50代、初めての起業  2019.06.07

 

 

1.激変したサラリーマンの人生設計

 

 50代の方たちが、初めて就職した頃は ・・・
 年功序列と終身雇用の全盛期。
 60歳まで働けば ・・・
 定年退職後は、退職金と厚生年金で、一生安泰 のはずでした。

 

 ところが、トヨタと経団連のトップでさえ ・・・
 「終身雇用の維持は難しい」 と、発言されました。
 サラリーマンの方たちにとって、これは明らかに想定外。
 困惑されている方も、少なくなさそうです。

 

 解決方法として ・・・
 自分で事業を起こす、つまり起業も選択肢の 1 つです。
 今回のテーマは 「50代、初めての起業」。
 その可能性を探ってみましょう。

 

 

2.起業の適齢期

 

 起業家として、大成功を収めたいなら  ・・・
 20 代のうちに、スタートを切るべきでしょう。
 しかし 社会経験と職業経験が足りない ので  ・・・
 数年以内に倒産や廃業など、大失敗をする確率も低くありません。

 

 これら大変な困難を、いくつも乗り越えられた方たちが ・・・
 大経営者になられるのではないでしょうか。
 それを除けば、一般的に起業に適した年齢とは ・・・
 30 代半ばから 40 代半ばまで と考えられます。

 

 それでは 50 代以降の起業に、チャンスはあるのでしょうか。
 それは人それぞれ、やり方次第と考えられます。
 30 代と 50 代では、明らかに異なる。
 この点に注目しながら、話を進めていきましょう。

 

 

3.50 代の強みとは ? 

 

 50 代から、まったく新たなことを、習得するのは ・・・
 並大抵のことではありません。
 だから 長年、蓄積してきたものを生かすのが、妥当 と考えられます。
 過去の蓄積こそが、50 代の強みと言えます。

 

 そこで問われるのが、サラリーマン時代の過ごし方。
 求められるのは、大きく分けて 2 つ。
 1 つ目は 「その分野に関する知識や技術、そして経験」。

 仕事に対して真摯に取り組んできた方には、チャンスがあると考えられます。
 

 

 一方、サラリーマン時代を、安易に過ごされてきた方には ・・・
 成功の確率は、ほとんどないと考えられます。
 サラリーマンと比べ、成功と失敗の差が、大きいので ・・・
 再就職された方が安全 でしょう。

 

 

4.起業に適さない人

 

 2つ目は、「自分の基準になっているルール」。
 サラリーマン時代は、特定の組織に 属しています。
 そこには、ローカルルールがあり ・・・
 年長者ほど、どっぷり浸かってきた恐れがあります。

 

 一方、起業家になると ・・・
 異なるルールを持つ人間関係の中で、過ごさなければいけません。
 このような環境においては ・・・
 ローカルルールではなく、法律など万人に通じるルール が求められます。

 

 以上の理由により ・・・
 サラリーマン時代に、自分に近い価値観の人たちと群れてきた方も、起業家には適さないと考えられます。
 起業に限りませんが ・・・
 第2の人生がどうなるのかは、第1の人生の過ごし方次第 ではないでしょうか。

 

 

5.過去の蓄積を生かした例

 

 以下は、1985 年頃の米国の状況です ・・・
 ドラッカーの著書 イノベーションと起業家精神 によれば ・・・

 

 大企業で 25 年、30 年を過ごしてきたマネジメントや専門職の人たちが ・・・
 自分にとっての最終ポストに達したことを知って、早期退職する。
 50 歳、55 歳で起業家として独立する。 

 

 特に技術系の人たちは、ベンチャーを顧客とするコンサルタントになる。
 あるいはベンチャーのマネジメントに参加する。
 彼らの多くが、新しい仕事に成功する。

 

 日本は欧米社会の後を、追いかけてきました。
 四半世紀前の米国社会にも、今後の日本社会を占うヒント があるかもしれません。
 ここでもわかるように ・・・
 起業する以前の知識と経験を、いかに生かすかがポイントです。

 

 

6.若い人をサポートする仕事

 

 20 年前よりも優れた意思決定を行う人がいる。
 助言者としても、年とともに欲を離れ、かつ知恵と親身さを併せもつならば、最高の仕事をする。

 

 これもドラッカーの言葉です。
 前述の言葉と共通する部分を、読み取ることができます。
 それは、第2の人生で目指すべきポジションは ・・・
 主役ではなく、「現役世代のサポート役」 ではないでしょうか。

 

