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税理士法人 今井会計事務所

予測されていた世界恐慌   2008.11.04

  私は、今、1冊の本に感謝している。副島隆彦氏の著書“連鎖する大暴落” だ。

 

 この本のおかげで、暴落が表面化する2ヶ月前の8月初旬に、情報を得ることができた。米ドル相場がまだ1ドル=110円前後の頃だった 。

 

 おかげで、損失を抑えることができたばかりか、顧客に対してもドル建て債権の解約や、大型設備投資の見送りなど、有益な情報を提供することができた。

 

 

 

 このようなケースで、特に難しく感じられるのは、情報の信頼度である。もし、為替が逆の方向に動いてしまった場合、自分だけならいいが、顧客に対して多大な損害を与えることになるからだ。

 

 

 

 この“連鎖する大暴落”の最も大きなテーマは、“アメリカの凋落”だろう。その根拠として、日本人の知らない“ずさんなアメリカの実態”が描かれている。

 

 

 

 詳しくは副島氏の最近の著書“恐慌前夜”を読まれるといい。

 

 

 

 ところで、一体いつから、副島氏は今回の恐慌を予想していたのだろうか。どうやら、それは2004年4月に発行された“やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる” あたりだろう。

 

 

 

 今後は、副島氏の2004年時点の経済予測と、その方法についてご紹介したい。

2004年時点の予測   2008.11.07

 副島隆彦氏は、遅くとも2004年3月には、今回の恐慌を予測していたことになる。これは、翌月に発行された著書やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくるで証明される。

 

 

 たとえば194〜195頁を要約すると、次のことが予測されている。

 

 

①いよいよアメリカ本国でのバブル崩壊をきっかけに、世界同時不況が本格的に起きる。

 

 

②その原因は、アメリカの金融・与信システム自体が、内部に巨額の不良債権(簿外のかくれ債務)を抱えていることにある。

 

 

③アメリカの大銀行群や、ファニー・メイ、フレディマックといった日本の住宅金融公庫のような政府系銀行が抱える不良債権が露呈し、金融危機が起きる。

 

 

④第二次世界大戦終結から60年目である2005年を契機にして、数年以内に経済変動が起きることが確実視される。

 

 

⑤このアメリカ発の大不況を契機に、1930年代から続いたアメリカの世界覇権が次第に衰退に向かう。

 

 

 2008年11月現在、①〜④は既に起きている。⑤は今後の話。それにしても、どうして、こんなことが予測できたのだろうか。その方法については、次回お話ししよう。  

モノから景気を考える   2008.11.27

 副島隆彦氏の著書“やがてアメリカ発の大恐慌が襲いくる”では、不景気を“モノ”ベースでとらえている。つまり、不景気とは“過剰在庫・設備”を意味するらしい。需要に対して供給過剰な状態のことを言うのだそうだ。

 

 

 私たちは、つい目先の価格の動きにとらわれがちだ。先頃の原油価格高騰がいい例。本質は投機マネーによるバブルなのに、原油不足によるものと勘違いし、インフレの予測さえ立ててしまう。

 

 

 もし、インフレ傾向にあるのであれば、価格が高騰する前に買い込んでおく。反対にデフレ傾向にあるのであれば、価格が下がるまで買い控えるべきだろう。

 

 

 今回のようなバブルのケースでは、必ずどこかで崩壊する。その時点まで、購入は最低限に抑えるべきだろう。これをインフレと見誤ると、逆の行動を取ってしまうので注意が必要だ。

 

 

 この“不景気=過剰在庫・設備”の等式に、経営を当てはめてみると、世の中にあふれるモノやサービスを提供していては、いつまで経っても業績は改善されないと言うことになる。

 

 

 逆に、斜陽産業と言われる業種には、チャンスが隠れている可能性もある。同業者数がどんどん減っているからだ。もし、世界で最後の1社になったとすれば、価格は自由自在に決められる。

 

 

 

 

  世の中に起きる経済現象を、常にこの等式に当てはめて考える習慣を持つと、商売のヒントが見えてくるかもしれない。

 

 次回は、不景気を“お金”ベースで考えてみよう。

理性と感情を使い分けよう!   2009.01.19 ( 2012.11.03 加筆 )

 今日のような厳しい状況を乗り越えるためには心構えが大切です。そこで目を通しておきたいのが、デール・カーネギー著「道は開ける」。この本には悩みの克服法が延々と綴られています。その解決法を簡単にまとめると、以下のようになります。

 

 ① 事実をありのままに受け入れる。
 ② 悩みを具体的に書き出す。
 ③ ②の原因を具体的に書き出す。
 ④ 悩みに対して、自分ができることを全て書き出す。
 ⑤ ④の中から選択して、実行する。

 

 このプロセスさえ守れば、多くの問題は解決します。もし解決できなくても、最悪の事態だけは避けられることでしょう。そこで最初に重要になのが、①の「事実をありのままに受け入れる」。ここで間違えると、その後の努力は無駄に終わります。

 

 しかし過去に倒産した企業などを見ると、これが意外に難しいようです。たとえば債務超過額が月商の2倍を超えると「要注意ゾーン」に突入します。そろそろ「倒産」を意識し始めるべきでしょう。早急に経営方針を転換しなければいけません。

 

