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税理士法人 今井会計事務所

続 2 「 嫌われる勇気 」 人生が変わるアドラー心理学  2014-06-15

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29.自分の 「居場所」 は、考え方しだい      2014.06.15

 

 アドラー心理学によれば、人間の悩みは、すべて対人関係から発生します。
 その悩みを解決するために、出発点となるのは 「課題の分離」 でした。
 ゴールはどこにあるのでしょうか。

 それは、 「共同体感覚」 なのだそうです。

 

 「共同体感覚 (social interest / 社会への関心) 」 については、次のように述べられています。
 他者を仲間と見なし、そこに 「自分の居場所がある」 と感じられる こと。  
  ただし、その共同体とは、小さな集団のことではなく・・・
  家庭や学校、職場、地域社会だけでなく、国家や人類、過去から未来、宇宙全体、動物や無生物をも含みます。

 

  たとえば、私たちは、日本という国に住んでいます。
 しかし、もし、他の貧しい国に生まれていたとしたら ・・・
 もし、同じ日本でも、1000年前に生まれていたとしたら ・・・
 ものすごく不便な生活を、強いられたのではないでしょうか。

 

 この時代の、この国に、生まれてきたからこそ、私たちは、大きな恩恵を受けることができます。 しかも、この環境を手に入れるために、何ひとつ努力した訳ではありません。
 私たちの現在の生活は、 見ず知らずの、無数の先人が築き上げた、過去の蓄積があったおかげ で、成り立っています。
 幸運にも、その上に生きる権利を与えられた ・・・ というのが、真相ではないでしょうか。

 

 このように考えると、もし、天涯孤独であったとしても、過去の先人たちと、つながっていることがわかります。
 「共同体」 の範囲を、拡げていくと、さらに地球や宇宙とのつながりも、想像することができます。
  
だから、 社会に存在する以上、誰一人として、孤独な人はいない はずです。               
 孤独感とは、自分の心の中の問題ですから、 「自分の課題」 として、コントロールできるものです。

 

  もし、自分も共同体の一員であり、先人のおかげで今があると自覚したら、次の世代のための貢献を考えるべきです。
 家族の一員だったら、自宅の掃除くらいしよう・・・というのと、同じ次元で、 「社会に何が貢献できるのか」 を考えてみる。
 これが、アドラーのいう 「共同体感覚」 ではないかと、私は理解しています。

 もし、 関わる人やモノ、すべてに貢献の気持ちを持つ人は、世界中いたるところに、居場所が見つかる のではないでしょうか。

 

 

30.「好かれる人」 より 「貢献できる人」 を目指す      2014.06.17

 

 「誰かと関わっていたい」 という欲求は、人間が持つ本能の1つ、ではないでしょうか。
  だから、多くの人が、孤独な状態を避ける ようにしています。
 ただし、その方法については、人によって異なるのではないでしょうか。
 「アドラー心理学を実践する人」 と、 「その正反対の生き方をする人」 の場合でも、両者は異なる方法を採る、と考えられます。

 

  まずは、アドラー心理学と、正反対の生き方をする人。
  「自分とAさん」 「自分とBさん」 、意識の上では、このようにして、人間関係を構築 していきます。
  人間関係の中心には、常に自分がいて、自分を出発点に考えるため、他人に求めることが多くなります。
 特定の人を仲間と認識し、自分のことを理解してもらうことによって、孤独が解消できる、と考えるのかもしれません。

 

 一方、アドラー心理学を実践する人は、社会という空間があり、その中で、各人がそれぞれの人生を歩んでいる、と感じています。
 だから、 「社会の一員である自分」 「社会の一員であるAさん」 「社会の一員であるBさん」 という人間関係 になります。
 強く意識するのは、 「Aさんと自分」 「Bさんと自分」 よりも、 「社会と自分」 です。
 共同体の一員として、社会に貢献することによって、孤独が解消できる、と考えるのかもしれません。

 

 社会に存在する人すべてを仲間と認識し、誰とでも同じように接しようとします。
 ただし、 「課題の分離」 を重視するため、相手の課題への干渉を避けるなど、さっぱりした人間関係を好みます。
 以上、非常に簡単ですが、両者には、これらの違いがある、と考えられます。

 ところで、 結果的に、 「どちらの人生が、人間関係に恵まれるのか」 について、考えてみましょう。

 

