、明日の我が身として、ご想像をいただければ幸いです。

 

 

2.「60 歳定年退職モデル崩壊」 の原因

 

 人生設計において、「60 歳定年退職モデル」 は、なぜ崩壊 したのでしょうか。
 大きな原因は 2 つと考えられます。
 @平均寿命の延び ・・・ 老後期間の長期化
 A日本経済の衰退 ・・・ 退職金や年金などの減少

 

 私が生まれた 1960 当時は、定年が 55 歳で、男性の平均寿命が 65歳。
   老後は 10年 しかなく、しかも家族に囲まれ、年長者として尊重 されました。
 しかし、今や人生 100 年時代を、予測する人さえいます。 
 もし、老後が現役と同じ 40 年間もあったとしたら、私たちはその過ごし方に慣れていません。

 

 さらに、30 年間、衰退を続けた日本経済の実態が、コロナとウクライナ問題をきっかけに、露呈しました。
   かつてのような退職金と年金は、期待できません。
 このような時代を生き抜くためには・・・
   「70〜80歳まで働くことができる人生設計」を、40代で再構築 するのも、解決方法の1つです。

 

 

3.起業のタイムリミットは 40 代 ?

 

 50 歳に到達すると、次の 3 つの原因により、新たなことを始めるのが、難しくなります。
 @ 精神力の低下  A 家庭の事情  B 定年間近
 体力低下に伴い 「@ 精神力の低下」も進むため、新たなことに挑戦する意欲が、失われていきます。
 30 歳と 40 歳よりも、40 歳と 50 歳、さらに 50 歳と 60 歳と、その差は拡がっていきます。

 

 「A家庭 の事情」としては、子の教育費や住宅ローンなど。
 また、残り 10 年になると、ゴールまで続けたくなるので、「B定年間近」も原因の 1 つ。
 活かせない側にも問題がありますが、「働かないおじさん」 と呼ばれる 50 代の人たちがいます。
 今後は社会の変化が速まり、「年齢による人材の陳腐化」 が加速 するでしょう。

 

 「身近な人間関係」 や 「目先の損得」 にばかり関心が集中し ・・・
 社会の動きにまったく関心がなく、リスク情報に無頓着な人がいます。
   国力が弱まれば、公共の支援も難しくなります。
 事前に予測して行動を起こすかどうかで、その差が拡がる ことでしょう。

 

 

4.「起業に有利な人」 と 「起業に不利な人」

 

 起業に有利な人と、不利な人がいます。
 有利な人とは、サラリーマン時代に 「起業しやすい仕事」 に就いていた人。
 わかりやすく言えば、手に職のつきやすい仕事。
 営業職や技術職、事務職などを問わず、1つの職種でプロのレベルに達した人。

 

 一方、役所や大企業で、様々な部署に配置転換させられた人は ・・・
 何十年、仕事をしても、手に職がつきません。
 組織や役職という看板を外したとき、自分には何が残るのか。
   この答えが明確でない人は、起業に不利と考えられます。

 

 起業に有利な人は、サラリーマン時代と同じ分野で起業 されるでしょう。
   過去に蓄積した知識や技術、人脈などを、活かすことができます。
 一方、起業に不利な人は、フランチャイズ等に加入するのも方法の 1 つです。
 ただし様々な制限があり、本部の業績にも左右されるなど、少なからずリスクを抱えます。

 

 

5.自ら進んで、起業家になる人

 

 サラリーマンを続けたくても、やむを得ない事情により、起業家になる人もいれば ・・・
 自ら進んで、起業家になる人もいます。
 タイプとしては、大きく 3 つに分かれます。
 @ すべてにおいて優秀な人  A もともと起業家向きの人  B サラリーマンに合っていない人

 

 @ のタイプは、上場企業などの エリート・サラリーマン を経て、大事業を成し遂げます。
 A のタイプは、若い頃から一生の仕事に気づいている人。
 その分野に必要な知識が必要な場合は、10 代半ばで学部を決めなければいけません。
 何れも、ごく少数なので、普通の人には関係がありません。

 

 起業家の大半は、B のタイプ でしょう。
   サラリーマンを途中で嫌になって、辞めてしまう人も、このタイプ。
 私の場合、20 歳の頃には 「サラリーマンは絶対無理」であること を、自覚していました。
 今後は、自分の経験等も踏まえて、話を進めていきましょう。

 

 

6.起業の準備はいつから始めるのか ?

