コミュニケーションとマーケティング  2016.07.03

 

 

1.コミュニケーション力の重要性

 

 近年、コミュニケーション力の重要性を、つくづく感じるようになりました。
  その理由は、個人の自由と、関係がありそうです。
 古い社会では、多くの人が、同じような価値観を、持っていました。
 だから、以心伝心、言葉が足らなくても、コミュニケーションが成立しました。

 

 しかし近年は自由社会になり、人々が様々な価値観を持つ ようになりました。
 1 つの出来事に対して、異なるとらえ方をするのが、当たり前になりました。
 おかげで、相手に伝えることが、難しくなりました。
 正しく伝えるためには、コミュニケーション力が、求められるようになりました。 

 

 コミュニケーション力は、他人と関わるあらゆるシーンで、求められます。
 だから、コミュニケーション力が高まれば、人生の多くの部分で、改善が見られるはずです。
  逆に、コミュニケーション力が足りないと、人生の多くの部分で、成果が得られにくいはずです。
 コミュニケーション力の有無は、人生を大きく左右する のではないでしょうか。

 

 

2.コミュニケーションは、どこからスタートするのか ?

 

 P.F.ドラッカー著仕事の哲学 は、名言集の1つ。
 第 9 章は、コミュニケーションがテーマです。
 そこにはコミュニケーションの本質が、端的に述べられています。
 まずは、@ コミュニケーションは、どこからスタートするのか ?

 

 それは、話し手が 「受け手に対して何かを要求する」 ことから、スタート します。
  小売店で店員が顧客に声をかけるのは、店員が 「顧客に商品を買って欲しい」 から。
 小売店で顧客が店員に声をかけるのは、顧客が 「店員に商品の説明をして欲しい」 から。
 これらの要求から、スタートします。

 

 しかし、何れかが、話しかけただけでは、コミュニケーションは成立しません。
  単に 「言葉を発しただけ」 と、言えます。
 さらに、話し手と受け手の間で、会話が続いたとしても、それだけでは、コミュニケーションに成功したとは、言えません。
 単に 「話をしただけ」 と、言えます。

 

 

3.コミュニケーションの成功は、誰が決めるのか?

 

 それでは、何をもって 「コミュニケーションの成功」 と、言えるのでしょうか。
 それは、「話し手の要求を、聞き手が満たしたこと」 による のではないでしょうか。
 つまり、話し手側から見て、自分の要求が、実現したこと。
 それでは、ここで、馬鹿げた質問ですが、A コミュニケーションの成否を決めるのは、誰でしょうか。

 

 もちろん、それは、聞き手です。
 話し手が、いくら要求しても、結果は受け手で決まります。
 受け手が聞かなければ、コミュニケーションは成立しません。
 受け手が理解していなければ、コミュニケーションは成功しません。

 

 ここに最も重要なコミュニケーションの本質があります。
 この部分がわかっていないと、一方通行で終わります。
  重複して、恐縮ですが ・・・
 コミュニケーションの成否は、受け手によって決まります。

 

 

4.コミュニケーションに主体性を持つ

 

 ここまでの内容を、まとめると ・・・
 @ コミュニケーションは、話し手の要求から、スタートします。
 A しかし、コミュニケーションの成否は、受け手で決まります。
 話し手の立場から見ると、自分の意思に関係なく、結果は受け手次第 です。

 

 このままでは、よほど幸運に恵まれない限り、自分の要求は実現しません。
 運まかせの人生から、抜け出すためには、どうすればよいのでしょうか。
 それは 「主体性を持つ」 ことです。
  つまり、コミュニケーションの成功率を高めるために、自ら改善を目指すことです。

 

 主体性を発揮して、自ら人生を改善したいとき ・・・
  採るべき方法は、人それぞれです。
 重要なことは、自分が得意とする方法を、人生の早い段階で見つけておくこと。
 さらに、人生経験を重ねながら、その技術を高めていくことでしょう。

 

 

5.受け手に合った 「言葉」 を使う

 

 人生を改善したいとき、私は、賢人の知恵を利用します
 コミュニケーションを成功させるために、賢人なら、何をすべきと、考えるのでしょうか。
 まずは、「受け手に合った言葉を使うこと」 と、ドラッカーは述べています。
 たとえとして、「大工と話すときは、大工の言葉を使え」 という、ソクラテスの説。

 

 いつの時代だったか、茶髪の新入社員が、問題になったことがあります。
 通常、企業に就職すれば、その企業の顧客に合わせなければいけません。
 多数の顧客が、好ましいと感じる格好をする べきです。
 しかし、茶髪がよいと感じていたのは、同じ考え方をする、若者たちだけでした。

 

 自分の言葉や外見などを、相手の好みに合わせる。
  これが 「コミュニケーションの基本」 ではないでしょうか。
 もし、わからなければ、無難なものを選択する。
 多数の人から、嫌われない程度でもよいのではないでしょうか。

 

 

6.受け手の 「期待」 を利用する

 

 コミュニケーションを成功させるために、話し手がすべきこと。
 1 番目は 「受け手に合わせること」 でした。
 2 番目は 「受け手の期待を知ること」 と、ドラッカーは述べています。
 さらに、その期待の利用方法は、2 つあります。

 