 私は、29歳のとき、L.インフェルト著 「アインシュタインの世界」 を読みました。
 その中で、博士は 「社会には関心があるが、個人的なつながりは、徹底して求めない」 と述べています。
 さぞかし孤独な人生を送ったのかと思いきや、そうではなく、まるで正反対の、超多忙な人生でした。

 私は、 特定の人に好かれようとする生き方より、広く社会に役立とうとする生き方の方が、多くの人と自由に過ごせる ことを、直感しました。

 

 このような生き方を実践するためには、社会から必要とされる能力を高めなければいけません。 また、一方では、せっかくの人生ですから、楽しむことも、忘れたくないものです。
 まずは、 アフター5のつき合いを、99%カット (年間360日 → 3日以内) しましたが、孤独とはまったく無縁 です。
 その結果、仕事や勉強、趣味、健康のために、膨大な時間を、確保できるようになりました。

 

 

1.30歳を過ぎたら、 「好き嫌い」 から卒業する      2014.06.20

 

 他人の評価に怯え、他人に気をつかい、他人に合わせようとする人。
 日本人には、めずらしくないタイプかもしれません。

 しかし、 アドラーは、このような人たちのことを、 「自己中心的」 と述べています。
 なぜでしょうか。

 

 この本には、わかりやすい言葉で、書かれています。
 他人によく思われたいから、他人を気にしている ・・・ それは、他人への関心ではなく、自己への執着。
 他人を見ているようで、実際には自分のことしか見ていない ・・・ つまり、他人への関心を失い、自分にしか関心がない。
 すなわち、自己中心的なのだと。

 

 ポイントは2つあります。
 ① 「承認欲求」 に、とらわれている ・・・ 他人に認められたい、評価されたいという欲求が強い。
 ② 「課題の分離」 が、できていない ・・・ 相手が自分をどう思うかは、相手の課題なのに、切り離していない。
 両者は密接な関係にあるので、1つだけできない、というケースは、考えにくいものです。

 

 ここで言う 「自己中心」 の原因は、 「悪意」 よりも、 「未成熟」 にある のではないでしょうか。
 なぜなら、未成年の人たちが、ふつうに持っている性質だからです。
 未成年者は、成長過程にあるため、未成熟であって、当たり前と言えます。
 ところが、成人後は、職場や家庭で、責任を持たされ、大人として成長していくものです。

 

 問題とすべきは、20代を過ぎても、未だに、その未成熟さから、抜け出していないケース ではないでしょうか。
  たとえば、部下を指導するときは、組織から指示された内容を、愛情を持って、きびしく教えなくてはいけません。 しかし、嫌われたくないという気持ちが強い人は、自分が好かれることを優先し、逆に、相手の機嫌をうかがってしまいます
 大人としての役割を果たせないため、部下も育たないという弊害が、そこで発生します。

 

 未成年時代は、 「好き嫌い」 という価値観が、自分の中で、大きな位置を占めています。
  しかし、成人後は、様々な経験を経て、そこから学び、そして成長し、より重要な価値観を、人生の中に見いだすことができます。
  そのために、「課題の分離の実践」 と 「承認欲求との決別」 は、避けて通ることができません。

 アドラー心理学は、未成年状態から脱するために、必ずマスターすべき考え方 ではないでしょうか

 

 

2.貢献できる人は、常に居場所が見つかる      2014.06.22

 

 アドラーは、 自分の居場所、つまり、共同体の中で、所属感を得るためには、 「ただ、そこにいるだけでは得られない」 と述べています。
  どうすればよいのでしょうか。
 この本には、共同体に対して、自ら積極的にコミットすること。
  つまり、 「何を与えてくれるのか」 から 「何を与えられるのか」 に、意識を変えなさい、と書かれています。

 

 たとえば、何かの会に入ったとします。
 ここで、他の人と、交流がなければ、入会した意味がありません

  せめて、気の合う、親しい友人だけでも、作りたい ものです。
 しかし、アドラー心理学によれば、ここで終わってはいけない、と考えられます。

 

 なぜでしょうか。
 本人は 「気の合う友人」 と 「小さな居場所」 を、手に入れることができました。

 しかし、 共同体に対して、 「何を与えられるのか」 という姿勢が、見られない からです。
 このままでは、気の合う友人次第で、居場所を失う可能性があります。

 

 それでは、これから、ご紹介する方法は、いかがでしょうか。
  入会後、チャンスを見て、 先輩方に 「何か、お手伝いできることがあれば、言ってください」 と、伝えておきます。
 通常、このような会は、一部の役員が、他のメンバーの世話で、大変な思いをしているものです。
 だから、裏方の地味な仕事を、引き受けてくれる人を、常に求めています。

