理想の人間関係 2016.04.29
1.不毛な人間関係がもたらす 「人生のロス」
不毛な人間関係に、引きずられている人がいます。
それによって、莫大な時間が、失われているのではないでしょうか。
生産的な活動のために必要な時間、幸せを感じるべき時間などが、大量に浪費 されているはずです。
その結果、自分の中に残るのは、虚しさや疲労感ではないでしょうか。
また、今年に入り、プロ野球選手とバトミントン選手が、賭博などで地位を失いました。
本人もいけませんが、望ましくない相手と、つき合っていたことも、原因の1つ です。
もし、普通の人とつき合っていれば、一生を台無しにすることも、なかったでしょう。
いっそ、誰とも深くつき合うことなく、孤独を通した方が、マシだったかもしれません。
人生にとって、人間関係は重要テーマの 1 つです。
他人の影響を受けやすい人にとっては、最も大きな位置を、占めるかもしれません。
だからこそ、健全かつ有益な関係を、構築したい ものです。
今回のテーマは、「 理想の人間関係 」 です。
2.6つの人間関係
成長したい、改善したい、向上したい ・・・
このようなときは、「理想」 「目標」 「お手本」 などを、持つ ようにしましょう。
理想は、あくまで理想であり、現実と一致することなど、ありえません。
しかし、それによって、現状から、早く抜け出すことができます。
私は、さらに時間を稼ぐために、賢人の知恵を、拝借します。
人間関係において、参考になったのは、スティーブン ・ R ・ コヴィー著 「7つの習慣」 。
この本は、世界的なベストセラーに、なりました。
その中で、紹介されている人間関係が、以下の 6 パターン です。
① Win−Win ・・・・・( ○ + ○ ) 自分も勝ち、相手も勝つ
② Win−Lose ・・・・・( ○ + × ) 自分が勝ち、相手は負ける ( 自分本位の加害者タイプ )
③ Lose−Win ・・・・・( × + ○ ) 自分が負けて、相手が勝つ ( 自己犠牲に酔いしれる被害者タイプ )
④ Lose−Lose ・・・・ ( × + × ) 自分も負けて、相手も負ける ( いわゆる腐れ縁 )
⑤ Win ・・・・・( ○ の み ) 自分の勝ちだけを考える ( 他人に関心のないタイプ )
⑥ No Deal ・・・・・( 無 関 係 ) 取引をしない ( つき合わない )
3.どの人間関係がよいのか?
著者が勧めるのは、① でなければ ⑥。
つまり 「 お互いにプラスの関係 」 が、成立しなければ、付き合わない。
「 ① Win−Win 」 は理解できますが、そうでなければ 「 ⑥ No Deal 」 でよいのでしょうか ?
実は、この部分が、最も重要なポイントと考えられます。
もし ⑥ を選択しなければ、② 〜 ⑤ のよくない関係を、その後も、続けなければいけません。
しかし、「 ① 以外の人 」 との、つき合いを避けると、孤独におちいる のではないかと、不安になります。
実は、この孤独への不安こそが、不毛な関係から離れられない、根本原因なのかもしれません。
孤独を避けるためには、① のタイプと、出会う必要があります。
その方法としては ・・・
今のところ、1 つしか思い浮かびません。
それは、自分自身が、① のタイプになること。
つまり、「 ① Win−Win 」 でなければ、「 ⑥ No Deal 」 を、実践する ことです。
4.よい人間関係と出会う方法
なぜ、自分自身が 「 ① Win−Win 」 を目指すと、同じ考えの人が、集まってくるのでしょうか。
それは、相手も 「 ① Win−Win 」 を目指す人を、求めているからです。
お互いに 「 ① Win−Win 」 でなければ、「 ① Win−Win 」 の人間関係は、成立しません。
相手が、② 〜 ⑤ の関係では、「 ① Win−Win 」 の関係は、成立しないからです。
「 類は友を呼ぶ ( 「 似た者同士が集まる 」 という意味 ) 」 と言われます。
この関係は、他の関係においても、当てはまります。
「 ④ Lose−Lose 」 の腐れ縁は、読んで字のごとしです。
なぜ、お互いに、惹かれ合うのか、理解できませんが。
私は、ビジネス中心の人生を、送っているせいか ・・・
「 ④ Lose−Lose 」 や、「 ③ Lose−Win 」 に接することが、ほぼありません。
もし、出会ったとしても、一目散に遠ざかります。
どちらも、不健全な相手なので、あえて近づく理由がありません。
5.類は友を呼ぶ ・・・ 友人は自分を映し出す鏡
