高学歴を活かせない人  2019.11.02

 

 

■  高学歴を活かせない人 (前編 : キーワードは、 秀才 ・ 再現性 ・ 正解)

 

 

1.高学歴を活かせない人

 

 高学歴なのに ・・・
 社会人として、それを活かせない 人が増えています。
 彼らが本来の力を発揮してくれれば ・・・
 日本社会、いや世界さえ、もっとよくなるかもしれません

 

 本人も心の底で ・・・
 「こんなはずじゃなかった」 と、思っているはず。
 今回のテーマは 「高学歴を活かせない人」。
 ご参考になれば幸いです。

 

 これらの問題のヒントが見つかりそうな本に出会いました。
 北野唯我著 天才を殺す凡人」。
 人を、「天才」、「秀才」、「凡人」 に、分けます。
 それぞれの本質に基づいて、人間関係が解説されています。

 

 

2.天才、秀才、凡人の違い

 

 キーワードは ・・・
 天才が 「創造性」、秀才が 「再現性」、凡人が 「共感性」。
 1 人の中にすべての要素があり、それぞれの比率によって、3 タイプに分かれるそうです。
 それぞれ異なる長所と短所があるので、優劣の問題ではありません。

 

 ただし人数が異なります。
 圧倒的多数なのが 「凡人」、次に 「秀才」、最も少ないのが 「天才」。
 「高学歴とはどの程度まで」 という定義は別として ・・・
 高学歴の人の中に、「凡人」 は少ないと考えられます。

 

 さらに 「天才」 のキーワードは 「創造性」。
 学歴とは関係ありません。
 高学歴者の大半は 「秀才」 ではないでしょうか。
 ここから先は 「秀才」 に絞って、話を進めましょう。

 

 

3.秀才とは 「再現性」 に優れた人のこと

 

 秀才とは 「再現性」 に優れた人。
 学習から得られた正解を、同じように再現できる人。
 正解に近い行動、発言、思考ができる人 のことです。
 正解とは、知識やルールなど、既に正しいと認知されたもの。

 

 つまり秀才が成功するための条件とは ・・・
 「正解が明らかなこと」 ではないでしょうか。
 正解さえ解れば、秀才は高い「再現性」 を発揮 して ・・・
 成功をモノにできる可能性が高まります。

 

 受験勉強の世界では、白 (正解) と黒 (間違い) しかありません。
 しかも、模範解答として、正解が与えられます。 
 一方、社会に出ると、白黒はっきりしたものなどなく、すべてグレー。
 その中から、自分で正解らしきものを、探したり、判断したり、選択しなければいけません。

 

 

4.社会人の成功は 「社会人の基礎」 が前提 

 

 社会人になった後、うまくいかないのは ・・・
 「秀才」 に限った話ではなく、「天才」 も 「凡人」 も同じ。
 なぜなら学生と社会人では、求められるものが異なるからです。
 秀才の立場で言えば、「正解」 が異なる。

 

 社会人の基礎となる部分 ・・・
 たとえば、生活習慣、法律遵守、人間関係、仕事・勉強・成長の方法、進路の決め方など。
 これらは 学生時代と異なり、すべて自発的に学んで、習得する 必要があります。 
 ここからは 「社会人の基礎」 と呼んで、話を進めましょう。

 

 天才、秀才、凡人の全員が、「社会人の基礎」 を、1 から学ばなければいけません。
 秀才であれば、そこから 「正解」 を導き出し ・・・
 優れた 「再現性」 をフルに生かして、その後、多くの成功を手に入れる。 
 これが秀才らしい生き方ではないでしょうか。

 

 

5.仕事に対する責任感が、自分を成長させる 

 

 自分にとって ・・・
 多少なりとも、大変な仕事や日常と、向き合い続ける。
 これも人生の歯車を狂わせない方法の 1 つかと。
 60 歳近い人間の感想です。

 

 ドラッカーも述べるとおり ・・・
 成長を促す最も大きな要素は、仕事に対する責任感。
 責任に耐えながら、失敗を乗り越えることによって ・・・
 「社会人の基礎」 が、習得できると考えられます。

 

 責任のある立場を手に入れる方法とは ・・・
 @ やり甲斐のある職場に就職する
 A 今の職場の中に、やり甲斐を見出したり、やり甲斐を生み出すようにする
 B 起業する

 

 

6.秀才に成長をうながす仕事とは ?

