マーケティングの基本(前編・戦略)  2017.07.08

 

 

1.売上を確実に増やしたいなら 「マーケティング」

 

 売上を増やす方法は、明らかにされています。
 最も効果的な方法がマーケティング。
  まずは マーケティングの技術を学び、経営に採り入れていく。
 この方法が最も成功率が高いと思われます。

 

 しかしマーケティングに関しては、本だけでも、数知れずあります。
 信用できないものも、少なくありません。
 たまたま書店で手にした本の内容を信じて、大金を失う人もいます。
 このようなことは、絶対に避けたいものです。

 

 マーケティングの第一人者と言えば、フィリップ ・ コトラー。
 コトラーの理論は広範囲に渡っており、私もその大半を知りません。
 ただし、中小企業レベルであれば、基本を実践するだけでも、十分な効果が出る はずです。
 今回のテーマは、コトラーの 「マーケティングの基本 (前編・戦略)」 です。

 

 

2.マーケティングの枠組み

 

 マーケティングの枠組みは、以下のとおりです。
  @ ミッション ・・・ 企業としての使命・目的・目標
  A 戦略 ・・・・・・ ミッションを達成するための長期プラン
  B 戦術 ・・・・・・ 戦略を実現させるための具体的な方法

 

 次の順番で組み立てていきます。
  @ ミッション → A 戦略 → B 戦術
  しかし、@ を言葉にするのは、案外、難しいものです。
 また、机上で考えているうちに、時間だけが過ぎてしまいます。

 

 そこで ・・・
 「A → B」を進め、結果を確認しながら、@ を構築していく。
  つまり、走りながら考えるのも、1 つの方法かもしれません。
 まずは 戦略から取り組み、具体的なイメージをつかみたい ものです。

 

 

3.マーケティング戦略

 

 マーケティング戦略は、次の順番で進めます。
 @ セグメンテーション → A ターゲティング → B ポジショニング

 

 それぞれの簡単な意味は、以下のとおりです。
  @ セグメンテーション ・・・ 市場 (顧客) を、年齢層、職業、性別、考え方、地域などによって、分ける
  A ターゲティング ・・・・・ @ で区分した中から、ターゲット客を絞る
  B ポジショニング ・・・・・ A で選んだターゲット客に好まれるポジションを、市場の中で確立する

 

 すべての顧客に好かれようとすると ・・・
 企業や商品として、特徴のない中途半端な存在になります。
 それでも、成功させたいなら、莫大な資金が必要です。
 そのような資金など、中小企業にあるはずがありません。

 

 だから ターゲット客を絞って、そこに経営資源 (人・モノ・資金・時間など) を集中させる。
 これが 「マーケティング戦略の基本中の基本」 ではないでしょうか。

 

 

4.セグメンテーション

 

 セグメンテーション (Segmentation) とは ・・・
 市場あるいは顧客を細分化する作業 です。
  細分化する要素は、様々です。
 年齢、性別、職業、考え方、地域など。

 

 たとえば小売店が 「地域」 によって、セグメンテーションを行う場合 ・・・
 店舗型なら、「半径 ○○q 以内の顧客」 などと、分けることができます。
 ターゲットとする 地域分けについては、「ランチェスター戦略の地域戦略」 が有効 ではないでしょうか。
 また、ネット型なら 「全国、あるいは全世界の顧客」 になります。

 

 どの要素によって、セグメンテーションを進めるかは、企業ごとに異なります。
 また複数の要素を、組み合わせることもあります。
 「当社に最も多い顧客のタイプ」 に注目して、セグメンテーションに用いるべき要素を、導き出す 方法もあります。
 どのような要素を選択するかは、非常に重要なので、何度も挑戦することになります。

 

 

5.ターゲティング

 

 ターゲティング (Targeting)とは ・・・
 セグメンテーションの中から、ターゲット客を絞る作業 です。
 すべての顧客に好まれようとすると、莫大な資金が必要です。
 さすがのトヨタでさえ、スズキのジムニーや、マツダのロードスターのような車には、手を出していません。