 

 ただし、役員の中には、 「何を与えてくれるのか」 という姿勢で、役を続けている人たちもいます。
 「課題の分離」 ができておらず、組織内で特権を行使したいために、役員になりたがる人。

 「承認欲求」 を求めて、地位や名誉、自己満足のために、役員になりたがる人など。
 派閥や権力争いに、利用されそうになったら、うまく距離を置きましょう。

 

 アドラー心理学では、 「何を与えられるのか」 が重要です。 
  だから、つまらない仕事を、自ら買って出て、しかも、淡々と、楽しみながら、進めましょう。
 自分の居場所が確保できたら、次は、新しいメンバーに声をかけるなど、共同体に対して貢献できることは、いくらでもあるはずです。

  何も求めず、ただ、貢献する姿勢を貫いていれば、いたる所に居場所が見つかる ものです。

 

 

3.行き詰まったら、広い世界に目を向ける      2014.06.23

 

 私たちは、日常、何らかの共同体に属しています。
 学生なら学校、社会人なら職場、その他、誰もが、家庭や地域社会、地方自治体、国家、世界、宇宙など。

 この本には、「共同体」 の中の人間関係で、行き詰まった場合、どのように考えるべきか が、紹介されています。
 学校や職場の人間関係などで、行き詰まりを感じている人には、ぜひ、読んでいただきたいものです。

 

 たとえば、職場でトラブルが起きたとき・・・
 職場こそがすべてだと思っていると、自分の居場所を見失い 、精神的に追いつめられてしまいます。
  ここで、家庭や自室など、さらに狭い共同体へ逃げ込んでは、いけません。
  ますます、行き場を失うからです。

 

 このようなケースでは、反対に、 「より大きな共同体の声を聞け」 というのが、原則なのだそうです。
 つまり、 より大きな共同体の人に相談したり、より大きな共同体の常識で、考えてみる ことです。
  たとえば、職場の人間関係に悩みがあれば、もっと広い社会で生きている人に、相談してみましょう。
 また、日頃から、1つの共同体に固執せず、様々な人たちと、幅広く、交流を持てば、どろどろした人間関係そのものに、縁がうすくなります。

 

 実は、大きな共同体を意識して、生きていた方が、人生は、楽に、うまくいくものです。
 2001年〜2006年まで、内閣総理大臣を務めた、小泉純一郎さんを例に説明しましょう。
  他の総理大臣は、1、2年しか、もたなかったのに、なぜ小泉さんだけが、5年以上、続いたのでしょうか。

 それは、他の議員が、所属政党を共同体としていたのに対して、小泉さんは、国民を共同体 としていたからではないでしょうか。

 

 だからこそ、 「○○党をぶっこわす」 と言いながらも、総理大臣を、続けられたのだと思います。 
  逆に、 小さな共同体にしがみついて、狭い常識にとらわれていると、つまらない人生で終わります。
  私が、 「個人」 よりも 「社会」 を意識するのは、そのためです。
 だから、閉鎖的な組織や、因習的な集まり、馴れ合いの人間関係には、なるべく、関わらないようにしています。

 

 この本には、次のような言葉で、表現されています。
  ひとたび世界の大きさを知ってしまえば、自分が学校に感じていた苦しみが、 「コップの中の嵐」 だったことがわかる。

  大きな共同体から、理解を得られれば、小さな共同体で、嫌われても、影響はほとんどありません。
 一度、このような生き方を知ってしまうと、小さな共同体に固執する生き方には、二度と戻りたくなくなるでしょう。

 

 

4.他人を評価しない      2014.06.26

 

 アドラー心理学では、他人を叱ってもいけないのですが、他人を誉めてもいけません。
 つまり、評価してはいけないのです。
  先生や師匠、上司などの立場にある人は、仕事として 「評価」 をする必要があります。
  ただし、それは、仕事の範囲内に限ります。

 

 それ以外の、身近な人間関係において、なぜ、他人を評価したがる人が、いるのでしょうか。
 アドラーは、 「他人を操作するため」 と述べています。
 評価とは、 「能力のある人が、能力のない人に下すもの」 という側面があります。

  だから、 自分が主導権を握り、他人を操作するために、意図的に、上の立場にまわっている ことがあります。

 