 

 前述の理屈によれば ・・・
 優秀な人ほど、能力に見合った仕事、つまり責任の重い、大変な仕事が必要 になります。
 「鉄は熱いうちに打て」 と言われるように ・・・
 まだ頭が固まっていない、卒業後の 10 年が勝負と思われます。

 

 順調に就職できた秀才は ・・・
 自ら望んだ職場ですから、仕事に前向きに取り組むことができます。
 大変な困難にも、耐え抜くことができます。
 これらを乗り越えるうちに、「社会人の基礎」 が、確立されていきます。

 

 一方、最初の就職でつまづいてしまうと ・・・
 希望もなく就職した職場には、目標 (正解) となる先輩も見あたりません。
 凡人にとって、それは 「普通の社会」 であり、そこで長年、過ごすことも可能です。
 しかし 秀才にとっては望ましくない環境、「社会人の基礎」 を学ぶ前に、転職 してしまうのではないでしょうか。

 

 


 ■  高学歴を活かせない人 (中編 : 試して欲しいこと)

  

 

1.失敗を恐れない

 

 前述の本には、次のようなことが、書かれています。
 教科書に載っている成功の裏には、無数の失敗が存在する。
 しかし 秀才は、その上澄みの成功だけを学んできた。
 失敗しまくったことがないから、秀才は何でもできると勘違いする。

 

 学生は教科書や授業から、頭で学びます。
 一方、社会人は 「経験」 を通じて、「知識」 を検証しながら、体得していきます。
 特に 「失敗という経験」 が、欠かせません。 
 失敗から立ち直ることによって、メンタルも鍛えられます。

 

 しかし挑戦好きの天才や、日常的に失敗を重ねる凡人と比べると ・・・
 秀才は失敗に慣れていません。
 だから、失敗から学ぶことを、苦手とします。
 精神的ダメージを恐れると、ますます悪循環に陥ります。

 

 

2.末端の仕事に終始しない

 

 秀才にとって ・・・
 成否を左右するのが、正解の有無。
 しかし、どんな仕事も ・・・
 正解が明らかなのは、末端の単純作業まで。

 

 再現性に優れる 秀才にとって、末端の単純作業の繰り返しは、非常に簡単 なはずです。
 失敗も少なく、周囲から賞賛されるので、プライドも維持できます。
 ただし、このような楽な生き方を続けていると・・・
 失敗もしない代わりに、成長する機会にも恵まれないでしょう。

 

 現場責任者になったり、さらに管理者や経営者になると ・・・
 未知への対応が求められるため、再現性だけでは通用しません。
 そこには判断力や決断力、応用力が求められます。
 もし昇進すると、失敗が続くかもしれませんが、成長のチャンスにも恵まれます。

 

 

3.学生時代のプライドを捨てる

 

 この本には、次のようなことが書かれています。
 秀才は天才に対して、「憧れと妬み」 を持っている。
 コンプレックスを克服した秀才は、「天才の参謀」 として、偉大な何かを成し遂げる。
 コンプレックスを克服できない秀才は、「天才を邪魔な存在」 として、抹殺しようとする。

 

 失敗経験が足りない秀才の中には ・・・
 学生時代のプライドを、その後も持ちつづける 人がいます。
 内心、自信がないと推測されますが ・・・
 見下すことによって、コンプレックスから逃れようとしているのでしょうか。

 

 他人や物事を上から見るため ・・・
 社会や仕事、人生そのものをなめています。 
 一方、社会に出た後、仕事で鍛えられた人たちは ・・・
 他人との共同作業を成功させるためには、学生時代のプライドが邪魔であることを、失敗から学んでいます。

 

 

4.特別な人を目指さない

 

 秀才の中には ・・・
 30 代になったにもかかわらず ・・・

 「特別な人」 を目指して、空回り を繰り返す人もいます。
 「普通の人 (凡人) 」 では、いけないようです。

 

 この本にも書かれていましたが ・・・
 心の中では凡人を見下しているから でしょうか。
 いつも無理をします。
 当たり前のことができないのに、難しいことに挑戦しようとします。

 

 おかげで、地道に努力し続ける凡人に、どんどん追い抜かれます。
 過去の栄光はリセットして ・・・
 謙虚な気持ちで、社会人の基礎部分を、1 から習得すべきです。
 そうしなければ、職場にも迷惑がかかる上、自分自身も成長できないでしょう。

 

 

5.凡人に 「人を見る目」 を学ぶ

 