 「事業拡大」を進めていた企業は、「キャッシュフロー優先」へ。この時点で不採算事業からの撤退など、事業縮小をうまく進めれば、倒産リスクは減少します。ところが多くの社長はこの事実を受け入れようとせず、拡大路線を続けてしまいます。

 

 さらに債務超過額が月商の4倍を超えると「危険ゾーン」に突入します。これらの基準は、東京商工リサーチで1500件もの倒産企業を分析された、ランチェスター戦略の竹田陽一先生によって、弾き出された数字を、私なりにアレンジしたものです。

 

 経営者は倒産寸前まで資金繰りに奔走し続け、思考回路は既に停止状態。何をやってもうまくいかないのはそのためです。悪循環を断ち切り、冷静な判断力を取り戻すためにはどうすればよいのでしょうか。それは倒産の事実を受け入れることです。

 

 「最悪の事態を受け入れる覚悟ができると、かえって思考力を取り戻すことができる」と、カーネギーも述べています。

 

 倒産が確実になったら、何を優先させるべきでしょうか。それは「倒産の回避」ではなく、「倒産後の人生」です。会社は倒産してしまいますが、人生が終わる訳ではありません。だから、次の人生のために準備を始めなければならないのです。

 

 倒産に関する救済策は、法律で定められています。主なものは、A.任意整理 B.民事再生 C.自己破産 の3つ。何れも債務の全部または大半が切り捨てられます。だから厳しいながらも、再起をかけてスタートを切れる可能性があります。

 

 ただし弁護士費用など、大きなお金が必要になるため、本当に行き詰まってからでは手遅れになります。最悪の事態に進む前に、できる限り早めに弁護士や税理士に相談しておくことです。それが将来の選択肢を拡げることになります。

 

 もう1つ重要なことは、小さな取引先を大切にしておくこと。たとえ少額でも、零細企業にとっては大きなお金です。さらに倒産後に力になってくれるのも、零細企業の人たちだからです。債務は必ず小さな取引先を優先して返しておきましょう。

 

 「倒産」という事実は、経営者にとって受け入れがたいものです。しかし、悪あがきすればするほど、周囲にも迷惑をかけるし、倒産後の人生も悲惨なモノになります。だから「事実をありのままに受け入れること」が大切になります。

 

 ところで「事実をありのままに受け入れること」は、なぜ難しいのでしょうか。それは人間に感情があるからです。感情は事実に対して、様々な「意味づけ」を行います。だから悲観的な人と楽天的な人では、同じ事実を異なる事実と見なします。

 

 さらに同じ人が同じ料理を食べても、その時の気分によって美味く感じたり、不味く感じたりするのも、そのせいではないでしょうか。このように感情には事実を曲げてしまう力がありますので、ビジネスにおいては、特に注意しなければいけません。

 

 感情主体の生き方をしていると、シビアな場面で大きな判断ミスを犯したり、悪意のある人に利用されやすいものです。また生産性の高い関係よりも、馴れ合いの関係を築きやすく、組織全体のレベル低下を招くなど、弊害も少なくありません。

 

 ここで、感情と理性の本質について、検討してみましょう。「感情に理由はいらない」と言われるように、決して論理的ではありません。さらに本能や感情などの原始的な欲求は、コントロールしなければ大きなパワーで自分を支配してしまいます。

 

 たとえば「いやなこと」を感情で受けとめると、大きなパワーによって、頭の中は、恐怖、怒り、不安、疑い、嫉妬などに占領され、思考は停止してしまいます。ひどい場合は、自暴自棄や無気力など、生活にも大きな実害を及ぼすこともあります。

 

 このような事態を避けるためには、「いやなこと」が起きたら、できる限り感情をセーブし、理性で対処すべきではないでしょうか。理性は論理的・客観的・多面的な性質を持っているため、ゆっくりですが確実な方向へ自分を導いてくれます。

 

 反対に「良いこと」が起きた場合は、感情で受けとめることです。すると大きなパワーによって、明日への活力が生まれます。さらに、その後は理性によって、反省すべき点を反省すれば、次のレベルへと成長することもできます。

 

 感情主体で生きていると、悪いことが起きると後悔し、良いことが起きても反省しません。理性主体で生きていると、常に反省ばかりで、人生に喜びが感じられません。ケースによって両者を使い分ければ、うまく楽しく生きられるのではないでしょうか。

今日一日をしっかり生きよう!   2009.02.06 ( 2013.04.10加筆 )

  悩みを抱えたとき、早く解決したいと願います。しかし悩みをすぐに解決できる人と、悩み続ける人がいます。さらに悩み続ける人の方が、悩みを深刻化させやすい。この違いは、一体、どこから生まれるのでしょうか。

 

 それは悩みの種類や深さではなく、自分自身の問題。つまり「日々の過ごし方」。すなわち「今日一日をしっかり生きられるかどうか」にあるのではないでしょうか。ここで、デール・カーネギーの言葉をご紹介しましょう。

 

  過去と未来を鉄の扉で閉ざせ。 今日一日の区切りで生きよう。

 

 今日、帰宅する途中、交通事故に巻き込まれ、そこで人生が終わるかもしれません。今晩、床についたまま、二度と目が覚めないかもしれません。もし自分が大丈夫だったとしても、大切な人を失うかもしれません。

 