 以前、出版社の営業マンが、やってきました。
 必要な本なので、購入を決めたところ、 「この本を買わない税理士は、レベルが低い」 と、口にしていました。
 税法を知らない者が、専門家である税理士を、なぜ、評価できるのでしょうか。 

  このように、 評価すべき立場にない者から、評価を受けても、あっさり、聞き流す ことです。

 

 また、世の中には、年中、他人のことばかり、話している人がいます。
 さらに、 「あの人はいい、悪い」 と、最後に、評価を付け加えます。
 しかし、このような人に限って、充実した人生を送っていないものです。

 劣等感から目を背けるために、あえて、高い位置に、自分を置いている のかもしれません。

 

 人間関係に上下をつけるのは、 「他人に求める」 生き方をしているから、 ではないでしょうか。
  だから、相手の学歴、地位、国籍、収入、家柄が、気になります。
 しかし、アドラー心理学を実践すると、最終目標は、 「自己実現」 と 「社会貢献」 になる、と考えられます。
  その結果、最も関心が高まるのは、 「社会はどうなのか」 、それに対して 「自分は何ができるのか」 の、2つになります。

 

 他人に与える、つまり 「他者への貢献」 を目標にすると、相手の学歴、地位、国籍、収入、家柄などは、関係なくなります。
 さらに、自分の学歴、地位、国籍、収入、家柄なども、関係なくなります。   

 その結果、 自分が意識する人間関係は、限りなくフラット なものに、近づいていきます。
 これにより、いつでも、どこでも、誰とでも、同じ人間として、気軽につき合えるようになります。

 

 

35.企業経営に生かす (イノベーションに適した人間関係)      2014.06.27

 

 2013年のベストセラー、入山章栄著 「世界の経営学者はいま何を考えているのか」 は、非常に面白い本でした。
 世界の経営学者が、近年、取り組んでいる、主要な研究テーマが、わかりやすく紹介されています。
 その中で、シカゴ大学の、ジェームズ・コールマン教授の研究にも、興味を惹かれました。

 それは 「人間関係の結びつきの強さ」 と 「情報伝達のスピード」 との関係 です。

 

 この研究結果によれば・・・
  ① 人間関係の結びつきが 「強い」 → 情報伝達のスピードが 「遅い」 
  ② 人間関係の結びつきが 「弱い」 → 情報伝達のスピードが 「速い」
  次に、ビジネスへの応用を考えてみましょう。

 

 ①の 「人間関係の結びつきが強い」 方が、有利なケース
 ・古くからある成熟産業では、変化も乏しく、技術革新のスピードも遅いものです。
  ・新しい技術より、これまでの技術を、より深く活用することに、重点が置かれます。
 ・「知の深化 (知識を深める) 」 が、求められるため、人間関係の結びつきが、強い方が有利です。

 

 ②の 「人間関係の結びつきが弱い」 方が、有利なケース
  ・不確実性の高い、最新ビジネスなどは、技術革新のスピードが速く、既存の技術はすぐに陳腐化します。
  ・企業は、自ら、積極的に、イノベーション (革新) を起こさなければいけません。
 ・「知の探求 (知の多様化) 」 が求められるため、人間関係の結びつきが、弱い方が有利です。

 

 アドラー心理学に、話を移しましょう。
 「課題の分離」 を実践すると、各人が精神的に自立するため、社内の人間関係は、よい意味で、①から②へ進むのではないでしょうか。

 ②の人間関係は、不確実性の高いビジネスや、イノベーションに有利 と考えられます。
 現代は、多くの産業において、不確実性が高まったため、アドラー心理学が、より求められる時代に、入ったのかもしれません。

 

 次に、企業外の人たちとは、どのように付き合っていくべきでしょうか。
 成熟産業などでは、 関係業者などと、深くつきあった方が有利でしょう。

 反対に、 不確実性の高い産業や、イノベーションが求められる企業は、様々な分野の人と、浅く、広く、付き合う べきでしょう。
  まったく関係のない業種の人から、意外性のあるヒントが、得られるかもしれません。

 

 

6.やるべきことは、 「介入」 ではなく 「援助」      2014.06.29

 

 アドラー心理学において、 「課題の分離」 は、理論の中心をしめる、非常に重要な考え方です。
  なぜなら、 対人関係のトラブルの多くは、次の2つのことが原因で発生するから です。
  ① 自分が、他人の課題に土足で踏み込むこと
 ② 他人が、自分の課題に土足で踏み込むこと

