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税理士法人 今井会計事務所

1.普通の人が成功する時代 

 

 経営者にとって 「成果をあげる」 とは ・・・
 売上を増やす、よい製品を生み出す、生産性を向上させる、コストダウンを達成する、人材が育つ。
 これら 「成果をあげる」 ことについて、ドラッカーは述べています。
 「普通の人であれば、誰でも成果をあげることができる」。

 

 若い頃は学歴や性格、才能などによって、成果に差が生じると考えていました。
 ところが、30 年以上、多くの人と仕事をした結果、そうではないことに気づきました。
 かつて名門校を出たり、難しい資格を取ったにもかかわらず、ほとんど成果を残せなかった人も大勢います。

 反対に学歴や資格などなくても、大きな成果を残した 人にも、出会いました。

 

 つまり、現代は 「敗者復活が容易な時代」 になった。
 逆の言い方をすれば、「継続的な努力を怠ると、どんどん落ちていく時代」 になったと言えます。
 さらに、今後ますます その傾向に向かうと考えられます。
 今回はその原因を追求しながら、成果をあげる、つまり成功する方法を模索してみましょう。

 

 

2.「特別な才能」 など必要ない 

 

 ① 成果をあげることは一つの習慣である。実践的な能力の積み重ねである。
   実践的な能力は、修得することができる。それはあきれるほどに単純である。
 ② 普通の人であれば、実践的な能力は身につけられる。卓越はできないかもしれない。
   卓越するには特別の才能が必要である。だが成果をあげるには、人並みの能力があれば十分である。

 

 ① 〜 ② は、ドラッカーの言葉です。
 人並み外れて優秀な存在になるためには、特別な才能が求められます。
 しかし、「成果をあげる」 だけなら、実践的な能力を積み重ねればよい。

 実践的な能力は、人並みの能力があれば、十分、修得できる と述べられています

 

 たとえば、税理士には計算力が求められますが、実際に使っているのは小学校高学年レベル。
 たし算、ひき算、かけ算、わり算のみ、しかも電卓や表計算ソフトまで利用することができます。

 また読解力も求められますが、読むべきものはすべて日本語で書かれ、わかりやすい解説書もあります。
 つまり、特別な才能など、まったく必要ありません。

 

 

3.「やるべきこと」 をしないで 「やりたいこと」 をしていないか? 

 

 ③ 成果をあげる人とあげない人の差は、才能ではない。
   いくつかの習慣的な姿勢と、基礎的な方法を身につけているかどうかの問題である。
 ④ 成果をあげる人たちは、気性や能力、職種や仕事のやり方、性格や知識において千差万別である。
   共通点は、なすべきことを成し遂げる能力をもっていることだけである。

 

 ③ 〜 ④ も、ドラッカーの言葉です。
 つまり 「やりたいこと」 をやめて、「やるべきこと」 をする。
 このような習慣を身につけようと、いうことです。
 成功できない人や、成功が長続きしない人は、この部分に問題があるのではないでしょうか。

 

 成果をあげるためには、「特別な才能」 など必要ありません。
 求められるのは 「やるべきことをやる習慣」 をもつこと。

 さらに「やるべきこと」 の 1 つに 「必要な知識を吸収すること」 があります。
 その原因と考えられるのは、次の「3つの社会の変化」 ではないでしょうか。

 

 

4.肉体労働社会から知識労働社会へ 

 

 知識労働者とは、ドラッカーの著書に出てくる言葉です。
 肉体労働者は、肉体を使って、形やモノとして成果を生み出します。
 しかし、知識労働者は、既存の知識を利用して、新しい知識、アイデア、情報アイデアを、成果として生み出します。

 1 つ目の原因は、この 「肉体労働から知識労働への移行」 があげられます。

 

 肉体労働においては、経験から身に付くカンやコツがモノを言います。
 これらは知恵と呼ばれることもあり、経験者にアドバンテージをもたらしました。
 しかし、知識労働社会においては、常に新しい知識が必要になります。
 変化が激しい今日においては、過去の知識も必要ですが、それ以上に新しい知識の吸収が求められます。

 

 たとえば医療の世界は、めまぐるしく進歩しています。
 以前、有効と言われた治療法が、今日では悪化の原因とされることもあります。

 だから、新しい知識を持たない医師を信じると、寿命を縮める 恐れもあります。
 いくら明るく、親切で、前向きでも、駄目なものは駄目なのです。

 

 

5.情報化社会による影響 

 

 2 つ目の原因は、「情報化社会の急速な発展」 があげられます。
 世の中には 知っているかどうかだけで、成否が決まる ことが少なくありません。
 たとえばバブル崩壊や株価暴落、エネルギーの買取価格や、薬の副作用など。
 「どうしてそうなるのか」 はわからなくても、「こうすべきである」 「何を選ぶべきか」 などがわかれば十分です。

 

 情報が乏しい時代には、このような知識はごく一部の人のもの でした。
 ところが今日の情報化社会では、多くの知識が公開されています。
 世界的に優れた人の知恵でさえ、知識として入手することが可能になりました。
 たとえば本であれば、2 千円程度で購入できます。

 

 ここで知恵と知識の関係について考えてみましょう。
 知恵には 100% 独自のものなどなく、すべて既存の知恵が、複数、組み合わされたものです。
 また知恵は、単独に生み出されるものではなく、背景にある知識を根拠としています。

 つまり 優れた知恵を知識として、たくさん採り入れることが、優れた知恵を生み出す秘訣 とも言えます。

 

 

6.「根拠のある話」 と 「根拠のない話」 を聞き分ける 

 

