2017年から始める不況対策  2016.09.29

 

 

 

1.景気後退の準備を始める年

 

 「現在の好景気」 と言うと ・・・
 多くの経営者の方から、お叱りを受けるかもしれません。
 しかし、2008 年のリーマン・ショック後、2012 年までの期間より、はるかにマシ な状況です。
 特に雇用については、素晴らしい結果が出ています。

 

 これが アベノミクス効果であることは、疑う余地がありません。
 アベノミクスの 「第一の矢」 の仕組みについては、2013 年の景気対策 で述べました。
 前政権と前日銀総裁の最悪コンビがまねいた、最悪の事態を改善したのは、このアベノミクスです。
 アベノミクスの中心は、安部総理と黒田日銀総裁、ブレーンの浜田宏一教授などの方々でしょう。

 

 しかしアベノミクスの効果が、もっと現れなければ、景気は下降に向かいます。
 前述の最悪コンビが、もっと早く辞めていれば、ここまで苦しむこともなかったはずですが。
 好景気は東京オリンピックが開催される 2020 年まで、と言われています。
 2017 年は、それを前提に経営を進めるべき ではないでしょうか。

 

 

2.予測されていたリーマン・ショック

 

 2008 年 9 月 15 日に起きたリーマン・ショック。
 実は、この 2 ヶ月前に、その情報を手に入れることができました。
 書店で、偶然、手にした 副島隆彦著連鎖する世界恐慌 に、書かれていたからです。
 早速、8 月 15 日に、米ドル建て生命保険を、1 ドル 110 円で解約しました。

 

 信じる決め手になったのは、会社法に関する記述。
 会社法に限らず、グローバル化の本質は、米国のルール押しつけです。
 その中で、三角合併だけが、なぜか 1 年遅れ になっていました。
 職業柄、会社法 (旧商法) に関わるので、不思議に思っていました。

 

 本書によれば、この法律は 「米国金融機関による、日本金融機関乗っ取りのため」 だったそうです。
 トヨタ主導の経団連が、この施行を 1 年遅らせたとか。
 さらに、リチャード・クー著日本経済を襲う二つの波」 にも、サブプライムローンに関するリスクが書かれていました。
 これらの情報のおかげで、リーマンショック以後の経済変動を、冷静に傍観することができました。

 

 

3.景気後退の時期が読めない時代

 

 リーマン・ショック前と比較すると ・・・
 良い点は、政府と日銀がしっかりしていること。
 悪い点は、以前と比べて、世界経済が複雑化 していることです。
 リーマン・ショックは、低所得者向けの住宅ローン、サブプライムが主な原因でした。

 

 しかし、現在、不安視されているのは、中国経済、欧州経済、中東・アフリカ情勢など。
 いつ、どこから、どんな経済変動が始まるのか、ほぼ予測が不可能な状況です。
 このような時に、企業のリーダーは、どうすればよいのでしょうか。
 それは、「いつか確実に起きる」 という前提で、行動する ことです。

 

 世界的な名著、ジム・コリンズ著ビジョナリーカンパニー C 自分の意志で偉大になる」。 
 本書のテーマは、厳しい経営環境において、偉大な業績を間残した企業のリーダーの共通点 です。
 その第 5 章 「死線を避けるリーダーシップ」 に取るべき行動が書かれています。
 非常に正しいことが書かれています。

 

 

4.資金さえあれば、企業は生き続ける

 

 それでは偉大な経営者たちは、どのような姿勢で過ごすのでしょうか。
 @ 未来を予測することは、不可能と認識している
 A 突如として悪い出来事が、次々と発生し、いつ飲み込まれるかわからない
 このようなことを前提に、平常時から過ごしています。

 

 それでは事前にどんな行動を起こすべきでしょうか。
 @ 資金繰り悪化に備えて、手元資金を十分すぎるほど蓄えておく
 A 手元資金は通常企業の 3 〜 10 倍、多く
 B 「資産運用していない」 などの批判は無視する

 

 長期借入によって、お金を借りて、これを普通預金として残しておく。
 これによって資金繰りにも余裕ができますが、財務諸表分析上、流動性比率が高まります。
 金融機関から見て、好ましい財務諸表になります。
 不安定な時期は、安全を最優先させるために、微々たる運用益には囚われないことです。

 

 

5.身近なリスクへの備え方

 

 偉大な経営者たちは、未来のリスクに対して、まったく無関心な訳ではありません。
 身近なリスクであれば、事前に察知することが可能 です。
 私でさえ、リーマン・ショックを 2 ヶ月前に知りえたように。
 方法をマスターすれば、被害を最小に抑えることも可能です。

 

 具体的な方法としては、ズームアウトとズームインと言う言葉で、説明されています。
 ズームアウトとは、少し離れた位置から、客観的に状況を分析する。
 ズームインとは、リスクに対して準備したことを、実際に行動に移す。
 この ズームアウトと、ズームインを繰り返します。

