偉大な企業が実践した「飛躍の法則」  2016.09.22

 

 

1.自分の可能性を否定しているのは自分自身

 

 私は 50 代半ばの人間です。
 若い人たちに伝えておきたいアドバイスは何か。
 もし、このような質問を受ければ、次のように答えます。
 「自分の可能性を否定しているのは、実は自分自身であることに気づいて欲しい」  と。

 

 これは自らの人生に対する反省でもあります。
 もちろん、誰もがスーパーマンになれる訳ではありません。
 しかし 自分の可能性を否定することなく、目標に対して努力を続けた方が、よりよい人生が高い確率で実現 します。
 20 代後半、この事実に気づいて以来、まずまずの成果に恵まれたと思います。

 

 これはこれでよかったのですが ・・・
 つい最近、これだけでは足りないことに気づきました。
 「もっと早く気づけばよかった」 という後悔と、「気づくのに遅すぎることはない」 という言い訳。
 30 年経ちましたが、人間の本質は変わらないようです。

 

 

2.短い人生、「日常的な成長」 だけでは遅すぎる

 

 私は年間 100 冊程度、ビジネス書を購入します。
 直ちにすべて読む訳ではなく、将来、読む可能性があるものまで購入し、書棚にストック しておきます。
 今回も、ある日、突然、読みたいという衝動にかられ、書棚を確認しました。
 それは世界的名著 「ビジョナリーカンパニー」 シリーズです

 

 全部で 4 部作。
 レビューを確認すると、「 A C @ B」 の順に、評判がよい。
 また 「@ から順に読まなくてもよい」 と、書かれていました。
 C だけ足りないので、閉店前の大型書店へ、早速、駆け込みました。

 

 私は人生に必要な成長を、2 つに分けて、考えています。
 1 つ目は、経験から学ぶ「日常的な成長」で、日常生活などから得られます。
 2 つ目は、知識や歴史などから学ぶ 「飛躍的な成長」 で、賢人の著書などから得られます。
 「日常的な成長」 だけでは遅いので、「飛躍的な成長」 も求めて、本の多読を習慣としています。

 

 

3.善良な会社ほど偉大にならなければいけない

 

 翌朝から ジェームス・C・コリンズ著 「ビジョナリーカンパニー A(飛躍の法則) の読書を開始。
  第1章のタイトルは「時代を超えた成功の法則」。
 次に内容。
 そこに 30 年ぶりに、大きな反省をうながす言葉がありました。

 

 それは ・・・
 良好 (good) は偉大 (great) の最大の敵。
 「そこそこよい」 で満足してしまうから、「もっと上の偉大」 を目指す気になれない。
 まさにこれまでの自分そのものでした。

 

 ここで誤解していただきたくないのは ・・・
 自分の欲望を実現させるために、偉大を目指すのであれば、社会に害を為すので、やめるべきです。
 しかし 自社の方向性が、社会貢献につながるものであれば、偉大な存在を目指すべき でしょう。
 この 2 つの違いは、明確に区分されるべきです。

 

 

4.成功や成長を決めるもの

 

 50 代になって、わかったことがあります。
 「仕事の成功」 や 「人間的な成長」 に関して、20 代前半で止まる人もいれば、亡くなる直前まで進む人もいます。
 根本的な原因はどこにあるのかと推定してみると ・・・
 「志 (こころざし) の大きさ」 ではないでしょうか。

 

 志の大きな人ほど ・・・
 仕事でより大きく成功することができ、人間的により大きく成長することもできます。
 つまり 「自分の可能性を自分で否定することなく、自分の可能性を信じ続けた人」 と言えます。
 そこで  陥りやすい落とし穴が、「良好 (good) 」 です。

 

 このレベルに甘んじる日本人は少なくないのですが、「自分の可能性を自分で否定している」 の中年版と言えます。
 志を大きくするためには、「生きる目的」 や 「仕事の目的」、つまり理想を成長させること。
 次に理想と現実を比較すれば、今の自分に足りない部分が、浮かび上がってきます。
 このままではまずい ・・・ この思いが強ければ強いいほど、再び立ち上がる原動力になる のではないでしょうか。

 

 

5.偉大な会社になる方法

 