  つまり、今日と同じ明日が訪れる保証など誰にもないのです。だから大切なのは「今」。「今」は二度と訪れません。生まれた瞬間から、自分の時間は減り続けます。この事実は何人にも平等に訪れます。だから今日一日をしっかり生きること。

 

 毎朝、目覚めたら、今日一日の目標を立てる。目標は、仕事でも、趣味でも、健康でも構いません。ただし「自分ができそうなこと」に限ります。目標が決まったら、今日一日だけはその目標に向かって頑張る。そして、毎日、それを繰り返す。

 

 過去の失敗を悔やんだり、将来の不安に怯える人は、今日一日をしっかり生きることができません。すると一番大切な「今」を無駄に過ごしてしまいます。「人生にとって何が大切なのか」もわからないまま、一生を終えてしまうのです。

 

 だから、カーネギーの言葉どおり、過去と未来を鉄の扉で閉ざしてしまいましょう。

 

 悩んだからと言って、問題が解決する訳ではありません。具体的に行動を起こさない限り、人生は何も変わりません。だから悩みを引きずるのをやめる。さっさと見切りをつけて、建設的なことのために、今日一日をしっかり生きることです。

 

 過去は修正できません。しかし将来は未定です。その将来はどこにあるのでしょうか。それは「今」の延長上にあります。だから「今」をどのように過ごすのかによって、将来を変えることもできます。 「 今日一日だけに集中する 」 「 悩むのではなく行動する 」「 毎日、それを繰り返す 」。この3つがポイントになるのではないでしょうか。

熱意の妨げになる原因は何か   2009.02.27

 会社にとって、最も大切なのは社長さんの熱意。社長さんに熱意がなければ、いくらお金があっても、いくら優秀な従業員がいても、いくら立派な社屋があっても、会社は不況を乗り切れない。

 

 社長さんが熱意を取り戻したおかげで、見違えるように息を吹き返した会社を、私はいくつも知っている。だから社長さん自身が元気になることが、一番大切なことなのだ。

 

 それでは、なぜ経営に熱意が持てない社長さんがいるのだろうか。その多くは他の悩みを抱えているケースが多い。悩みとうまく付き合っていくためには、年頭からご紹介したデール・カーネギーの著書道は開けるが参考になるので、ぜひお読みいただきたい。

 

 次に悩みの原因について考えてみよう。健康や家庭の悩みは経営以上に重要なケースもある。深刻なものであれば、率先して解決されることをお勧めする。これらの問題を除くと、やはり“お金”が大きな位置を占めるのではなかろうか。

 

 お金の悩みを抱えている社長さんは、例外なく仕事への意欲が低い。“お金”に追われるあまり、頭の中が“仕事”ではなく“お金”を中心に回わっているからだ。

 

 お金の悩み”は“仕事の悩み”と勘違いされやすい。しかしお金を目的とする仕事と、お金を結果と見る仕事には、大きな違いがある。お金に追われていると、その違いに気づくことができない。仕事の質はやがて低下し、顧客離れが始まる。

 

 早い段階で過ちに気づけば、引き返すことも可能だ。しかし先へ行くほど資金繰りが悪化するため、さらにお金を追いかけなければならなくなる。そして最後は行き着くところまで行ってしまう。

 

 次回は、お金と仕事の関係について、考えてみたい。

不況の時こそ顧客第一主義   2009.03.09

 お金の問題は収支のバランスにある。収入の範囲内に支出を抑えれば、お金の悩みは発生しない。収入が少ない時は節約し、質素な生活を心掛けるなど、お金の悩みを増やさないようにしたい。

 

 しかし今回のような不況が訪れると、対応が間に合わなくなる。特に固定費比率の高い企業は“倒産”の2文字が浮かぶ。苦しい。だから“お金のための仕事”をしたい。気持ちはわかるが、これが更なる業績悪化を招くことになる。なぜだろうか。

 

 それは不況の時ほど、顧客の目が厳しくなるからだ。それまで黙って買っていた顧客までもが、商品と価格を比較し始める。過去にうまくいったからと言って、なめてかかると大ケガをする。

 

 このハードルを乗り越えるためには、同業他社に負けない付加価値を付けるか、優れたコストパフォーマンスを実現させなければならない。これができないと顧客離れが始まってしまう。

 

 “お金のための仕事”は一般的に質が低い。顧客の目が厳しくなると、とても太刀打ちできない。だから不況の時こそお金のための仕事をやめて、顧客のための仕事へ切り換える。これがピンチをチャンスに変えるための秘訣である。

 

 不況時は仕事が減るが、時間は増える。だから1つの仕事を丁寧にする。お客さんと会う回数を増やす。書店で本を探して勉強するなど、時間を有効に使う方法など、いくらでもあるだろう。

 

 次回は家族思いの人に、ぜひ読んでいただきたい話をする。

人生はポイントで決まる   2009.05.26

 「優れた成果を手にする人」と「そうでない人」の違いは、一体どこにあるのだろうか。1点だけ挙げろと言われれば、それは「ポイントを見分ける能力」にあると私は思う。

 

 優れた人もそうでない人も、努力の「質」や「量」については、大差がない。しかし努力の「方向性」には大きな違いがある。ここで話を進めるために、次の算式が成り立つと仮定してみよう。

 

 成 果 = 努力の方向性 × 努力の質 × 努力の量

 

 物事のポイントを見分けられない人は、「努力の方向性」を見誤る。その結果、いくら努力しても思わしい成果が得られない。努力すればするほど、事態を悪化させてしまうこともあるだろう。