 

 またリスクを 3 つに区分します。
 それぞれのリスクによって、対応は異なります。
 さらに、自動車運転で習う 「認知」 「判断」 「操作」 のように、必要なスピードと結果を分析 します。
 詳しくは、本書をご一読下さい。

 

 

6.事業規模拡大は慎重に

 

 最も避けるべきこと。
 それは、その時点の業績が、長期間、続くという思い込み です。
 この思い込みによって、事業を拡大させたものの、やがて景気は失速。
 これが原因で、多くの企業が経営危機を迎えます。

 

 バブル崩壊の前には、必ずバブルがあるように ・・・
 不景気の前には、必ず好景気があります。
 好景気が長く続くことを前提に、事業規模を拡大すると、倒産危機が高まります。
 これは、お決まりのパターンなので、学習すべきでしょう。

 

 事業規模拡大のうち、特に慎重を期すべきは ・・・
 @ 大型の設備投資
 A 店舗の拡大・人員の増加
 B 新規事業への参入など

 

 

7.「良い結果をまねく行動」 と 「悪い結果をまねく行動

 

 本書には結果を分ける行動が列挙されています。

 

 ■  良い結果をまねく行動
 @ 警戒心が強く、常に変化に注意して、早期に脅威を認識する
 A 闇雲に急がず、必要に応じたスピードで判断を下す
 B 用心深く事実に基づいて判断、規律に従って考える
 C いったん決断したら、妥協せず完璧に行動する

 

 ■ 悪い結果をまねく行動
 @ リスクに無関心・過小評価するため、脅威の認識が遅れる
 A リスクではなく、自分のペースで動くので、遅すぎたり早すぎたり
 B 衝動的に判断するため、規律もなく、過剰反応になる
 C あわてるため、完璧な行動を取ることができない

 

 

8.「不安」 ではなく 「事実」 に基づいて行動する

 

 心配性の人の中には、常に 「対策は早いほどよい」 と、考える人がいます。
 何も起きていないのに、不安から逃れるために、行動してしまう 人もいます。
 また不安を打ち消すために、リスクを否定して、寸前になっても動かない人もいます。
 何れも、リスクではなく、自分の不安に動かされています。

 

 「不安」 とは心の中に発生する妄想の一種ではないでしょうか。
 妄想に基づいて行動すれば、失敗は目に見えています。
 だから、判断は 「不安」 ではなく、「事実」 に基づく べき。
 この習慣を身につけたいものです。

 

 もし不安が大きな時は、どうすればよいのでしょうか。
 それは、最悪の事態を想定することです。
 すると大したことではないことがわかります。
 人間が不安を抱く原因は無知 (知らないこと) だと、哲学者カントも述べていました。

 

 

9.平常時に緊急時の準備をする

 

 偉大なリーダーは、驚くほど心配性 なのだそうです。
 たとえば、ビル・ゲイツ。
 1987 年、IBM 社からパソコンの OS 供給を打診されました。
 当時は OS / 2 が業界標準になると、予測されていました。

 

 しかしゲイツは、不安でたまりません。
 もし OS / 2 の開発に すべてをかけて、異なる結果が出たとしたら、当社は ・・・
 ありとあらゆるリスクを想定して、ひそかにウィンドウズの開発も続けました。
 その後、事態が大きく変わり、大成功に終わったのが、ウィンドウズ 3.0 です。

 

 このように、あらゆるリスクを想定すること。
 どちらに転んでも、大けがを負わないように、対策を練っておくこと。
 どのリスクが発生したら、どんな行動を取るべきか計画を立て、発生したら果断に実行します。
 余裕のある平常時こそ、リスクの準備が大切です。

 

 

10.2017 年から始める不況対策

 

 2017年に入ると ・・・
 景気のピークと予想される 2020 年まで、残り 3 年になります。
 そろそろ、今の景気の終わり、次の不況の訪れに、警戒し始めるべき時期 です。
 2020 年まで攻めるにしても、その後の撤退を忘れないように。

 

 ま資金集めを、始める時期 でもあります。
 目標の資金量は、同レベルの企業の 3 〜 10 倍。
 微々たる利回りに惑わされることなく、貯蓄しましょう。
 もちろん、主たる事業では、コストダウンと生産性向上を進めます。

 

 もし不況の予想が外れれば、儲けモノと考えましょう。
 アベノミクスを続けると、国の借金が増えます。
 もしそれに見合う経済回復が見込めなければ、この政策は終わる可能性があります。
 そろそろ次の不況を、警戒したい ものです。
 

 

 ※参考文献

  ジム・コリンズ著 ビジョナリーカンパニーC自分の意志で偉大になる