 この本に登場する 「共感の神」 とは ・・・
 共感性の高い、「人間関係の天才」 のことです。
 誰が天才、誰が秀才、誰が凡人なのかを、見抜くことができます。
 さらに天才の才能を信じ抜く能力があり、天才を支え続けます。

 

 凡人の多くは、誰かの下で働いています。
 さらに自分 1 人だけでは、大したことができないことを、若い頃から自覚しています。
 周囲の人に、人生が左右される ので ・・・
 自ずと人を見る目が養われます。

 

 一方、「共感性」 に欠ける秀才は ・・・
 それが原因で、人を見抜く能力が不十分 と、考えられます。
 恵まれない人など、自分とは立場が異なる人のことを想像するだけでも ・・・
 人を見る目が養われるのではないでしょうか。

 

 

6.天才に 「壮大な目標設定」 を学ぶ  

 

 私は 60 歳に近い人間です。
 これまで多くの人生と関わってきました。
 その中で、どのような人が、才能を生かすことができたのか。
 それは 「学歴の高さ」 や 「要領のよさ」 ではなく、「志の高さ」 だったと、考えています。

 

 一方、残念だった人の中には ・・・
 学生から社会人になり、求める単位が 「点」 から 「円」 に変わっただけ。
 このような単純な人生を送る人もいます。
 この志の低さこそが、成長や成功の妨げ になった可能性もあります。

 

 この本にも書かれていましたが ・・・
 天才は 「世の中を変えよう」 と、真剣に考えます。
 実現するかどうかは別として ・・・
 偉人伝を読むなど、自分の志を高めることが、才能開花につながるかもしれません。 

 

 


 ■  高学歴を活かせない人 (後編 : 天才、秀才、凡人、それぞれの人生)

  

 

1.それぞれの40年後

 

 私は進学校の劣等生 でした。
 旧友の中には、東大や医学部に進学し、その後、大活躍をした人も、少なくありません。
 学習能力においては ・・・
 天と地ほどの隔たりがあり、同じ人類とは思えないほどでした。

 

 その中間にいたのが秀才。
 同級生だった、60 歳間近の元秀才の人たちは、その多くが幸せな人生を送っています。
 しかし 30〜40 代となると、そうではなさそうです。 
 それが、教育の違いによるものなのか、時代の違いによるものなのか、よくわかりませんが。

 

 10 代の頃、共に過ごしたからこそ ・・・
 天才と秀才の人生の大変さも、何となく理解 しています。
 人生は長い道程。
 才能ある者として、生き続けることが、どれだけ大変なことか。

 

 

2.天才として生きる苦しみ

 

 天才は、誰よりも早く飽きるので、新しいことを生み出すことでしか、自分を満足させられない。
 このような人生には、苦しいこともある。
 甘えが出て、凡人に好かれたいと、凡人に迎合し 「再現性」 で勝負しようとしたとき ・・・
 天才は天才でなくなり、凡人に降格する。

 

 この本の中には、天才の苦しみが、このように書かれています。
 天才は、他人と自分を比較する習慣が、ほとんどないと推測されます。
 従って、「凡人への降格」 そのものは、「苦しみからの解放」 に過ぎず ・・・
 絶望に至るのは、志半ばにして 「創造性」 の限界を認めざるをえない時 ではないでしょうか。

 

 ロルフ・ドベリー著 Think clealy の中で、述べられていました。
 ソクラテス、カント、ダーウィンなど、天才と呼ばれた人たちは ・・・
 華々しい時期を除けば、人生の残り時間を、静かな私生活に費やしたそうです。
 天才だからこそ、「凡人として生きる幸せ」 に、安楽を求める 気持ちが、強いのかもしれません。

 

 

3.秀才として生きる苦しみ

 

 秀才コースを走り続ける人たちの多くは ・・・
 それぞれの 組織で中心的役割を果たし、人生を謳歌 することでしょう。
 一方、そのコースから、早い時期に脱落すると ・・・
 待ち受けているのは 「凡人社会」。

 

 秀才は常に順位争いに明け暮れてきたので ・・・
 他人と自分を比較する習慣があると推測されます。
 「凡人への降格」 は、「失望と堕落」 を、意味するのではないでしょうか。
 さらに 「凡人の本質」 を、理解していないため、凡人社会に溶け込むこともできません。

 