 数年前、あるセミナーに義理で参加させられました。
 講師は高額な教材を販売する会社の社長で、お金儲けに非常に熱心な人でした。
 根拠のない説明が続いたため、ドラッカーのマネジメント論に基づいて見解を述べたところ ・・・
 「個人的な意見は控えてください」 と言われました。

 

 単なる事実のみを語る発言などありえません。
 必ず自分の意思、願望、知恵などが反映されるものです。

 根拠となる知識が乏しいと、発言は思いつき、願望、出まかせ になります。
 だから 「根拠のある話をする人」 と 「根拠のない話をする人」 を区別する必要があります。

 

 根拠を求める習慣を身につけて以来、その違いが少しずつ見分けられるようになりました。
 根拠のない話は、うわさ話のレベルに過ぎない ので、信用できるものではありません。
 また多くは時間の浪費になります。
 このセミナー、多忙を理由に中断させてもらいましたが、その後まもなく閉鎖されたそうです。

 

 

7.仕事の標準化と I T 化による影響 

 

 3 つ目の原因は、「一般的な仕事の変化」 ではないでしょうか。
 多くの職種で効率化が求められ、業務の標準化と I T 化が進んでいます。

 これにより、マニュアルやソフトに沿って作業をすれば、誰もが合格レベルの仕事ができる ようになりつつあります。
 そこに求められるのは、知恵 (判断力) よりも、トレーニングではないでしょうか。

 

 マニュアルやソフトに関する知識を吸収して、繰り返しトレーニングをする。
 これが、成果をあげるために、取るべき行動です。

 つまり 一般的な仕事には、特殊な才能など求められなくなった ということです。
 雇用する側にとっては、普通の能力の人で十分になり、人材を確保しやすくなりました。

 

 以上より、成果をあげるためには、知識を使いこなす、つまり ① 〜 ③ を習慣とすべきと考えられます。
 ① 必要な分野に関する優れた知識を収集して蓄える
 ② これらの知識を根拠に、新しい知恵を生み出す
 ③ その知恵を実践に移して、トレーニングを積む (結果 → 反省 → 改善 → 再挑戦)

 

 

8.なぜ自分の考えに固執するのか? 

 

 過去の経験から言うと、自分の考えに固執する人ほど、不調が長引きます。
 調子がよくない自分に固執するのですから、当たり前と言えば、当たり前の話ですが。

 根本的な問題は、根拠となる知識が乏しい 点にあります。
 その結果 「知恵も出ない」、だから 「今の自分の考えに固執するしかない」 という悪循環にはまっています。

 

 今の自分の考えとは、過去に蓄積された知識が根拠になっています。
 だから、そこから生まれる知恵は、今の自分のレベルを超えるものではありません。

 胸に手を当てて、自分の主張の根拠はどこにあるのか、想像して下さい。
 それが過去の経験や、周囲の人の話であれば、一刻も早く改めることです。

 

 ここから抜け出すためには、より広い社会で通用する、より優れた知識を、大量に集める 必要があります。
 たとえば売上を増やしたいなら、販売、営業またはマーケティングの知識を増やすべきです。
 すると、これらの知識を根拠に、売上を増やすために必要な知恵が、湧き出てくるものです。
 社会は常に変化しているため、もし成果があがっても、次に備えて、知識の収集と吸収を続けることです。

 

 

9.成功と失敗の原因を特定する 

 

 知識に根拠を求める経営の重要性について、もう 1 つお話しします。
 それは 「成功を継続させる」 「失敗を繰り返さない」 ためです。
 知識に根拠を求めると、原因を特定しやすくなります。
 すると、成功を継続させたり、失敗を早期に終わらせることができます。

 

 日頃から根拠を求める習慣が身につくと、原因の特定が容易 になります。
 たとえば本を読みながら、○ ○ 理論を根拠に、経営を進めた場合 ・・・
 成功の原因も、失敗の原因も、立ち直り方も、そこに書かれています。
 経営判断を下す上で、これが大きな助けになります。

 

 反対に根拠のない自己流経営は、目隠しをしながら、街中を歩いているようなものです。
 「自分のしていることが、どんな意味なのか」 わからないまま、成功と失敗を繰り返します。

 根拠となる知識が乏しければ、いくら考えても無駄に終わる ことでしょう。
 その間に時間は刻々と過ぎ、迷路の奥深くに入り込んでしまいます。

 

 

10.「やりたいこと」 をやめて 「やるべきこと」 をする 

 

 根拠もなく、突然の思いつきで、大きな成功を手にする。
 それは天才の世界の話ですが、世の中に存在する確率は、1 万人に 1 人くらいでしょうか。
 だから日常、接することもありません。
 一生、出会わない人もいるかもしれません。

 

 私たちが過ごす社会は、残り 99.99% の普通の人で構成されています。
 そこでビジネスも展開されています。
 また、この中にいる人々はどうかと言うと ・・・

 潜在能力にはほとんど差がなく、成果の差は基本的な習慣を身につけたかどうかで決まる ようです。

 

 一般の人が天才、つまり特別な人を目指しても、限りなく不可能です。
 しかし 「自分は普通の人」 と自覚して、正しい習慣を身につければ、「成果をあげる」 ことは可能です。
 ドラッカーの言うとおり、それは「あきれるほどに単純なもの」かもしれません。

 まずは 「やりたいこと」 をやめて、「やるべきこと」 を続ける、この習慣を身につけたい ものです。

 


  ※ 参考文献 
  P.F.ドラッカー著 仕事の哲学経営者の条件

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代表社員 税理士 今井 睦明


1960年生まれ 名古屋市出身 1989〜1993年 税理士試験 法人税法、消費税法、事業税、簿記論、財務諸表論、全5科目合格
 
1994年税理士登録 日本税理士会連合会 登録番号 税理士法人3430 税理士78397 名古屋税理士会名古屋北支部所属

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