 

 ところが中小企業であるにもかかわらず ・・・
 すべての顧客の需要に応えようとしている、企業も少なくありません。
 たとえば、やたらとメニューが多いのに、どれも美味くない飲食店など。
 ターゲットがわからないと、そうなりがちです。

 

 顧客から見ると、このような企業には、何 1 つアピールするものがありません。
 星の数ほどある同業他社の中に、埋もれてしまうため、新規顧客に見逃されてしまいます。
 顧客を絞る理由は、そこにあります。
 企業はターゲット客にとって、ベスト企業を目指すべきです。

 

 

6.顧客を絞ってもよいのか

 

 顧客のタイプを絞ると、売上が減るのではないか。
 このような不安をもたれる方も、少なくありません。
 確かに 「男性専用」 に限定すれば、女性がその店を訪れることはないでしょう。
 またターゲティングを絞りすぎると、市場が小さくなり、事業として成り立たなくなります。

 

 しかし、ターゲティングを誤らなければ、むしろ顧客は増えます。
 なぜなら、人が人を呼ぶからです。
 ターゲティングの対象になる顧客は、企業や商品を選ばない顧客より、熱意をもっています。
 この熱意が、従業員の働き甲斐にもつながるため、企業全体に活気をもたらします。

 

 ただしターゲティング客は、時代とともに変化します。
 定期的な見直しが必要になります。
 しかし、ターゲティング客を大きく変えると、既存客の多くを失いかねません。
 ターゲティングの見直しは、くれぐれも慎重に進めたい ものです。

 

 

7.ポジショニング

 

 最初にこの言葉をマーケティングに採用したのは ・・・
 マーケティング22の法則などの著者、アル・ライズとジャック・トラウトです。
 このお2人の、ポジショニング (Positioning) の定義を、わかりやすく言い換えると ・・・
 当社または当社の商品を、ターゲット客の心の中に、どう位置づけるか。

 

 たとえば、どのような要素でポジショニングを行うべきなのでしょうか。 
 ターゲット客の価値観に照らし、下記の何れかにおいて、「最高のもの」 と見なされる 必要があります。

@ より速い A より安全 B より安い C より便利
D より長持ち E より使いやすい F より高品質 G より付加価値がある   など

  

 

  

 またマイケル・トレーシーとフレッド・フィアセーマは ・・・
 次の 3 つのうちの何れかで、ポジショニングを行うべきと、述べています。 
  @ 優れた商品  A 優れた業務活動  B 優れた人間関係
 このうち 1 つに集中し、残り 2 つについても、必要十分なレベルが求められます。

 

 

8.次回は 「マーケティング戦術」

 

 マーケティング戦略を進めることによって、おおまかな方向性を、見出さなければいけません。
  @ 当社にとって、ターゲットとすべき顧客は、どんな人たちなのか ?
 A ターゲット客のハートをつかむためには、どんな会社、どんな商品として、認識されるべきなのか ?
  これらの質問に答えられることが、目標です。

 

 ドラッカーは次のように述べています。
 マーケティングの理想は、販売をなくすこと。
 つまり マーケティングとは、「売り込み」 をしなくても、顧客自らが求めてくる、仕組みを作る ことです。
  自社に合うマーケティング技術を、経営の仕組みの中に、採り入れたいものです。

 

 次回のテーマは、マーケティング戦術。
 マーケティング戦略を、実現させるための、具体的な方法。
 メインは、「差別化」 と 「マーケティング・ミックス」。
 これらについて、簡単に触れてみます。

 


  ※ 参考文献 
  フィリップ・コトラー著 戦略的マーケティング マーケティング・コンセプト
   宮崎哲也著 フィリップ・コトラーのマーケティング論がわかる本
  P.F.ドラッカー著 経営の哲学

 

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