 

 上記①や②を、 「介入」 と呼んで、話を進めます。
  他人への 「介入」 の背後には、 「縦の人間関係」 があると、この本には、書かれています。
  人関係を縦でとらえ、相手を自分より低く見ているからこそ、介入してしまう。

  自分は間違っていない、相手を正しい方向に導こう とする、と。

 

 しかし、この 「介入」 の正体は、実は、 「操作」 だと、アドラーは述べています。
 つまり、 自分の意図する方向に操作することが目的で、相手に介入している のです。
 劣等感が強い人の中には、 「介入」 することによって、擬似的な優越感に、ひたっている人もいるかもしれません。
  何れにしても、 「介入」 はよくないということです。

 

 「介入」 にならないようにするためには、 「援助」 に切り替えるべき、と書かれています。
   以下、この本に書かれている内容の要旨は・・・
  「○○をしなさい」 と上から、命令するのは、 「介入」 なので、やめる。     

  「援助」 は、 「課題の分離」 と 「横の関係」 を、大前提 とする。

 

 人が課題を前に踏みとどまのは、能力の有無ではなく、実は 「課題に立ち向かう勇気がくじかれている」 。
 だから、くじかれた勇気を取り戻すことが先決。
 ○○は相手の課題であり、 「自分は○○ができる」 と自信を持ち、課題に立ち向かえるように、本人に働きかける。

  アドラー心理学では、この 横の関係に基づく援助のことを、 「勇気づけ」  と呼ぶそうです。

 

 実は、税理士試験 (最終合格率約2%) を受けている最中に、興味深い現象に気づきました。
 男性の場合、特に、 厳しい家族 (妻または親) を持つ人の方が、合格までの年数が短い ということです。
 「大変な試験だから」 と、理解を示されるより、 「なぜ早く合格しないんだ」 と、責め続けられた人の方が、早く合格します。
 合格によって、家族の生活が変わるため、これは、 「家族全体の課題」 だった、と考えるべきなのかもしれません。

 

 

7.自信を持つ方法      2014.06.30

 

 自信を持ってもらおうと、相手を誉めることがあります。
 しかし、アドラーは、人を誉めてはいけない、つまり評価してはいけないと、述べています。
 誉めるという行為は、縦の人間関係において、能力がある者が、能力のない者に、下すものです。  

  だから、 人は誉められる度に、 「自分には能力がない」 と、潜在意識に刷り込んでしまう 恐れがあるからです。

 

 これを避けるためには、 「縦の関係」 ではなく、 「横の関係」 から、相手との接し方を見直す、必要があります。
 横の関係であれば、 「感謝」 「尊敬」 「喜び」 といった、気持ちを、言葉で表現すべき です。
 具体的には、 「ありがとう」 「うれしい」 「助かったよ」 などでしょうか。
 大げさな言い方ではなく、素直に、口にすることです。

 

 人は、他者から 「感謝」 の言葉を受けたとき、 「貢献できる存在」 として、 「自分には価値がある」 と、自覚することができます。
 その 「自分には価値がある」 という自覚 (自信) こそが、人生に立ち向かう勇気を生む のです。
  ×  誉める →  相手は 「能力がない」 と潜在意識に刷り込む  →  他人の評価をあてにする
 ◎ 感謝する  →  相手は 「自分に価値がある」 と感じる  →  人生に立ち向かう勇気を持つ

 

 人生の中で 、「勇気」 が、必要とされるのは、特に、成人後ではないでしょうか。
 未成年期は、敷かれたレールの上を、走ればよいのですが、その後は、自分で、自分の人生を、切り開かなくてはならない からです。
  仕事のこと、結婚のこと、子供のこと、健康のこと、親のことなど。
 これら、すべてを、自分で決断しなければなりませんので、必ず 「勇気」 が必要になります。

 

 それでは、自分に対して、 「価値がある」 「価値がない」 という思いは、最終的に、何が原因で決まるのでしょうか。
 このメカニズムについて、この本には、次のように書かれています。
  劣等感とは、主観的な問題であり、他人の評価によるものではないと。

 だから、 いくら、他人から高い評価を得ても、 「自分が自分のことをどう思うのか」 で、決まってしまう のです。

 

 世の中には、容姿端麗、成績優秀、名家出身、健康優良、な人たちがいます。
 しかし、自己評価が低いと、自分自身に価値を見い出せず、勇気を持つことも、自信を持つこともできません。