 

 もし東京で大切な仕事があったとする。ところが目指すべき方向性がわからないと、大阪へ向かって全力疾走する。これでは名古屋で昼寝をしていた人の方がマシと言うことになりかねない。

 

 努力の方向性は、その人が何をポイントにしているのかで決まる。仕事で大成する人たちは物事の本質に注目するが、そうでない人たちは末梢に気を奪われる。文章で言えば内容よりも誤字脱字が気になる。大切なことよりも、無駄なことに人生を費やしてしまうのだ。

 

 物事に対して「どこにこだわるのか」を見れば、どのレベルまで到達できるのかが、だいたいわかる。逆に言えば、この点にさえ気を付ければ、人生は飛躍的に改善されるものである。

 

 求人広告には「35歳まで」と書いてあるが、35歳を過ぎると大きな変化に対応できなくなる。だから30代前半までに自己改革に手をつけないと、後はどうにもならない可能性が高い。

 

 まずは物事を平等に扱わないこと。自分が努力すべき事には必ず優先順位を付けること。そして大切なことはその根拠。根拠によって人生は変わる。だから一生かけて、この根拠を磨くのである。

ポイントは米国債と長期金利   2009.06.01

 前回、「10年物米国債が大幅に続落し、長期金利が上がり始めている」とお伝えしたが、持ち直したようだ。大震災前の余震かもしれないので、今後も注意しなければならない。

 

 今回は、なぜ今後の景気を占うのに、「米国債」と「長期金利」がポイントになるのかについて、お話ししよう。

 

 それは現在の世界経済のアキレス腱が、米国債にあるからだ。米国債とはアメリカの借金のこと。現在は、多くの国、地方自治体、企業、団体、個人が保有している。日本はお隣の中国と並び、相当大きな金額に膨れあがっている。

 

 だから、米国債の価値が下落すると世界経済は大変なことになる。短期間に大幅に下落することを「暴落」と言うが、実はその可能性が出てきたと、多くの評論家が口にするようになった。

 

 アメリカが借金を返せないことに、大半の国は気づいている。だから一刻も早く手放したい。ところが売り手が増えれば、相場は加速度的に下落する。すると深刻な世界恐慌が起こってしまう。だから怖くて手放せないと言うのが、現状なのではなかろうか。

 

 次は国債が下落すると長期金利が上がる理由。1年物を長期とは呼ばないが、わかりやすく1年物国債、年利10%とする。市場価格が下落し、債券額1万円のものを5千5百円で購入したとしよう。

 

 1年後に満期をむかえ、手にする金額は1万1千円。利益は差額の5千5百円。これを元金5千5百円で割ると、実質年利100%と言うことになる。

 

 長期金利は国債の実質金利の影響を受ける。国債の相場が下がれば長期金利は上がるし、国債の相場が上がれば長期金利は下がる。

 

 通常、高金利はバブル抑制のために利用される。つまり火消しの役割を果たすのだが、不景気なところへ火消しが登場すると、経済はひん死状態におちいる。借金ができなければ、設備投資はストップ。あらゆる消費が落ち込み、私たちの生活も激変する。

 

 世界経済を占うポイントは「米国債」と「長期金利」。そこから崩壊が始まる。その後の展開については、副島隆彦氏の『日米「振り込め詐欺」大恐慌』を読まれるといいだろう。

成功と失敗を占う「タイムラグの法則」   2009.06.11

 成功と失敗について考えるとき、私は1つのシンプルな法則を用いる。名付けて「タイムラグの法則」。内容は次の2つに分かれる。

 

 第1法則は「今の自分(結果)は、過去の自分に原因がある」。これは、現在の成功や失敗を分析する場合に用いる。第2法則は「将来の自分(結果)は、今の自分に原因がある」。これは、将来の成功や失敗を予測する場合に用いる。

 

 努力してもよい結果が出るまでには時間がかかる。また、怠けても悪い結果が出るまでには時間がかかる。前提としているのは、原因と結果の間には必ずタイムラグがあるということだ。

 

 このタイムラグの法則を知らずに、成功や失敗の原因を、その時点の自分に求めると、大きな間違いを犯すことになる。

 

 たとえば「成功を手に入れた」ケース。成功(結果)の原因は、地道に努力した「過去の自分」にあったはずなのに、派手な生活を送る「今の自分」を正当化してしまう。すると、将来には絶不調が待ちかまえていることだろう。

 

 逆に「成功できない」ケース。現在の努力(原因)は、「将来の自分」にしか結果として表れないのに、性急に「今の自分」に求めてしまう。すると何でもすぐにあきらめ、いつまで経っても成功できない人生を歩むことになる。

 

 「失敗には必ず理由があるが、成功はそうとも限らない」と言われる。ビギナーズ・ラックも、その手のものだ。成功の分析や予測は、失敗の分析や予測するよりもはるかに難しい。

 

 まずは大きな失敗を避けることを考えるべきだろう。次回以降もこのテーマでお話をつづけたい。

徳川家康に「失敗しない生き方」を学ぶ   2009.06.16 ( 2012.11.02 加筆 )

  世の中に失敗をしない人などいません。私も数多くの失敗を経験しています。たとえばお金をなくす。さすがにお札はなくしませんが、硬貨は年に数回落とします。全部足しても数百円なので、気にしていません。