 筆者は次のように述べています。
  ほとんどの組織が、この調査から導き出された 「枠組み」 を適用 して、努力を続ければ ・・・
 地位と実績を大幅に向上させることができるし、おそらくは偉大な組織になることすらできる。
  それでは手順に進みましょう。

 

 @ 第 5 水準のリーダーシップ
 A 最初に人を選び、その後に目標を選ぶ
 B 厳しい現実を直視する
 C 針鼠 (はりねずみ) の概念
 D 規律の文化
 E 促進剤としての技術

 

 まとめると・・・
 @ と A は 規律ある 「人材」、B と C は 規律ある 「考え」、D と E は 規律ある 「行動」。
  つまり 「良好」 と 「偉大」 の間には、「規律」 というハードルがあるようです。
 また、規律ある 「人材」 を集めるのが準備、「考え」 によって飛躍し、「行動」 で偉大を実現させるそうです。

 

 

6.第5水準のリーダーシップ

 

 特徴としては ・・・
 万事に控えめ、物静か、内気、恥ずかしがり屋。
  反対にダメな人の特徴は ・・・
  派手、マスコミ好き、有名人。

 

 あの世界のトヨタでさえ、経団連の会長は奥田さんが初めてで、それまで事業に専念していました。
 またプロ野球、DeNA 球団のラミレスさんは、監督就任後は地味な仕事に徹して、チームの成績を上げました。
 反対に仕事そっちのけで、派手な活動をする社長さんはどうでしょうか?
 自分個人と、組織全体、何れを重視するのかで、判断すればよさそうです。

 

 第 5 水準のリーダーシップの本質にあるのは ・・・
 「個人としての謙虚さ」 と 「職業人としての意思の強さ」 という、一見、矛盾した組み合わせ なのだそうです。
 謙虚さは 「驚くほどの勤勉さ」 、意思の強さは 「成功まであきらめない姿勢」 として表れます。
 最初から、いきなり大変な要件を、突き付けらました。

 

 

7.最初に人を選び、その後に目標を決める

 

 私たちは最初に目標を決めた後、その目標を実現させるために必要な人を集めます。
 しかし偉大なリーダーたちは、まず人を選びます。
 本書では 「バスに乗せる」 という表現を用いています。
 バスに必要な人を乗せて、バスから不要な人を降ろす。

 

 手順は 「人を選ぶ → 適材適所に配置 → 新しいビジョンと戦略を設定する」。
 よい人材を確保しておけば、勝手によいビジョンを生み出します。
 経営者はそれに従い、形にしていくのが、仕事と言えます。
 また規律のある人を雇えば、利益を生まない管理コストも、大幅に減少します。

 

 職種、職場に合わない人を育てる、という発想ではありません。
 それは公的機関の仕事だというのが、諸外国の方針です。
 しかし資金に余裕もなく、ブランド力もない中小企業にとっては、難しい課題に思えます。
 ただし 人を見る目を養えば、意外に多い のだそうです。

 

 

8.厳しい現実を直視するが、勝利への確信は失わない 

 

 厳しい困難に遭った時、必要なことは ・・・
 @ 現実を直視すること。
 A 最後には必ず勝つという強い確信を持ち続けること。
 この2つなのだそうです。

 

 反対に やってはいけないこと が、ビジョナリーカンパニー B 衰退の 5 段階 で述べられています。

 

  @ 成功して高慢になり、過去の成功要因を見失う
  A 更なる成功を求めて、規律のない拡大路線に走る
  B リスクに対して鈍感になり、議論しなくなる
  C 地道な努力を避けて、一発逆転を追求する
  D 大幅な衰退、会社の身売り、倒産などを迎える

 

 困難に直面して、開き直る人もいますが、現実逃避にならないように、注意したいものです。
   実は 偉大な人物は、驚くほどの心配性で、このシリーズでは 「建設的パラノイア」 と呼ばれています。
  ビジョナリーカンパニーC自分の意志で偉大になるの中で、代表的な人物としてビル・ゲイツが紹介されています。
 困難と対峙 (たいじ) すれば、 それなりの成長を果たせるものです。

 

 

9.針鼠 (はりねずみ) の概念

 

 世間には 「針鼠型」 の人と 「狐型」 の人がいる。
 もし賢い狐に、何度、襲われても、冴えない針鼠は身を丸めるだけで、難を免れる。
 つまり、たくさんのことを知る狐は、肝心要の 1 点しか知らない針鼠に、勝つことができない。
 これはギリシャの寓話に基づいたものなのだそうです。

