お金に強くなる方法  2019.03.11

 

 

1.税理士はお金に強いのか ?

 

 ある宴席で、たまたま隣になった人から ・・・
 「お金に強いので、うらやましいですね」 と、言われました。
 自覚がなかっただけに、正直、驚きました。
 しかし、よく考えてみれば、弱くはないかもしれません。

 

 私自身は 「お金」 よりも、「時間」 と 「仕事」 を、重視するタイプ。
 「時間 = お金」 という公式を念頭において、常に行動しています。
 仕事をすれば、結果として、お金はついてくる。
 このような考え方なので、お金そのものを追うことはありません。

 

 それでも、お金に関して、鍛えられたのは ・・・
 税理士という職業のおかげでしょうか。
 一般的な人よりも、お金に関する学習の機会に、恵まれています。
 数十年間、毎日のように、お客様から、お金の相談を受けてきました。

 

 

2.お金に強くなろうとする、2 つのタイプ

 

 お金に強くなろうとする人には、2 つのタイプがある。
 私は、このように考えています。
 その 2 つとは、「知識を求めるタイプ」 と 「知恵を求めるタイプ」。
 ここから先は、何れか一方に偏った人をモデルにして、話を進めます。

 

 「知識を求めるタイプ」 とは ・・・
 ○○ をすると儲かる、○○ の方が得をする、○○ の方が損をしない。
 このような知識を求めて、セミナーなどに参加し、その内容を疑わない人たちのことです。
 テーマは、土地活用、相続対策、投資、事業承継など。

 

 一方、「知恵を求めるタイプ」 とは ・・・
 お金とどのように付き合えば、幸せな人生を送れるのか。
 お金や人生の本質を理解し、自分独自の金銭哲学を、確立しようとする人たちのことです。
 たとえば本を読んだり、人生について考えます。

 

 

3.「知識」 を求めるタイプ  

 

 まずは、前者 「知識を求めるタイプ」 について。
 どのようなものが儲かるのか、どのようなものが損をしないのか。
 これらの情報収集に熱心です。
 情報源は、セミナー、営業マン、親しい者の話など。

 

 相対比較をする傾向にあるため ・・・
 複数のものに順位をつけて、その中から上位のものを選びがちです。
 たとえば、A 〜 Z、26 個の商品を並べられ、A が有利という説明を受け ・・・
 さらに A が有利に作られた資料を見せられると、半分以上、信用してしまいます。
 

 もともと、その話自体が ・・・
 「良いのか、悪いのか」 「本当なのか、嘘なのか」 「必要なのか、不要なのか」。
 このような発想に欠けます。
 騙されやすいタイプと言えます。

 

 

4.「知恵」 を求めるタイプ 

 

 次に後者 「知恵を求めるタイプ」 について。
 知識を求めるタイプが、物事の 「結果」 に、関心が高いのに対して ・・・
 知恵を求めるタイプは、その 「根拠や仕組み、プロセスや背景など」 に、関心が高い ものです。
 知識をインプットした後、行動に移すまで、手間と時間をかけます。

 

 行動は、自分の価値観に基づきます。
 1 つの経験から、何らかの教訓を学ぶことによって ・・・
 金銭哲学を、より強固なものにしていきます。
 お金に限らず、何事に関しても考える習慣、学習する習慣が、身に付いています。

 

 一攫千金のような儲け話に ・・・
 知識を求めるタイプが、乗りやすいのに対して ・・・
 知恵を求めるタイプは、むしろ警戒します。
 悪夢に目もくれず、地道に堅実に、継続性のある収入を、大切にします。

 

 

5.知識がリスクを生む

 

 前述 3 の 「知識を求めるタイプ」 の例に、話を戻しましょう。
 もし営業マンから、知識を手に入れなかったら ・・・
 商品を買ったり、契約を結ぶなどのリスクを、背負うことはないでしょう。
 お気づきいただきたいのは「知識がリスクを生む」 という点です。

 

 知識があっても ・・・
 知恵がなければ、その知識を正しく使うことができません。
 また、知識の真偽を、判断することもできません。
 必ずしも、知識そのものに価値がある訳ではないということ。

 