 

 常に注意しているのは大きな失敗。若い頃から自分なりに検討したところ、天災や事故を除けば、多くの失敗は自ら招いていることがわかりました。だから大きな失敗を避けるためには、自己管理が唯一の方法だと考えています。

 

 ところで大きな失敗とはいつ訪れるものでしょうか。不調時は注意していますから、起きるとしても小さな失敗で終わります。反対に大きな成功を手にした後は気がゆるみ、大きな失敗をまねく可能性が高まるのではないでしょうか。

 

  企業の倒産も同じ。長期間、低迷している企業よりも、数年前に絶好調を迎えた企業の方が、はるかに倒産しやすいものです。好調がいつまでも続くと勘違いし、おもに設備費や人件費、交際費などの支出を増やしたことに原因があります。

 

 不調時には気持ちを引き締めていますが、好調が続くと判断力が鈍り始めます。それではどうすれば平常心を保ちながら、長い経営者人生を全うすることができるのでしょうか。300年近い太平の世をもたらした徳川家康に学んでみました。

 

 1572年の三方ケ原の合戦。徳川家康は家臣の反対を押し切り、最強と呼ばれた武田信玄に無謀な戦いを挑みました。結果は無惨そのもの。命からがら逃げ返りました。ここで殺されていれば、江戸時代もなかった訳で、日本史は大きく塗り替えられていたことでしょう。

 

 慎重で有名な家康でさえ、若いころは血気盛ん。しかし私たち凡人とは異なります。自らの愚かさを忘れまいと、即座に自分の姿を画家に描かせ、終生これを戒めとして眺めたと言われています。この絵は「顰(しかみ)像」と呼ばれ、名古屋市の徳川美術館に保管されています。

 

 もし家康が順風満帆な人生を送っていたら、天下人にはなれなかったでしょう。三方ケ原の大きな失敗こそが、実は天下取りのための重要な経験になった。つまり失敗を成功に活かすことができた。ここに私たちが学ぶべきものがあるようです。

 

 人間誰しも失敗をします。すでに起きたことを悔やんでも仕方がありません。かと言って目を反らすと、単なるマイナスの財産で終わってしまいます。これをプラスの財産に変えるためには、心の奥にしっかり刻み込んでおくべきでしょう。

 

 失敗をする度に、将来の自分に向かって、落胆した姿とメッセージを残す。「油断するな」「おごり高ぶるな」「同じ失敗を繰り返すな」。この映像をパソコンや携帯電話に保存し、好調時に再生する。なかなかできることではありませんが(笑)。

 

 成功者は失敗しないのではなく、失敗をその後の人生に活かす。ここにポイントがありました。そのためには「不調時に腐らないこと」以上に、「好調時におごらないこと」。好調になったら過去の失敗を思い出して、平常心を取り戻す。これによって失敗の度にステップアップする人生が実現するのではないでしょうか。 

景気の底は2012年   2009.07.13

 この予測は2009年時点のものです。

 

 副島隆彦氏の予測には、大変なことばかり書かれていたが、注目すべきは、「これから2012年までに起きること」。さらに、副島氏は「その後、日本経済は上昇していく」と言っている。

 

 もし、この予測が当たるとすれば、今後3年間が正念場。だから、この3年間に何が起きるのかをきっちり抑え、無駄な失点を犯さないようにすること。それでは各予測について、簡単にご説明しよう。

 

 ①と③。FRBと米財務省は経済対策として、4年間で2000兆円分のドルを刷り散らすが、おかげで米国債とドルの大暴落が起き、「アメリカ発の世界恐慌」が始まる。

 

 上記①と③の結果、アメリカの負債は天文学的な数字になる。そこで②と⑨。オバマ大統領は実質半分にするため、2010年にドルを半値まで切り下げて辞任する。

 

 日本も緊急に預金封鎖をし、旧円の代わりに価値が半分の新円を発行する可能性あり。たとえば、旧100円=新50円で交換されることになる。預金は半分の価値になり、借金も半分になる?

 

 だから資産価値の安定した⑩の金を買っておくとよいが、その金もやがて買えなくなる。

 

 ④と⑤。アメリカのいかさま金融商品に振り込んだおかげで、日本から700兆円が奪われた。日本の年金資金は吹き飛び、私たちは予定の3分の1しかもらえない。

 

 ⑥と⑦と⑧。NYダウ平均は3000ドル台、日経平均は4500円割れとなり、NPO法人が激しく損失を出してつぶれていく。大銀行、大証券会社もつぶれないという保証はなくなる。  

夫婦で月13万円の年金生活   2009.07.21

  副島隆彦氏の予測の大半は、3年後に終わる。ところが、その後も解決しない問題が1つだけある。それは年金問題だ。

 

 年金資金は、世界の債権や株式などに投資されている。それが今回の金融危機で、かなり吹き飛んでしまったらしい。細かく証券化されたサブプライム絡みの債権が紛れ込んでしまったのだろう。

 

 副島氏は「もらえる年金額は夫婦で月13万円」とまで明言している。国民年金の受給者は、今もこの程度の金額しかもらえない。厚生年金受給者も、今後はそうなる可能性がある。

 

 年金がダメなら生命保険に期待したいところだが、こちらも運用先が同じなので、結果は似たようなもの。さらに株価が暴落すれば、生命保険会社は破綻。受給額も減らされることになるだろう。