 

 起業するための準備は、20 代から始めるのが理想です。
 ゴールの 「起業家としての成功」 から 逆算して、今の過ごし方を計画 します。
 「サラリーマンを一生続ける予定の人」 と、「途中退職後に起業を予定する人」
 両者は、 働き方も就職先も異なります。

 

 まずは、働き方。
 就職の主たる目的は、将来の起業のために、知識や技術、経験を得る ことなので ・・・
 一般的なサラリーマンのように、「安定」 や 「福利厚生」 などは、ほとんど求めません。
 困難な仕事も積極的に引き受け、経験数を増やし、自分の財産にしていきます。

 

 次に、就職先。
 大きな組織に入ってしまうと、歯車の 1 つとして、ごく一部の仕事しか任されません。
 逆に 小さな組織に入ると、広範囲の業務を任されます。
 将来、起業して経営者になるためには、中小企業の方が有利かもしれません。

 

 

7.収入を増やすためのアプローチは、サラリーマンも起業家も同じ

 

 成果をあげる人とあげない人の差は、才能ではない。
 いくつかの習慣的な姿勢と、基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。
  

 成果をあげることは、実践的な能力の積み重ねである。
 実践的な能力は修得するのは、あきれるほどに単純である。

 
 普通の人であれば、実践的な能力は身につけられる。
 卓越するには特別の才能が必要であるが、成果をあげるには、人並みの能力があれば十分である。

 

 これはドラッカーの言葉です。
 つまり 「普通の人」 が 「特別な人」 になるためには、生まれ変わる以外の方法はありません。
 しかし、仕事や収入を増やすだけなら、「やりたいこと」をやめて、「やるべきこと」をすればよい。
 そこに、サラリーマンと起業家に、違いはないでしょう。

 

 

8.サラリーマンの方がよいこと

 

 もし収入が不安定になったとしても、サラリーマンの方がよいこともあります。
 それは 「大きなプロジェクトに関われること」 や 「研究費などの予算が大きなこと」。
 起業家は、零細企業からスタートするので、その点では不利と言えます。
 超優秀な技術者や医師、学者などは、大きな組織にいた方が幸せでしょう。

 

 さらに、面倒なことや苦手なことは、他の部署の人が担当してくれます。
 一方、起業後、業績を伸ばし、従業員数が増えてくると ・・・
 経営者は雑用に追われるようになり、「管理」という新たな課題 に、取り組まなければいけなくなります。
 その煩わしさから、自分の職業を見失ってしまう人もいます。

 

 私は、もともとサラリーマン向きではないので ・・・
 サラリーマンのメリットが、なかなか思い浮かびません。
 今の時代は、収入も上がらなければ、勤務先の存続や安定も、怪しくなってきました。
 サラリーマンに対する固執は、リスクの 1 つ になりつつあるのかもしれません。

 

 

9.サラリーマンも、起業家のように生きる時代

 

 今日のエグゼクティブは ・・・
 体系としてのマネジメントの 「経営管理的な側面」 に全面的にコミットしている。
 しかし、今や 「起業家的な側面」 にコミット しなければならない。
 これもドラッカーの言葉です。

 

 超意訳ではありますが ・・・
 今日の組織の上層部は、管理に力を入れている。
 しかし、激変する社会においては・・・
 常に新たなことを生み出すために、起業家的な思考と行動を備えなくてはならない。

 

 変化を当然とし、自ら変化を生み出し、変化を利用して、機会(チャンス)を創り出す。
 ドラッカーには、このような思想があります。
 反対に、日本人が求める 「安定」 は、「現状への執着」 と 「変化に対する拒絶」 が含まれます。
 恐竜の絶滅、百貨店や駅前商店街の衰退など、変化に対応できなかった実例から、学びたいものです。

 

 

10.起業家の方がよいこと

 

 資格取得から 30 年近く、経営者を務めてきました。
 60 代になった今も、時間外労働が月 100 時間前後。
 しかし、自分の裁量で仕事ができるため、疲労感は格段に少ない ものです。
 人間関係の悩みも、大きな組織と比べれば、無に等しいと言えます。

 

 顧客との関係も契約で成立しているため、解除する権利を平等に有しています。
 仕事量を調節することも可能であれば、引退する時期も自由です。
 ただし、この状況に至るまでには、様々なことを経験しました。
 「選択できる側」 に立てるかどうのキーワードは、「需要」 ではないでしょうか。

 

 就職氷河期世代の問題が、しばしばニュースになりますが、起業家になった人たちは元気です。
 「自分の力で生きている」 というリアリティー感覚が、活力を生む のでしょうか。
 サラリーマンに絶対的な価値を置く時代は終わりを告げ、起業家を選択する人が増えつつあります。
 起業家の増加が、日本経済の活性化につながることを願っています。
 

 

 ※参考文献

  P.F.ドラッカー著 仕事の哲学」 「経営の哲