  このような人たちが、 本来の力を発揮してくれれば、本人や家族だけではなく、社会全体が豊かになります。
 そのためには、目指すものを、 「他人の評価」 から、 「社会への貢献」 に、切り替えるべきではないでしょうか。

 

 

8.「縦の関係」 と 「横の関係」      2014.07.03

 

 対人関係のとらえ方には、 「縦の関係」 と 「横の関係」 があります。
 「縦の関係」 でとらえる人は、相手によって、上下を意識します。
  たとえば、 「Aさんは自分より上」 だが、 「Bさんは自分より下」 など。
 これに対して、 「横の関係」 でとらえる人は、 「人間はすべて対等」 と、意識しています。

 

 この本には、この2つの対人関係のとらえ方ついて、次のように書かれています。
 人間は不器用なので、 「縦の関係」 を築くか、 「横の関係」 を築くかを、相手によって、使い分けることができない。
 「縦」 か 「横」 の、どちらか一方しか、選べないので、 「Aさんとは対等で」 「Bさんとは上下関係で」 とは、いかない。
 もし、誰かと 「縦の関係」 を築いていたら、あらゆる対人関係を 「縦」 でとらえている、そうです。

 

 対人関係を 「縦の関係」 でとらえると、様々な弊害がある ことを、これまでお話しました。
  他人に嫌われたくないという思いが強い、他人の期待を満たそうとする、自分のことが好きになれない。
  他人と自分を比較し、不健全な劣等感に悩む、他人と競争するため、最終的に他人を敵と認識し、気が休まらない。
  課題の分離ができない、他人を操作するために、他人を評価する ・・・ など。

 

 アドラーは、1人でもいいから、 「横の関係」 を築くことを、勧めています。
 それを突破口に、あらゆる対人関係を 「横」 にしていく。

 「横の関係」 とは、意識の上で対等であり、主張すべきは堂々と主張する。    
  もちろん、相手の立場を考慮せず、礼を失するようなことがあってはいけませんが。

 

 私は、たぶん、子供の頃から、 「横の関係」 が、ベースにあったと思います。
  だから、人を上下に分けるにしても、何を基準に、何を単位に、何で測定すればよいのか、 わかりません。
 明確な基準、単位、測定器具が見つかったとしても、それは、一体、誰が決めたことなのでしょうか。
 正直、人を上下に分けるのが、面倒なこともあり、誰に対しても、ワンパターンで接しています。

 

 おかげで、立場が下の人には、ありがたがられる反面、尊敬されたくて仕方がないような人には、不評かもしれません。
 また、名誉や地位、権力に対して、こだわりが強い人も、面倒に感じます。
 「罪を憎んで、人を憎まず」 と言われます。

 人は、 地位、収入、家柄、国籍、出身地 などではなく、行為によって、判断されるべき ではないでしょうか。

 

 

9.ありのままの自分を受け容れる      2014.07.04

 

 アドラーは、 「①自己への執着」 を 「②他者への関心」 に切り替え、 「③共同体感覚」 を持つことが、重要 と述べています。
  これに必要なのが、 「①自己受容」 「②他者信頼」 「③他者貢献」。
 それぞれを、①②③どうしで、組み合わせると ・・・ 「①自己への執着」 を断つために、必要なのが 「①自己受容」。
 さらに、 「②他者への関心」 のために、必要なのが 「②他者信頼」 、 「③共同体感覚」 のために、必要なのが 「③他者貢献」。

 

 回は、1番目の「自己受容」です。
 「①自己への執着」 を断つために、 「①自己受容」 が必要だとすると・・・

 「自己への執着」 が強い人ほど、 「自己受容」ができていない (ありのままの自分を、受け容れていない) ことになります。
  「自己受容」 の反対は、 「自己肯定」 ですが、それぞれの意味を確認してみましょう。

 

 「自己受容」 とは、自分のありのままの姿を認めた上で、向上を目指すものです。                 
  「できない自分」 を、ありのままに受け入れ、できるようにするために、努力する。              

  60点の自分を、そのまま受け入れ、100点に近づくためには、どうすればよいのかを考える。
  これは、自分に対して、正直な生き方になります。

 

 一方の 「自己肯定」 とは、自分のありのままの姿を否定して、向上を目指すものです。    
  できないことを 「自分はできる」 「私は強い」 と、自分に暗示をかける。  