 そこで 30 代よりも、50 代の方が多くもっているもの。
 それは知識ではなく知恵。
 新しい知識は、30 代の方が、より多くもっているかもしれません。
 しかし 知識を使いこなし、実践で成果に結びつけるためには、知恵が必要。

 

 その知恵を生かせる関係を築くためには ・・・
 欲から離れ、親身さを併せもて という、意味でしょうか。

 

 

.起業家とサラリーマンの感覚の違い

 

 私は、起業家タイプの人間 です。
 また数十年間にわたり、税理士として、起業家のお客様と接してきました。
 おかげで、どこを取ってもサラリーマンとは、程遠く ・・・
 サラリーマンの方たちの協調性や忍耐力には、本当に頭が下がります。

 

 このような私が、40 代以上で起業された方たちと出会ったとき ・・・
 最も違和感をもつのが、金銭感覚 です。
 これまで起業家について、学んできたことと、逆の部分があるからです。
 もちろん、歯がゆく感じています。

 

 1 つ目は、ごたわるのが 「収入か支出かの違い」。
 2 つ目は、こだわる 「金額の大きさの違い」。
 サラリーマンの関心は、少額の支出に集中しがちです。
 一方、起業家の関心は何よりも収入 にあり、支出への関心は、特に大きなもののみです。

 

 

8.金銭感覚の違い @ 収入と支出

 

 サラリーマンは、収入をコントロールできません。
 それが原因で、関心は 「支出の抑制」 に、集中 しがちです。
 その結果、お金に関するトレーニングの場も、消費者の立場に限られます。
 「どこから買えば、安く手に入るか」 など、実は、それほど難しいものではありません。

 

 一方、起業家の主たる立場は、生産者側にあります。
 関心は、収入を第一 とします。
 収入が発生しなければ、何も始まらないばかりか、消滅の危機を迎えるからです。
 しかし、世界中の企業が収入増加を目指しますが、なかなかうまくいくものではありません。

 

 また支出に関しては、消費者の立場になります。
 ここでも、収入第一を前提に、収入が増えるような使い方、つまり 「生きたお金の使い方」 が、求められます。
 サラリーマンは、お店でひたすら値切っても、大きな害はありませんが ・・・
 起業家は適正な価格を把握し、その範囲内で取引相手と良好な関係を維持 しなければいけません。

 

 

9.金銭感覚の違い A こだわる金額の大小

 

 コスト管理は、最大のコストに集中しなければならない。
 5 万ドルのコストの 1 割削減に要する労力は ・・・
 500 万ドルのコストの 1 割削減に要する労力と、ほとんど同じである。

 

 これもドラッカーの言葉です。
 会社の損益計算書に記載されている数字の中で、最も大きな数字は、通常 「売上高」。
 次は、卸売業であれば 「仕入高」、サービス業であれば 「給料手当」。

 

 小さなお金の使い方と、大きなお金の使い方を、両方マスターするのが、理想ではありますが ・・・
 何れにも長けている人は、まずいません。
 同じ時間と労力を使うなら、より報われやすいことに、意識を集中させるべき でしょう。

 

 小さな支出、つまり重要性の低いコストに、神経をとがらせるのは、賢明ではありません。
 とは言うものの、40 代以上の脱サラの方が ・・・
 いきなり起業家のような金銭感覚で、お金を動かし始めたら、早い時期に倒産危機を迎えるでしょう。
 急がれることなく、少しずつ変わればよい のではないでしょうか。

 

 

10.頑張って欲しい 50 代  !

 

 50 代の方たちとは同年代。
 私自身は、最初に就職したときから、「亡くなる直前まで働くのが当たり前」 と、考えてきました。
 なぜなら、同業者の多くが、そうしているからです。
 反対に、「60歳以上は労働禁止」 になると、困り果てますが。

 

 一方、サラリーマンの方たちは ・・・
 定年退職後の生活を楽しみに、多くのストレスに耐えてこられた にちがいありません。
 このような社会になってしまい、お気の毒と思われますが ・・・

 時計の針を戻すことはできません。

 

 運命は勇者に微笑む。
 この言葉を胸に、前進を目指していただければ幸いです。
 何かお役に立てることを ・・・
 今後もお伝えできればと、考えております。

 

 

 ※参考文献

   P.F.ドラッカー著 イノベーションと企業家精神」  「経営の哲学

 

※ 関連記事  

   「20 歳から始める自分のマネジメント」 → こちら 

   「30 歳から始める社会人のための勉強」 → こちら 

   「人生は 35 歳で決まるのか ?」 → こちら 

   「50 歳までに準備しておくこと」 → こちら

     「50 歳  第2の人生を考えるとき」 → こちら