「 類は友を呼ぶ 」ケースで、最も多いのが、「 ②Win−Lose 」 同士 でしょう。
「 ② Win−Lose 」とは、相手に損をさせてもよいから、自分が得をしたい関係です。
「 人生とは限られたパイを奪い合うもの 」 という前提が、あるのかもしれません。
本来、「 ② Win−Lose 」 が求めているのは、「 ③ Lose−Win 」 の相手ですが、滅多に存在しません。
そこで、標的になるのが、同じ「 ② Win−Lose 」 の相手、ではないでしょうか。
「 ② Win−Lose 」 と 「 ② Win−Lose 」 は、理屈の上では、成立しないはずです。
しかし、世の中には、多く存在しています。
なぜでしょうか。
加害者、つまり搾取するのが、強い方の「 ② Win−Lose 」。
被害者、つまり搾取されるのが、弱い方の「 ② Win−Lose 」 ではないでしょうか。
強い「 ② Win−Lose 」 が、弱い「 ② Win−Lose 」 を利用したり、搾取する。
このパターンが、多いのではないでしょうか。
6.中途半端な欲が、大損をまねく
たとえば、大変、ズル賢い人を、強い 「 ② Win−Lose 」 とします。
少しズルをしてもよいから、得をしたいと考えている人を、弱い 「 ② Win−Lose 」 とします。
弱い 「 ② Win−Lose 」 は、強い 「 ② Win−Lose 」 に、あこがれている ことがあります。
自分も、あの人のように、うまく得をしたいと。
強い 「 ② Win−Lose 」 に出会ったとき ・・・
「 ① Win−Win 」 であれば、「 たぶん自分を騙そうとする 」 と、推測します。
しかし、弱い 「 ② Win−Lose 」 は、「 自分を騙そうとする 」 とは、考えられない ようです。
だから、相手の演技に、騙されてしまうのではないでしょうか。
某女性タレントが、不倫騒動を起こして、テレビ画面から、姿を消しました。
独身と名乗り、新婚早々の妻を裏切る男に対して、「 自分だけは裏切られない 」 と、なぜ、考えてしまったのでしょうか。
それは、女性タレント自身に、中途半端な欲望が、あったからではないでしょうか。
中途半端な欲を持つと、かえって損をする と、私は感じています。
7.「 頭が悪い人 」 = 「 頭をつかわない人 」
世間では、よく 「 頭がよい 」 とか 「 頭が悪い 」 と、表現されます。
しかし、本当に 「 頭がよい人 」 または 「 頭が悪い人 」 は、1% もいないでしょう。
残り、99% 以上の人は、ほとんど同じレベル。
違いは、「 頭をつかっているかどうか 」 だけ、ではないでしょうか。
たとえば、A さんと、B さんの前に、100 万円があったとします。
しかし、2 人とも、60 万円ずつ必要だとすると ・・・
20 万円、足りません ・・・ どうしましょうか。
もし 「 ② Win−Lose 」 同士なら、奪い合い になります。
取り分は、「 力関係 」 または 「 ズル賢しさの違い 」 で、決まるのではないでしょうか。
そもそも、限られたモノを奪い合う発想は、動物レベルから、あまり進歩していないと、言えます。
「 ② Win−Lose 」 同士に限らず、① 以外の関係では、ほとんど頭をつかいません。
これらは、「 頭を使わない人間関係 」 と言えます。
8.「 ① Win−Win 」 で、「 頭をつかう人 」 になる
「 ① Win−Win 」 と 「 ① Win−Win 」 の場合は、どうでしょうか。
「 A さんが ○ で、B さんが × 」 を、第 1 の案。
「 A さんが × で、B さんが ○ 」 を、第 2 の案とすると ・・・
「 A さんも ○ で、B さんも ○ 」 の、第 3 の案を、考えなければいけません。
これによって、頭をつかう必要があります。
たとえば、100 万円を、120 万円にする方法。
100 万円と、何か他のモノで、代用する方法。
50 万円ずつ支払い、残り 10 万円ずつの支払いを、延期させる方法など。
「 ① Win−Win 」であれば、第 3 の案が必要になります。
おかげで、頭をつかうシーンに、多く出会います。
さらに、毎日、トレーニングを積むことによって、ますます 「 頭が働く 」 ようになります。
10 年も経てば、大きな成長の差となって表れます。
9.社会全体の利益を忘れない
さらに、確認しておきたいことがあります。
「 A さんも ○ で、B さんも ○ 」であれば、「 ① Win−Win 」でした。