  自分は60点なのに 「今回はたまたま運が悪かっただけで、本当の自分は100点を取れる」 と言い聞かせる。  
  これは、自分に対して嘘をつく、生き方になります。

 

 話を元に戻すと、自己への執着が強い人ほど、ありのままの自分を、受け容れられません。
 つまり、人によく思われたい人ほど、 「自己肯定」 によって、現実とかけ離れた自分を、演じてしまいます。
 さらに、それが本当の自分だと、自分に言い聞かせるため、本当の自分というものが、わからなくなってしまいます。
 人間は、わからなくなると、不安になり、その不安が原因で、ますます、執着するという、悪循環に陥ります。

 

 逆に、自己への執着がなければ、自分から離れることができるため、ありのままの自分を見ることができます。
 さらに、自己への執着がなければ、その、ありのままの自分を認める、つまり、受け容れることができます。

 現実の自分にあった、改善点や、改善方法を、見出すことができるので、効率よく、成長する ことが可能になります。
 自己への執着は、ありのままの自分を、 「見ること」 そして 「受け容れること」 の、妨げになるようです。

 

 

40. 「変えられるもの」 と 「変えられないもの」 を見極める      2014.07.06

 

 日本には、 「努力が大切」 と、考える人が、大勢います。
  しかし、人生には、 「努力」 とは、比較にならないくらい、大切なことがあります。

 それは、 「何を努力するのか」 の、 「何を」 の見極め です。
 もし、懸命に、努力したとしても、それが、不幸をまねくようなことであれば、やがて、不幸になってしまうからです。

 

 前回、 「自己受容」 の説明で、次のような話がありました。
 60点の自分を、そのまま受け入れ、100点に近づくためには、どうすればよいのかを考える。
  このために、何でもかんでも努力すればいい、という訳ではありません。
 何らかの、見極めが、必要になります。

 

 この本には、 自分の努力で 「変えられるもの」 と、 「変えられないもの」 を、見極めなさい と、書かれています。
  私の経験から見ても、 「変えられるもの」 に、努力を集中させると、人生が、飛躍的に向上します。
  逆に 「変えられないもの」 を、変えようとしても、不毛な結果に終わるのではないでしょうか。
  つまり、努力の方向性を見極めるとき、 「変えられるものかどうか」 は、非常に有効な視点の1つになります。

 

 まずは、 自分では 「変えられないもの」 を特定して、心の中から、追い出しましょう。
 ① 「課題の分離」 によって、他人の課題を切り捨てる
 ② 「自己受容」 によって、偽りの自分と訣別し、偽りの目標を、却下する
 ③ 「原因論」 をやめて、「目的論」によって、過去、容姿、学歴などに、囚われないようにする。

 

 それでは、 私たちが努力すべき目標、つまり 「変えられるもの」 とは、一体、何でしょうか。
 ① 「課題の分離」 を進めると、自分が取り組むべき、課題が見えてきます。
 ② 「自己受容」 を進めると、本当の自分に合った目標が、明らかになります。
  ③ アドラー心理学をマスターすると、最終目標は 「自己実現」 と 「社会貢献」 になります。

 

 「変えられないもの」 に、囚われなくなると、人生は軽く、快適なもの になります。
 さらに、年齢が進むと、時間的、体力的、環境的に、変えられないものが増えるため、ますます、すっきりします。
  人間は、多欲な人ほど、重たい人生を、歩まなければいけません。
 反対に、不毛な荷物を見極めて、潔く捨てると、気持ちが軽くなって、自由に生きているという、実感が湧いてきます。

 

 

1.「信用」 と 「信頼」 の重要性      2014.07.08

 

 今回は、2番目の 「②他者信頼」 の話です。
  「①自己への執着」 から 「②他者への関心」 へ、切り替えるためには、 「②他者信頼」 が必要です。

  もし、 他人を信頼していない状態で、その人に関心を持ち続けるとすれば、それは自分の都合 によります。
 つまり、 「自己への執着」 に、起因する、ということになるのではないでしょうか。

 

 ここで、 「信用」 と 「信頼」 の違いについて・・・
  「信用」 とは、条件付きで、相手を信じること です。
 たとえば、 「いついつまでに、返してくれるなら、お金を貸してあげる」 など。
 ビジネスの場では、この 「信用」 がベースになります。

 