 1 つは、相手の期待に応える こと。
 もし自分が、服の小売店の店員だったとします。
 ある日、顧客が商品を求めて、来店しました。
 つまり、「求めている商品があること」 を、期待しています。

 

 ここで、店員としてすべきことは ・・・
 会話の中から、その商品をつきとめ、顧客の目の前まで運ぶ ことです。
 また、選んだ服に対して、顧客は 「お似合い」 と言われることを、期待しています。
 そう感じたら、「お似合いですよ」 と、応えるべきでしょう。

 

 

7.受け手の 「期待」 を破壊する

 

 受け手の期待を利用する、もう 1 つの方法とは ・・・
 それは 「受け手の期待を破壊する」 です。
 これは、少々、高等な技ではないでしょうか。
  私自身は好みませんが、結果的にこうなることが、多々あります。

 

 税理士の場合、顧客が期待しているのは 「節税」 です。
 しかし 税金をたくさん支払った方が、結果的に得をするケース もあります。
 このようなことを、数字を使って、わかりやすく説明すると、顧客は納得します。
 コミュニケーションは成功した、と言えます。

 

 ドラッカーの言葉を引用しましょう。
 受け手の期待を破壊し、予期せぬことが起こりつつあることを、強引に認めさせるためのショックの必要を知る。
 ポイントは、顧客の期待に対して、より深い本質に、気づく ことではないでしょうか。
 表面的な期待は 「節税」 だったとしても、深層にある 「損得」 を知ることです。

 

 

7.コミュニケーション と マーケティング

 

 ドラッカーは、マーケティングの本質 について、次のように述べています。
  マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。
 顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、自ずから売れるようにすることである。
 販売とは、簡単に言えば、「買ってください」 と、顧客にお願いすることです。

 

 今回のタイトルを見て、変な組み合わせと、感じられたかもしれません。
 しかし、コミュニケーションとマーケティングの本質は、似ている ことがわかります。
 相手を理解することによって、自分の要求を実現させる。
 私たちが努力すべきことは、その仕組み作りではないでしょうか。

 

 ここで、間違いを犯したくないものです。
 それはテクニックに走り過ぎて、「相手の期待」 に反して、「自分の要求」 を実現させないこと。
 あくまで 「相手の期待」 に応えるために、「自分の要求」 を実現 させたいものです。
 つまり 「Win−Win」 の関係です。

 

 

8.コミュニケーション力を伸ばす

 

 初めて、社会人になる時、コミュニケーションの入門書を、読む人がいます。
 ただし、そこに書いてあるのは、あくまで基本です。
 だから、習熟すれば、自分流にくだけた形に、変えればよいでしょう。
 しかし、「相手に合わせる」 などの基本は、外したくない ものです。

 

 たとえば、名古屋の河村たかし市長。
 名古屋市民が決して使うことのない、ひどい名古屋弁を多用しますが、多くの人に支持されています。
 それは、一見、滅茶苦茶に聞こえますが、実はポイントはちゃんと押さえてある。
 さらに高等な技術も、仕組まれているのでしょう。

 

 また、竹下登元総理大臣も、コミュニケーション力に長けた人でした。
 すごいと感じられたのは、「言語明瞭・意味不明瞭」。
 誠実そうに話しているのですが、何を言っているのかわからない。
 野党議員や国民を煙に巻くためには、優れた技術だったようです。

 

 

9.同意と共感を求める世界から離れる

 

 自分と同じような価値観の人と、群れる人たちがいます。
 その中で、同意と共感を、求めています。
 「あなたは間違っていない」  「私もあなたと同じ」 と言われるのを、期待 しています。
 そして、そう言われると、大いに安心するものです。

 

 これは、かつての旧社会と同じ。
 茶髪の人同士で 「茶髪が正しい」。
 黒髪の人同士で 「茶髪はいけない」 と言っているのと、何ら変わりません。
  若い人なら、まだ許されるのですが。

 

 価値観が近い者同士のコミュニケーションは、実に簡単 です。
 いくら、その中で人付き合いが上手でも、コミュニケーション力が高いとは限りません。
  このような人間関係は縛り合うので、脱出も難しいものです。
 私は 50 を過ぎてから、このような世界は、ご遠慮させていただいています。

 

 

10.自分から離れて傍観する

 

 受け手の期待は、受け手の価値観から生まれます。
 受け手の価値観を知るためには、傍観することではないでしょうか。
 なぜなら、一度、「自分」 を離れなければ、相手の価値観を知ることが難しい からです。
 傍観の 「観」 とは、観察するの 「観」 です。

 

 コミュニケーション力を高めるためには、異なる価値観を理解する。
 そのためには、客観的に観察し、異なる点を導き出したら、理解に努める。
 この視点を利用して、マーケティング力も、向上させる。
 「買って欲しい」 ではなく 「買いたくなる」 仕組みを作ることではないでしょうか。

 

 ここまで書いて、反省することしきり。
 何も、地球の裏側の人の価値観まで、理解する必要はありません。
 まずは身近なところで、平和な家庭、活気のある職場、買いたくなる仕組みを、維持したい ものです。
 最後に、マーケティングに関する引用は、P.F.ドラッカー著経営の哲学 の第 6 章からでした。
 

 

 ※参考文献

  P.F.ドラッカー著 仕事の哲学」 「経営の哲