 もし知恵が足りないのに、それ以上の知識を身につけると ・・・
 知識は 「リスクを伴う凶器」 に、変わる のではないでしょうか。
 私自身、知らないことは、ほぼすべて専門家の意見に従います。
 おかげでタイムロスもなく、よい結果に結び着きます。

 

 

6.知恵が足りなくても、リスクを避ける方法

 

 知るとは、「自分が何を知っていて、何を知らないか」 を知ること。
 論語には、このように書かれています。
 「自分が知ること」 は、たかが知れています。
 その範囲を知ることは、不可能ではないものです。

 

 一方、「自分が知らないこと」 は、無限にあります。
 その範囲は、一生をかけても、わからないでしょう。
 「自分が何を知らないか」 を、知れば知るほど・・・
 自分が無知だったことを、思い知らされます。

 

 つまり、知るとは、最終的に 「自分の無知」 を、自覚すること です。
 自分が 「無知な存在」 であることに気づくと ・・・
 謙虚さを身につけることができます。
 その結果、生半可な知識を振り回したり、性急な決断を下すことがなくなります。

 

 

.知恵を身につける方法

 

 知識は、瞬時に手に入りますが ・・・
 知恵は、一朝一夕に身に付くものではありません。
 私は 2 つの方法を実践しています。
 「日常的な方法」 と 「 飛躍的な方法」。

 

 「日常的な方法」 とは ・・・
 日常生活の中で、経験を通じて、反省を繰り返しながら、学ぶ ものです。
 仕事、家庭、健康、交友、買物など。
 しかし、これだけでは、自分が経験する、狭い範囲内に限られます。

 

 そこで 「 飛躍的な方法」。
 知恵のある人の本を読んで、できそうなことを、実践してみる。
 社会で起きることをリサーチして、自分の身に置き換えて、頭の中で疑似体験してみる。
 これらの作業を繰り返します。

 

 

8.自分にとって、お金とは何か ?

 

 自分にとって、お金とは何か。
 この質問の答えは、人それぞれです。
 ごく、たまに、金銭に強い執着を持つ人 と、出会います。
 私とは縁が薄いのか、関係は長続きしませんが ・・・

 

 その動機を推測すると  ・・・
 @ 将来に大きな不安を抱いている
 A お金しか信じることができない
 B 浪費資金を捻出するため

 

 もし、自分にとって、最も大切なものが、お金だとしたら ・・・
 「お金のための人生」 になってしまいます。
 すると主従関係が逆転し ・・・
 人生の主人公はお金、自分はその奴隷 になってしまいます。

 

 

9.お金は 「人生のための道具」

 

 私自身は、あくまで 「人生を豊かにするための道具」 と考えています。
 家族、健康、趣味、人づき合いなど ・・・
 これらのために、精一杯、役立ってもらうために ・・・
 道具の使い方や、道具とのつき合い方を、前述 7 の方法によって、学習しています。

 

 いくらまでのお金なら、正気を維持 できるのか。
 これも人それぞれで、非常に重要な要素です。
 年収 5 百万円で狂う人もいれば、100 億円でも正気を維持する人がいます。
 自分の器を超えるようなお金とは、関わりを避ける知恵が求められます。

 

 また経営者でもあるため ・・・
 事業に関わるお金の学習も欠かせません。
 価格、生産性、コスト、利益、仕組みなどについては・・・
 道具の使い方として、研究を重ねてきました。

 

 

10.「不幸なお金持ち」 にならないように

 

 お金に強くなるためには、知識と知恵が必要です。
 ただし、知識が知恵を上回ると、むしろ危険 なものになります。
 理解できない知識を振り回して、極端な行動に出ないようにしたいものです。
 その前に、まずは知恵をつける。

 

 方法としては ・・・
 古典や知恵のある人の本を読んで、人間の本質を理解すると、効果的です。
 お金にまつわる栄枯盛衰は、大昔から変わることなく、繰り返されているからです。
 格言を集めるだけでも、ヒントが得られるでしょう。

 

 人生最後の日に、やっと気づいた。
 自分が目指していたのは、「不幸なお金持ち」 だった。
 このようなことにならないためにも ・・・
 「お金に関する知恵」 を深めたいものです。

 

 

 ※参考文献

  加瀬英明著 ユダヤ人の智恵