 一方の 「信頼」 とは、条件なしで、相手を信じること です。
  おもに、家族の間、特に、 「親子間」 で、求められるのではないでしょうか。
  もし、関係が悪化しても、信頼しつづけようというのが、アドラーの主張です。
  しかし、育児放棄をする親や、暴力を振るう子供を信頼するのは、なかなか難しいと思われます。

 

 このような問題を、家族内で抱え込むと、ますます事態を悪化させる可能性もあります。
 以前、お話しましたが、 「行き詰まったら、より広い世界を目指す」 が、鉄則です。
 専門家や、公共機関に、相談されることを、お勧めします。
 親のできが悪い場合、子供は一方的な被害にあいますので、社会全体で保護・救済できるようにしたいものです。

 

 「信頼」 や 「信用」 の反対は、 「懐疑 (かいぎ 相手を疑うこと) 」 です。
 「懐疑」 を、対人関係のベースに置くと、周囲の人を、疑いながら、生きることになります。 
  背後には、 「自分は正しい」 「被害者意識が強い」 「相手に対して、失礼とは思わない」 など、自己中心性が、見られます。
  20代を過ぎても、このような傾向があれば、精神的に未熟、あるいは、不健全な状態かもしれません。

 

 ビジネスにおいては、迅速かつ円滑に、業務を進めるために、 「信用」 が大きな役割を果たします。
 しかし、 懐疑的な人は、自分と相手の関係しか見ないため、他の人の迷惑を考えずに、自分の主張だけを、言い立てます。
 おかげで、つまらない確認のために、多くの時間と労力が、費されることになります。
  このような関係から、前向き、かつ、生産的なおつき合いは、望めないでしょう。

 

 

2.企業経営に生かす (衰退業界からの脱出)      2014.07.09

 

 マネジメントの父と呼ばれた、ドラッカーの経営理論は、非常に役立っています。
 まず、衝撃を受けたのが、 「事業の目的は、顧客の創造」 。

 当社の行っていることが、事業に当たるかどうかを決めるのは、顧客 であること。
 もし、利益を事業目的にすると、経営者、従業員、顧客などの間で、利害の対立が、生まれることが、指摘されています。

 

 それでは、 「顧客の創造」 を、実現させるためには、どのような方法があるのでしょうか。
 それは、マーケティングと、イノベーションです。

 マーケティングとは、販売をしなくても、売れる仕組みをつくる ことです。
  手法としては、カテゴリーを小さく絞っていき、そこで1位を目指すような戦略もあります

 

 マーケティングの対象となるのは、既存の市場にいる顧客 になります。
 成功率は、イノベーションより、はるかに高いのですが、市場そのものが縮小すると、意味がなくなります。
  マーケティングでは、同業他社との、競争に勝つことを、目標にします。
 これは、アドラー心理学とは、正反対の思考法ではないでしょうか。

 

 もう1つは、イノベーション。
 これは、既存の事業に、異なる業種の要素を採り入れたり、既存の事業の一部を削って、異なるカテゴリーを創り出します。

 新たに、対象となるのは、既存の市場の外にいる人たち、つまり、ノン・カスタマー。
 ただし、成功する確率は、非常に、低いものです。

 

 現在は、多くの業界で、成熟化が進み、さらに衰退して、消滅寸前の業界も、少なくありません。
 その中で、 マーケティング戦略によって、縮小したパイを、同業他社と奪い合っても、消耗の割に、成果があがりません。
 かつて、乱立したガソリンスタンドも、値引き合戦と、過剰サービスが災いして、衰退時期を、早めました。
 このような業界の経営者は、転業を決意するか、イノベーションによって、新たなカテゴリーを生み出さなければいけません。

 

 イノベーションを実現させるためには、同業他社に囚われない発想が、求められます。
  ドラッカーが主張するとおり、「他社より優れている」 ではなく、 「他社とは違う」 です。
 そのためには、「他人と比較しない」 「対人関係に上下をつけない」 「他人の評価を求めない」 などの習慣化が、必要になります。
 私は、アドラー心理学を深めて、自分自身の中に、新たな思考回路を、発見したいと、考えています。

 

 

 ※ 参考文献  P.F.ドラッカー著 「マネジメント エッセンシャル版」

 

 

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代表社員 税理士 今井 睦明


1960年生まれ 名古屋市出身 1989〜1993年 税理士試験 法人税法、消費税法、事業税、簿記論、財務諸表論、全5科目合格
 
1994年税理士登録 日本税理士会連合会 登録番号 税理士法人3430 税理士78397 名古屋税理士会名古屋北支部所属

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