 秀才時代の延長で、承認欲求が表に出ると ・・・
 自慢話と受け取られ、一部の被害者意識の強い凡人の神経を、逆なでします。 
 心の中で見下している相手に対して、自分から迎合すべきではありません。
 秀才と凡人の壁は、克服しがたいものと悟り、「和して同ぜず」 を貫いて、自尊心を守る べきでしょう

 

 

4.凡人として生きる苦しみ

 

 凡人にとって、悩みや苦しみは、物心ついた頃から日常の一部。
 毎日、親に叱られ、先生に殴られ (昭和 40 年代)、もちろん人に誇れる取り柄もありません。

 しかし悩みや苦しみは、大したものではなく ・・・
 人生経験を重ねるうちに、その 90% は無意味なもの であることを、理解します。

 

 さらに凡人は多数。
 同じ悩みや苦しみを持つ人は無数にいるので、話し相手に不自由しません。
 天才や秀才にとって、成功とは呼べないレベルでも ・・・
 凡人であれば、「意外にやるじゃん」 と、好意的に見られます。

 

 社会人として、並み以下からスタートするので・・・
 多少の上下はあったとしても、最後まで右肩上がりの人生を、実現できる可能性もあります。
 失敗にも慣れているので、打たれ強く、立ち直りも早い。
 凡人の特徴を知り尽くし、凡人に徹した生き方をするのも、悪くない人生の 1 つかと。

 

 

5.仲介役として生きる人生

 

 天才、秀才、凡人 ・・・
 3 者は、評価軸 (何を基準に評価するのか) が異なるので ・・・
 放置しておくと ・・・
 コミュニケーションの断絶が原因で、組織が崩壊 するそうです。

 

 この本には、それを防ぐ仲介役として、アンバサダー (もともとの意味は 「大使?」 ) が、紹介されています。
 @ 天才と秀才の仲介役 = 「創造性」 と 「再現性」 を併せもつ 「エリートスーパーマン」
 A 天才と凡人の仲介役 = 「創造性」 と 「共感性」 を併せもつ 「病める天才」
 B 秀才と凡人の仲介役 = 「再現性」 と 「共感性」 を併せもつ 「最強の実行者」

 

 万人が 「天才」 「秀才」 「凡人」 の、何れかに該当する訳ではなく ・・・
 中間的な性格の人もいるようです。
 だからこそ、実現できる役割もあります。
 仲介役にやり甲斐を感じる人には、魅力のある生き方 ではないでしょうか。

 

 

6.凡人からシフトする  

 

 劣等生仲間は、人生の早い時期に、底辺を経験したおかげか ・・・
 その後も、タフに生き延びました。
 さすがに 「あの状態のままではいけない」 と、自覚したのでしょうか。
 心を改め、謙虚に努力し続けた結果、思わぬ成功を手にした 人もいます。

 

 当時は 「凡人」 として、「共感性」 にどっぷり浸かっていましたが ・・・
 それだけの人生では、何かが足りない。
 必要に応じて、「再現性」 を習得したり、潜在的な 「創造性」 を伸ばしたり、得意の 「共感性」 を極めることにより ・・・
 「最強の実行者」 「病める天才」 「共感の神」 へ、シフト した人たちもいるでしょう。

 

 数年に 1 度、高校 2 年の時のクラスメートと再会すると ・・・
 「人並みの人生が送れてよかった」 と、お互いの人生を祝し、乾杯をします。
 いろいろなタイプの人がいますが ・・・
 自分が何者かを知り、自分自身を生かすことが、人生の改善につながる のではないでしょうか。

 

 

7.自分の人生は、自分で切り開く  

 

 北野唯我著 天才を殺す凡人 には ・・・
 天才と凡人が中心に書かれています。
 その中で触れられていない ・・・
 「高学歴を活かせない秀才」 を、テーマ に選びました。

 

 最初にお話ししたように ・・・
 高い教育を受けた秀才の学力が、卒業後に活かされないことを、社会的損失と考えています。
 社会問題として認識されるべきですが、救済方法さえ検討されることなく、放置されたままです。
 この点において、残念な社会と言えるのではないでしょうか。

 

 ただし、いつの時代も、自分の人生は、自分で切り開くべき。
 まずは、ご自身で気づかれ、アクションを起こさなければいけません。
 もともと優れた才能を持つ秀才の皆さん、今回の話の中に、発奮材料が見つかれば幸いです。
 ご健闘をお祈りいたします。 


 

※ 参考文献 
   北野唯我著 天才を殺す凡人」  P.F.ドラッカー著 仕事の哲学」  ロルフ・ドベリー著 Think clealy