 

 肝心要なこととは、下記の3つの要件をすべて満たすことなのだそうです。
 @ 「情熱」 をもって取り組めるもの  A 自社が 「世界一」 になれるもの  B 「経済的原動力」 になるもの
 「世界一」 とは、読んで字のごとしではありません。
 「ある地域の顧客に対するサービスなら世界一」 でもよいと考えられます。

 

 肝心要な仕事とは 「やり甲斐のあること」 「世界一になれること」 であり、「儲かること」 でなければいけません。
 ここを目指すのが、最も報われる努力の方向性です。                                                
 偉大なリーダーは、驚くほど単純明快に、この部分のみを追い求めます。
 逆に成果に乏しいリーダーは、他のことが気になって仕方がないようです。

 

 

10.規律の文化

 

 「規律を守れ」 ではなく、規律が文化と言えるレベルまで、高める必要があります。
  規律とは、強制されるものではなく、すでにその人に備わっているケースがほとんどです。
 だから 最も確実な方法は、規律に厳しい人を雇い入れる こと。
 規律があると不要になるものとして、下記の 3 つが挙げられています。

 

 @階層組織   A官僚組織  B過剰な管理 
  階層ができると組織が不透明化し、正しい情報が伝わりにくくなります。
 官僚的組織になると、形式主義がはびこり、生産性が落ちます。
 またどんな状況でも規律を守るため、過剰な管理が必要なくなります。

 

 このシリーズでは、二律背反の克服 (相反する矛盾を同時に満たすこと) を重視しています。
 これは 「AND」 と呼ばれています。
 偉大な業績を達成するためには、相反する 「規律の文化」 と 「起業家精神」 の両立。
 上記 8 では 「厳しい現実の直視」 と 「継続的な勝利への確信」 の両立でした。

 

 

11.促進剤としての技術

 

 何かが流行ると、すぐに飛びつく人がいます。
 その理由は 「取り残されるかもしれない」 という恐怖感 からなのだそうです。
  もちろん内容を深く理解した訳でもありません。
 当社の事業に本当に必要かどうかも、検討した訳ではありません。

 

 偉大な企業は新技術に対して、どのようなつき合い方をしているのでしょうか。
  変化を起こす主要な手段としては使っておらず、無視することもしばしば。
 ただし、選ぶ場合は、本当に必要なのか、慎重に検討を重ねます。
 もし採用することになれば、その技術に関しては、先駆者としてフル活用しているそうです。

 

 これ以外に、「弾み車 (はずみぐるま) 」 という概念があります。
 手で押して動かす、大きなリヤカーみたいなものでしょうか。
 偉大な指導者は、ゆっくり弾み車を押すように、着実に進むそうです。
 逆に一発逆転などの行動を好む傾向にあると、成功は短命に終わるそうです。

 

 

12.偉大な企業とは何か?

 

 偉大な企業とは、ある時点を境に 15 年 以上、株式の平均運用成績が市場の 6.9倍以上。
 その条件を満たすのは、フォーチュン誌に登場した、米国大企業 500 社のうち 11 社。
 この調査には、多くの人の手により、延べ 1 万 5 千時間かかったそうです。
 さらに ビジョナリーカンパニーA(飛躍の法則)だけで、世界 400 万部を売り上げたとか。

 

 経営者を、長年、続けていると、必ず、中だるみが訪れます。
 成長を怠る期間が長引くと、時代の変化に気づかず、経営危機を迎えます。
 どうすれば、緊張感を取り戻すことができるのでしょうか。
 旺盛な意欲を復活させるためには、明確な動機と方法が必要 です。

 

 このビジョナリーカンパニーシリーズは、その助けになりそうです。
 実は、まだ B の大部分と @ の全部に、目を通していません。
 今回は簡単にご紹介しましたが、この本は希な名著と思います。
 皆様にも、ぜひ、ご一読をお勧めします。
 

 

 ※参考文献

  ジェームス・C・コリンズ著 ビジョナリーカンパニーA飛躍の法則」 「ビジョナリーカンパニーB衰退の五段階
   ジム・コリンズ著 ビジョナリーカンパニーC自分の意志で偉大になる