 

 老後は誰も支えてくれない。自分の力で生きていかなければならない。だから、死ぬまで働くことを前提にライフプランを立てる必要がある。しかし、問題は「仕事がどこにあるのか」である。

 

 そう考えると、「脱サラ起業」のラインが見えてくる。ところが自営業の道はそんなに甘くない。前回、1989年末のバブル崩壊後も、多くの脱サラ組が挑戦したが、失敗に終わった。

 

 決められた仕事をこなすのは、サラリーマンの方が得意。しかし経営者になると、自分で仕事を決めなければならない。優秀なサラリーマンが経営者になっても、うまくいかない理由はそこにある。

 

 次回は「脱サラ起業家」の方でも、失敗の少ない「不況時の経営スタイル」について、考えてみよう。

脱サラにおすすめの経営スタイル   2009.07.27

 不況時は、じたばたしても儲からない。だから、目標を「儲ける」から「食べていければよし」に切り換えなければならない。なぜなら、どちらを選ぶかによって、経営方針がまるで違うからだ。

 

 「儲ける」が目標なら、設備投資や販路拡大など攻勢をかけるべきだが、「食べていければよし」が目標なら、支出とリスクを最小限に抑えて、必要な生活費を安全に確保しなければならない。

 

 全国高額納税者番付で、1993〜2001年の間、連続1〜6位だった「銀座まるかん」の創設者、斉藤一人さんも「商売は損をしないことが一番で、儲けることはその次」と言っている。

 

 さて、私が提案する経営スタイルは、名付けて「リスク回避型経営」。1つ1つの要素について、大きなリスクを避けることを第1に考える。具体的には、次の10項目を守ることである。

 

①粗利益率の高い商売を選択する
②1顧客あたりの取引割合を抑える 
③現金商売を選択する
④できる限り借金をしない        
⑤設備にお金をかけない 
⑥できるかぎり店舗を借りない          
⑦できるかぎり在庫を抱えない
⑧売れなくなる前に商品を変える
⑨できるかぎり従業員を雇わない                             
⑩税負担を抑える

 

 この方法で大儲けをするのは難しいだろう。しかし、リスクも少ない。経営者として経験が浅い人には、特にお勧めの経営スタイルと言える。次回以降は、各項目について、具体的に説明しよう。
 

粗利益率とリスクの関係を知る   2009.07.31

 

 「粗利益率の高い商売を選択する」の重要性を理解するためには、その逆である「粗利益率の低い商売」の恐ろしさを知るのが一番だ。

 

 粗利益(あらりえき)は、会計上、「売上総利益」と言い、損益計算書の上の方に表示されている。しかし、粗利益の方が一般的な名称なので、今回はこちらを使用する。

 

 まずは「粗利益」と「粗利益率」を導く公式を理解しよう。その上で設問を解いていただきたい。なお、ここでは話をシンプルにするために、仕入以外の売上原価は発生しないものとする。また、在庫を持たず、仕入れた直後に販売するものとする。

 

 ● 売上高 − 仕入高 = 粗利益  
 ● 粗利益  ÷ 売上高 =  粗利益率

 

問1.粗利益と粗利益率を求めなさい

 

例① 90万円で仕入れた商品を100万円で販売するケース
100万円(売上高)―90万円(仕入高)=10万円(粗利益)
10万円(粗利益)÷100万円(売上高)=10%(粗利益率)
     → この後は「粗利益率10%の商売」と呼ぶ

 

例② 10万円で仕入れた商品を100万円で販売する
100万円(売上高)―10万円(仕入高)=90万円(粗利益)
90万円(粗利益)÷100万円(売上高)=90%(粗利益率)
     → この後は「粗利益率90%の商売」と呼ぶ

 

※粗利益率10%の商売と、粗利益率90%を比較すると、粗利益と粗利益率がそれぞれ9倍違うことがわかる。

 
問2.売上先が倒産した場合の実質損害額を求めなさい

 

例① 粗利益率10%の商売
  収入はゼロだが、仕入先に90万円の返済義務が発生する。

 

例② 粗利益率90%の商売   収入はゼロだが、仕入先に10万円の返済義務が発生する。

 

※粗利益率10%の商売と、粗利益率90%の商売を比較すると、損害額が9倍違うことがわかる。

 

問3.利益に対するリスク(損害額)の大きさを求めなさい

 

例① 粗利益率10%の商売   問1①で求めた10万円の利益を得るためには、問2①で求めた90万円の損害を負う。つまり利益に対して9倍のリスクを負う。

 

例② 粗利益率90%の商売

 

    問1②で求めた90万円の利益を得るためには、問2②で求めた10万円の損害を負う。つまり利益の9分の1のリスクを負う。

 

※粗利益率10%の商売と、粗利益率90%の商売を比較すると、利益に対するリスクの割合は、それぞれ9倍と9分の1倍になり、実に81倍もの違いが発生する。つまり、粗利益率が9分の1だと、同じ利益を得るためには、81倍ものリスクを負わなければならないことになる。

 

 好況時はリスクの発生率がもともと低いため、81倍あったとしても、実害が発生する可能性はほとんどない。しかし不況時には、この差が顕著に表れる。この事実に気づけば、不況時に粗利益率の低い商売を選択することが、いかに恐ろしいのかがわかると思う。