しかし、自分たち以外の 誰かが、それによって、「 × 」 になるとしたら、それは「 ①Win−Win 」 ではありません。
「 自分たちが ○ 、その他の誰かが × 」 なので、「 ② Win−Lose 」 です。
もう、おわかりかと、思いますが ・・・
「 ① Win−Win 」 以外の関係は、せまい人間関係の利害だけで、成立しています。
しかし、「 ① Win−Win 」 は、最終的に、社会全体のことまで、考えなければいけません。
自分たちの利益のために、見知らぬ誰かに、損失を与えてはいけないからです。
「 ① Win−Win 」 では、社会全体で通用するルールを、重視します。
「 ② Win−Lose 」 では、狭い人間関係でしか、通用しないルールを、重視します。
狭いルールを、万能と勘違いすると、社会からペナルティーを受けることがあります。
冒頭で述べた、スポーツ選手と同様、賢明な生き方とは、言えません。
10.強い 「 ② Win−Lose 」 の一生
50 代にもなると、どのようなタイプが、どのような一生を終えるのかを、実際に自分の目で確認する ことができます。
また、年長者の晩年の姿から、「 今後、どのように過ごせばよいのか 」 も、見えてきます。
強い 「 ② Win−Lose 」 は、人生の中盤まで、他人を利用したり、他人から搾取して、上手に過ごします。
しかし、晩年は、自滅してしまうようです。
人間は、他人のことを、自分と同じと、考えがち です。
だから、正直な人は、 「 相手も正直 」 と考えるので、騙されやすいのですが、心の中は平和です。
反対に、嘘をついてきた人は、「 相手も嘘つきではないか 」 と、疑いがちです。
また、長年、他人から搾取するなど、安易な方法に頼ってきたため、頭の働きも、鈍くなっています。
晩年になり、力が衰えてくると、猜疑心が高まり、金銭や権力に、異常な執着を見せます
誰かに裏切られないかと、心が安まることがありません。
さんざん他人を害した、自分の心によって、最期は、自分自身が害されてしまう、のではないでしょうか。
このような人生には、まったく魅力を、感じません。
11.人間関係は 「 量 」 ではなく 「 質 」
自分も 「 ① Win−Win 」。
相手も 「 ① Win−Win 」 でなければ、つき合わない。
このような考えを持つと、孤独に陥るのではないかと、不安になるのも、不思議ではありません。
なぜなら、誰が 「 ① Win−Win 」 の相手なのか、最初のうちは、わからないからです。
たとえ不安であっても、まずは、自分自身が 「 ① Win−Win 」 を目指すこと。
そして、「 ② Win−Lose 」 へ戻ろうとする誘惑を、断ち切る ことです。
強い 「 ② Win−Lose 」 は、弱い 「 ② Win−Lose 」 を利用するために、近づいてきます。
「 あなたは損をしている 」 などと、被害者意識に訴えかけてきたり、魅力的な理解者を演じてみたり ・・・
「 ① Win−Win 」 で考える習慣が身につくと、以前より、頭が働くようになります。
すると、誰が ① 〜 ⑤ なのか、だんだん見抜けるようになります。
また、強い 「 ② Win−Lose 」 が近くにいても、影響を受けなくなります。
そして、「 多数の虚しい人間関係 」 よりも、「 少数の実りある人間関係 」 の方が、満足できることを知ります。
12.企業経営における 「 理想の人間関係 」
人間関係は、人生を左右する、最重要課題の 1 つです。
理想の人間関係を、手に入れたいなら、自ら進んで 「 ① Win−Win 」 を目指す。
同時に、現在の人間関係が、どの状態にあるのかを、冷静に見直してみる。
ここからスタートです。
「 ① Win−Win 」 の関係は、「 1 + 1 」 に対して、「 2 を超える成果 」 を、生み出します。
社会を豊かにすることもあれば、企業に長期的な繁栄を、もたらすこともあります。
経営者であれば、「 ① Win−Win 」 の関係を、社内外に構築すべき でしょう。
まずは、自分自身が 「 ① Win−Win 」 を、目指しましょう。
そして 「 共に繁栄すること 」 を、常に考える。
「 経営者のため 」 「 従業員のため 」 「 顧客のため 」 「 株主のため 」 「 債権者のため 」「 社会のため 」 の何れかに、偏らないこと。
関係者すべてが、繁栄できるように、できれば、全員で目指せるようになること。
このような人間関係こそが、理想ではないでしょうか。
※参考文献
スティーブン ・ R ・ コヴィー著 「7つの習慣」