 

コスト削減③コピー紙の節約   2009.12.21

 今回からは「一般経費のコスト削減」を具体例を使って、お話ししよう。コスト削減と言うと、つい、モノの節約に励んでしまう。代表的な例がコピー紙。裏紙を使えば、1枚20銭くらいの節約になるだろうか。だから、裏紙の利用に励んでしまうのだ。
 

 しかし、ここで、もう1つのコストに気づいて欲しい。それは「人件費」。今やモノ余りの時代、特に消耗品の価格は驚くほど安い。逆に最も高騰したのは人件費。最も低い給料の者でも、正社員であれば、1時間当たり最低2,000円強のコストが掛かる。

 

 先ほどのコピー紙を例に挙げると、裏紙の利用によって、紙詰まりのトラブルが大幅に増える。仮に、時間コスト2,100円の従業員が、その処理に10分かかったとすると、350円(2,100円÷60分×10分)のコストがかかる。

 

 ところが損失は350円に留まらない。その間の収益活動が停止するため、人件費比率が売上高の25%の場合、1,400円(350円÷25%)の収益を失う。つまり10分間のタイム・ロスが1,400円の損失を生んでしまうのだ。

 

 さらに問題なのは、裏紙の利用によって、機械そのものの寿命を縮めてしまうこと。メーカーに修理に出せば、数万円はかかる。その間、作業効率が落ちるため、さらに余分な人件費が発生する。

 

 もし、損失が5万円増えたとすると、用紙にして25万枚分。よほどコピー枚数の多い企業でない限り、ペイできる金額ではない。コピー用紙は常に新しいものを使用し、使用後はリサイクルに出した方が安くつく。裏紙を使うのは節約でも何でもない。

 

 モノを大切にすることはよいことだ。しかし、そればかりに目を奪われると、かえってコスト高をまねく。コスト削減を進める場合は、必ずそれに関わる人件費まで考慮し、コスト全体を把握すること。これが経営者に望まれるコスト感覚なのではなかろうか。

コスト削減⑨コスト削減の最終目的   2010.01.26

  コスト削減の目的は「利益の確保」にある。それでは「利益」とは、どんな意味を持つものなのだろうか。「知の巨人」と呼ばれた、ピーター・F・ドラッカーは、著書「マネジメント」の中で、利益には、次の4つの機能(要約)があると述べている。

 

 ①成果の判定基準・・・・・・・・・・・・過去に対する評価

 ②将来のリスクに対する保険・・・「将来の不安」のために使う

 ③労働環境改善のための原資・・「将来の発展」のために使う

 ④社会サービスと満足の原資・・・社会の充実のために使われる

 

 ②については、貯蓄、投資、保険などの他に、債務の早期返済、他社との提携、合併なども考えられる。

 

 一方、③は「人」の問題。つまり、企業にとって、最も重要な要素である。なぜなら、人の活動こそが価値と利益を生産し、その価値と利益によって、企業は継続することができるからである。

 

 中小企業にとって重要なことは、その時点の状況に応じて、②の「将来のリスクに対する保険」と、③の「労働環境改善のための原資」への利益配分のバランスに注意することだと、私は考える。

 

 これまでコスト削減について、長々と話をしてきた。従業員1人当たりの時間コストまで計算し、人件費コストを下げるべきだとお話しした。しかし、これが最終目的ではない。

 

 そこから生まれた余剰資金を、生産性向上のために、③の「労働環境改善のための原資」へ再投資する。「無駄な人件費」をカットし、「活きた人件費」へ。これがコスト削減の本来あるべき目的である。そうしなければ、企業は衰退へ向かう。

 

 ただし、企業生命が危ぶまれる時は、余剰資金を②の「将来のリスクのための保険」へ回さなければならない。倒産回避は迅速性が求められる。遅ければ遅いほど、再建が難しくなるからである。
 

人を活かす②コミュニケーションの落とし穴   2010.02.02

 昼休みはひそひそ話、アフター5は喫茶店、帰宅後はメールや電話と、くだらないことに時間と労力が費やされる企業がある。社長さんも人間関係の問題で多くの時間を割かれてしまう。

 

 日本人は「もめごと嫌い」だから、もめごと自体を毛嫌いしたり、ケンカ両成敗にしがちだが、一体何が原因なのかを解明しないと、やがて優秀な人が去り、社内は怠け者の天国になってしまう。

 

 もめ事は、貢献度の高い人とそうでない人の間で起きることもある。だから、私はもめ事を全面的に否定する気はない。全員が貢献度の低い会社になれば、やがて社内からもめ事は消えるだろう。

 

 これが表面的には仲がよいが、生産性の低い企業の実態だ。社長さんがこの状態を容認すれば、やがて倒産することになる。だから、もめ事がある内に改革に着手しなければならない。

 

 前回、各人の人間性を把握しないと、「組織」に問題が発生するとお話ししたが、これが経営にどんな影響を及ぼすのかについて、日常、頻繁に起きていることを取り上げてみたい。

 

 例えば、同じような過ちを何度も繰り返す者が、あなたの会社にもいないだろうか。注意すると、その場では反省の態度を見せるものの、しばらくすると再発してしまう。どうしてだろうか。

 

 通常、問題の解決には、コミュニケーションが用いられる。コミュニケーションは言葉によって行われる。しかし、悲しいかな。人間性の違いによって、言葉の意味が違うのだ。

 

 だから、同じ言葉を使って、コミュニケーションを試みたとしても、言葉そのものの意味が違えば、正しい意図など伝わらない

 

 まずはこの事実に気づかなければ、今後も無駄な努力を続けることになる。次回以降は、何が原因でこのようなことが起きるのかについて、さらに詳しく話を進めていきたい。

人を活かす⑨反対意見はなぜ必要なのか   2010.02.26 ( 2013.04.11加筆 )

 お客様から相談を受ける場合、できる限りお客様の意思を尊重します。なぜなら経営は「経営者の個性」に基づいて進められるべきものだからです。業種、商品、立地、販売方法、従業員数、組織構造など、すべて最高経営責任者が決定すべきでしょう。

 

 ところが賛成できないケースもあります。私の専門である税務会計において、お客様に不利な状況が発生する場合。またドラッカーなどが提唱する経営原則に明らかに反する場合です。これらのケースでは、「ノー」とお答えすることにしています。

 

 「お客様に嫌われたくない」「お客様を傷つけたくない」「契約を切られたら売上が減る」などと考えると、かえってお客様にご迷惑をお掛けします。常に「イエス」と答えたり、無難な答に終始していては、専門家として料金をいただく価値もありません。

 

 中小企業の場合、経営者には多くの判断が求められます。しかも迅速かつ的確に処理しなければいけません。ドラッカーは著書「経営者の条件」の中で、「意思決定」する際の注意事項として、次のように述べています。 

 

 「都合が悪いことさえ起きなければうまくいく」。これが最も危険な決定方法である。この種の決定はもっともらしく見えるが、必要条件を詳しく検討すれば、必ず矛盾が出てくる(要約)。

 

 この言葉を裏返すと、次のようなリスク回避の方法が考えられます。

 

 ①社長さんの提案を発表し、社内で反対意見を募る
 ②①について1つ1つ「障害」になる条件を明らかにする
 ③②の障害をクリアできる方法を検討する
 ④③で満足な結果が得られなければ中止または保留する

 

 どんなに大きな失敗にも、必ず引き返すチャンスがあります。このようなケースで、遠慮なく反対意見を述べられる従業員は大きな財産になります。社長さんが最終地点の手前で気づくことができるからです。

 

 リスク回避は「情報」がカギを握ります。現場で集めた悪い情報が、トップに早く伝わらなければいけません。そのためには風通しのよい社風を必要とします。社長さん自らが社風の改革に着手する必要があります。

 

 組織に対して責任感のある従業員は、悪い情報ほど早く知らせます。肝心な時に力になるのは、評価を求めて仕事をする者ではなく、信念を持って仕事をする者です。そのためにも従業員1人1人に精神的な自立を促すことも重要です。

 


 反対意見がなぜ必要なのか。それは「選択」にポイントがあります。選択するプロセスにおいて、問題の本質、リスクの存在、その回避方法、メリットとデメリットなどを確認することができるからです。もし賛成意見ばかりなら、「選択」の余地がなくなり、意志決定のリスクが高まります。反対意見が述べやすい組織にするためには、「風通しをよくすること」「精神的な自立を促すこと」「反対意見を求めること」が重要と考えられます。

時間を活かす②時間には質を求める   2010.04.09

 時間の問題を「量」で解決しようとすると壁に突き当たる。どんなに努力しても1日を30時間にすることはできないし、いくら健康に注意しても80年くらいで人生の幕は下りる。

 

 だから時間には「量」ではなく「質」を追求するしかない。限られた時間の「質」をいかに高めるかを追求すべきである

 

 ところが「質の追求」は意外に難しい。なぜなら「上質」を一度経験しない限り、「質」の差に気づくことができないからだ。わかりやすいように「ステーキ」の話をしよう。

 

 日頃、スーパーで山積みにされたものしか食べたことがない人に、ステーキの質が解るだろうか。答はノーである。上質のステーキを口にして、初めて「質」の違いを知ることになる。

 

 「質」の違いがわからない人は、安いステーキをお腹いっぱい食べることしか満足する方法を知らない。このような人がステーキハウスを開業しても、うまくいかないだろう。

 

 私は脂肪分を好まないのでスーパーの肉で十分だが、一流の料理人を目指すなら、一流のステーキを口にしなければならない。

 

 ステーキと比べると時間はもっとわかりづらい。味もしなければ、目にも見えない。それでは上質の時間とは一体どんな時間のことを言うのだろうか。それは「集中力が高まる時間」のことである。

 

 しかし日頃から問題解決を迫られたり、常に成果を求められていない限り、時間の質を気にすることはないだろう。人によっては時間に質があることさえ気づかないのかもしれない。

 

 日常ただ流れる時間だけが、人生における時間だと考える人は、自分の才能や可能性に気づかない。けっきょく主体性のある生き方とは言えない。次回は時間の質を変える方法をご紹介しよう。

 

  時間にも質があることに気づこう!

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代表社員 税理士 今井 睦明


1960年生まれ 名古屋市出身 1989〜1993年 税理士試験 法人税法、消費税法、事業税、簿記論、財務諸表論、全5科目合格
 
1994年税理士登録 日本税理士会連合会 登録番号 税理士法人3430 税理士78397 名古屋税理士会名古屋北支部所属

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